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高齢者は,仕事や家事,社会活動など,従来から担ってきた活動からの引退で自由な時間が増える.その時間をどのように過ごすかが,高齢者のQOL(Quality of Life)だけでなく,介護予防においても重要である.なぜならば,趣味や余暇活動(以下趣味活動)とそれを通じて期待される知的活動や社会的ネットワークの多寡が,閉じこもりや痴呆発症の因子の1つとして近年注目されているからである1~5).欧米では,趣味活動と生活満足度や幸福感とは関連し,老後の不安や無力感を緩衝する可能性が報告されている6~9).わが国でも横断調査において,身体機能やQOLの維持・向上,社会参加の促進などとの関連が報告されている10~12).また,人間関係と健康との関連も指摘されている13).
高齢者が近所の人たちと交流する方法としての趣味活動の割合は,日本では25.4%,韓国では24.1%,ドイツでは18.5%,米国では18.1%,スウェーデンでは15.3%で,国や地域による違いも大きい14).わが国で複数の自治体に在住する高齢者を対象として,趣味活動の実態や心理・社会的側面との関連,社会経済的地位(Socioeconomic Status: SES)との関連を報告したものは未だ少ない.
そこで本連載5回目の目的は,次の3点とする.第一に,地域在住の高齢者の趣味活動の実態を明らかにする.第二に,趣味活動と心理・社会的側面の関連を検討する.第三に,趣味活動と社会経済的地位との関連を明らかにすることである.なお,用いたAGES[Aichi Gerontological Evaluation Study(愛知老年学的評価研究)project]データの調査方法,分析対象者,分析で用いた社会経済的地位などの詳細は,既出論文を参照されたい15).
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