連載 日本の高齢者―介護予防に向けた社会疫学的大規模調査・4
高齢者の歯・口腔・栄養状態―社会経済格差と地域格差の実態
中出 美代
1
,
平井 寛
2
,
近藤 克則
3
,
吉井 清子
3
,
末盛 慶
3
,
市田 行信
4
,
「健康の不平等」研究会
1愛知学泉短期大学食物栄養学科
2日本福祉大学COE推進室
3日本福祉大学社会福祉学部
4京都大学地球環境学大学院
pp.313-317
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100072
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
口腔機能を維持し低栄養を予防することは,高齢期に自立した生活を営むために重要な要素であり1),介護保険制度見直しに伴う介護予防施策の強化すべき分野としても挙げられている2).
「80歳においても20本の残存歯があれば,日常的に食事をする上で咀嚼機能を維持でき,自立した食生活が営める」として,8020運動が国民運動として展開されてきた.また健康問題全般における重要性から,歯科保健は健康日本21においても位置づけられている3).口腔状態は,身体の健康状態のみならず,主観的健康感や社会的健康状態とも関連することが明らかになっている4,5).しかし,社会経済的地位(socioeconomic status: SES)と歯との関連については,口腔保健行動(口腔衛生の心がけやかかりつけ歯科医の有無など)には,職種や勤務時間の不規則さが影響するという報告6)はあるが,所得や教育年数との関連を検討した報告は,検索した範囲では見当たらなかった.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.