研究
農村婦人における貧血発生の諸要因—縦断研究の成績を中心として
大和田 国夫
1
,
田中 平三
1
,
植田 豊
1
,
伊達 ちぐさ
1
,
津江 裕子
1
,
須永 寛
2
,
沢田 清子
2
1大阪市立大学医学部衛生学公衆衛生学教室
2新潟大学医学部公衆衛生学教室
pp.101-106
発行日 1975年2月15日
Published Date 1975/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204960
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農村婦人の貧血が,公衆衛生上の重要課題として取上げられ,その研究も数多く報告されている.しかし,いずれも横断研究(cross-sectional study)であり,したがって,貧血の頻度を表現するのにも有病率(prevalence)が用いられている.そこで,著者らは,農村婦人の貧血の実態を動的に観察するために,縦断研究(longitudinal study)を実施し,貧血の有病率の1年間の変動を考察し,更に,発生率(incidence,後述してあるように,貧血という疾病の性質上,発生率を検討することは実際には不可能である)への接近を試みた.
著者らは,先に,新潟県新発田市A地区に在住する婦人を対象として,横断研究を実施し,これに基づいて農村婦人における貧血発生の諸要因についての報告をした1).しかし,一般に,病気がなぜ発生したか,その発生要因を考究する場合,一番適当な疾病頻度を表わす尺度は発生率である2).本論文では,A地区において1年間の縦断研究を行い,既述のように,貧血の発生率への接近を試みたので,この成績から,農村婦人における貧血発生の諸要因を検討し,あわせて,既述の横断研究の成績に基づいた分析結果1)と比較した.
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