資料
個人を対象とした栄養指導・教育の実際—"個人別食事指導基準値"算出の一試案
伊達 ちぐさ
1
,
田中 平三
1
,
馬場 昭美
1
,
植田 豊
1
,
林 正幸
1
,
大和田 国夫
1
1大阪市立大学・衛生学公衆衛生学教室
pp.716-722
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205494
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はじめに
栄養指導・教育の目的・理念は,①栄養知識の理解,②栄養に関する態度の変容,③栄養に関する行動の変容,の3つに分けられる1).栄養指導・教育は,個人を対象とするよりも集団を対象とする方が,経費,労力,時間の点から考えてはるかに能率的であるとされている2)が,これは,目的・理念の①および②を重視した立場からの観点で,もっとも重要な③の行動の変容(実行あるいは実践)を達成するには,個人を対象とした栄養指導・教育もまた重視しなければならない.個人の栄養状態(食事調査,身体計測,生化学的検査,臨床症状から判定する),嗜好さらに経済状態,家庭内における役割などを考慮して,その人にできるだけふさわしい食生活を指導しなければならない3).
また,病院の外来を訪れたり,入院している患者,保健所のクリニックにくる妊産婦,乳幼児,高血圧や糖尿病などの成人病の管理対象者などに対しては,一般的な教育を行ってもだめで,それぞれの人の相談相手となり,個人の持っている問題点を解決し,それが実行されるような教育をしなければならない3).たとえば,ある高血圧および動脈硬化症の患者が,脂肪を1日あたり30gしか摂取していないにもかかわらず,一般論がそのまま取り入れられて,「脂肪の制限」を勧告されているのもよく耳にする話である.このように,個人を対象とした栄養指導・教育のニードは,近時,急速に高まってきている.
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