連載 図説 公衆衛生・5
母子保健の現状と課題
安西 定
1
,
高原 亮治
1
,
川口 毅
2
1厚生省大臣官房統計情報部衛生統計課
2国立公衆衛生院疫学部
pp.303-306
発行日 1977年5月15日
Published Date 1977/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205375
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わが国ではじめて行政的に母子保健がとりあげられたのは1916年(大正5年)のことで,当時,高率であった乳児死亡を減少させるために保健衛生調査会が設置され,母子衛生に関する実態調査が実施された.また,主要都市に小児保健所を設立することや,民間事業として母子保健活動を推進することの必要性が提言された.1937年(昭和12年)には保健所法が誕生し,結核とならんで母子保健事業は保健所の重要な業務となった.
また,同年および翌年には母子保護法と社会事業法があいついで制定され,ようやくにして,母子に関する保健と福祉施策の基盤ができた.その後,恩賜財団・母子愛育会の設立(1931年),国民体力法の制定(1940年),妊産婦手帳発行制度の創設(1942年)などが進められたが,戦時下のもとで大きな成果をうるには至らなかった.
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