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あとがき
松山 幸弘
pp.788
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330600060788
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今回の特集は「仙腸関節を科学する」である.仙腸関節は体重を脊柱,骨盤,下肢へと伝える役割を担い,体重負荷に耐えるため関節の可動性は少なく固く結合されており,周囲靱帯によってその動きは調節されている.解剖学的には滑膜関節であり可動関節であるが,その動きはわずかであり他の可動性の大きい滑膜関節とは性質が大きく異なるものである.見方を変えると腰仙椎の隣接椎間であり,また股関節の隣接椎間でもある.私は脊椎外科医であるが,近年成人脊柱変形の治療をすることが増え,腰仙椎変形に対して腰仙椎腸骨固定を必要とする症例が増えた.仙腸関節固定を行うことによって,殿部痛,腰痛が改善する症例を多く経験する一方で,仙腸関節をスクリューのみで固定することによって偽関節が原因で,嫌な殿部痛や腰痛を生じる症例や,股関節を外旋しないと歩行できない症例も経験した.仙腸関節は靱帯成分がほとんどで,可動性はあるがその動きはわずかであり,固定による弊害は意外に少ないのではないかとの勝手な妄想?のもと固定をしてきた.
一方,仙腸関節の解剖,仙腸関節障害による症候,そして治療学に情熱を燃やしてきた日本仙腸関節研究会がある.この会は今回のゲストエディターであり執筆者のお一人である村上栄一先生が中心となって活動してきた会であり,溢れんばかりの情熱を持って仙腸関節を科学してこられた.

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