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目的:小学校に入学する子どもの,肥満および軽度肥満のリスクに対する母乳の影響を評価する。
計画:横断研究
設定:ドイツ南部のバイエルン
方法:バイエルンでは,小学校入学時の必須の健康診断で,134,577名の子どもの身長と体重のルーチンデータを収集している。13,345名の副標本に対して,両親が完成させた質問紙の回答を用いて,早い時期の食物の摂取,食事内容,ライフスタイルの因子を評価した。
対象:ドイツ国籍の5〜6歳の9,357名の子ども
主要検討項目:ドイツに登録されている全ての子どものBMIを基に,軽度肥満は90パーセンタイル以上と定義し,肥満は97パーセンタイル以上と定義した。母乳栄養は母乳以外の食物を子どもが摂取しなかったことと定義した。
結果:子どもの肥満率は,母乳栄養で2.8%であるのに対して,余く母乳を与えられなかった子どもは4.5%であった。肥満率における母乳栄養の期間は,明らかな用量作用の影響が証明された:完全な母乳栄養が2か月の肥満率は3.8%で,3〜5か月では2.3%,6〜12か月では1.7%,12か月以上では0.8%であった。同様の関係が,軽度肥満率でも見られた。社会的地位やライフスタイルの違いによる母乳栄養の予防的効果の特徴はなかった。可能性として考えられる交絡因子を調整した後も,母乳は肥満(オッズ比0.75,95%信頼区間0.57〜0.98)と軽度肥満(オッズ比0.79,95%信頼区間0.68〜0.93)を有意に防ぐ予防的因子であった。
結論:工業国において,母乳栄養の延長を勧める活動は,子どもの肥満率を減少させると考えられる。肥満児は成人肥満を導く高いリスクを持っているため,この予防的な方法は心血管疾患や他の肥満が原因となる疾患の発生率を減少させるだろう。
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