連載 図説 公衆衛生・6
学校保健の現状と課題
安西 定
1
,
高原 亮治
1
,
川口 毅
2
1厚生省大臣官房統計情報部衛生統計課
2国立公衆衛生院疫学部
pp.379-382
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205393
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わが国の学校保健の歩みは,明治5年の学制発布とともにはじまった.以来百有余年,児童・生徒を中心とした国民の健康水準の向上に果たした役割は,はかりしれない.戦後,昭和22年「教育基本法」が公布,施行され,健康な国民の育成は教育そのものの基本的目的とされた.また同時に,公布,制定された「学校教育法」により,現行の学校教育制度が基礎づけられ,このなかで学校における保健措置も定められた.昭和33年には,「学校保健法」が「学校教育法」から派生した特別法として公布,施行され,学校保健計画,学校環境衛生,健康管理,学校保健に関する行財政制度など包括的,体系的な内容をもち,学校における保健管理の中心的な役割を果たしている.その後,新しい傷病構造に対応するため,昭和48年には,保健体育審議会の答申にしたがい,腎疾患,心疾患対策等が開始された.
学校保健の重要性は,その対象者が次の時代のわが国のにない手である,という点にある.児童,生徒等が,学校の場で得た健康に関する認識,知識,習慣は,多くの場合,その一生涯を規定すると考えられる.また,心身ともに発育,発達の過程にあり,成人に比較して不安定であり,この時期の健康管理の適否が,一生涯の健康を左右すると考えられる.さらに学校においては,少なくとも9年間の集団生活がおこなわれるわけであり,集団管理として,感染症対策はもちろん,包括的な健康管理対策が必要といえよう.
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