研究
脳卒中と栄養に関する横断研究
田中 平三
1
,
伊達 ちぐさ
1
,
植田 豊
1
,
馬場 昭美
1
,
林 正幸
1
,
大和田 国夫
1
1大阪市立大学衛生学公衆衛生学教室
pp.641-647
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205463
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はじめに
病因の明確でない脳卒中の予防対策には,基礎疾患である高血圧・血管病変(動脈硬化,血管壊死など)の早期発見・早期治療のみならず,環境条件のコントロールが重要である.環境に関する要因のなかで,栄養は最も重要なもののひとつである.ヒトの栄養状態を評価するには,食事調査,身体計測,生化学的検査,臨床医学所見などの方法が考えられるが,今回は食事調査を実施することにした.すなわち,ヒトの栄達状態がいかに脳卒中の発生に影響をおよぼしているかを追究する研究の第1段階として,脳卒中の多発地区と対照地区における栄養素摂取状態を調査した.
食事調査は,通常,「国民栄養調査」においても採用されている秤量法で実施される.秤量法は,最も信頼性の高いものであるが,多数の調査人員,時間,費用,専門的知識・技術を必要とするので,母集団から少数例を抽出して調査せざるを得ない.今回の調査は,著者らが考案した簡易栄養調査法1)を用いて,対象者のほぼ全員に対して実施したものなので,地区特性をよく反映しているものと考えられる.
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