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あとがき
松山 幸弘
pp.218
発行日 2022年2月25日
Published Date 2022/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202268
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今回の特集に,前・日本整形外科学会理事長の松本守雄先生がロコモティブシンドロームを組まれた.このロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)は,2007年に日本整形外科学会理事長であった中村耕三先生が提唱した概念で,その後,さまざまな知見が積み重ねられ,2013年に立ち上がりテスト,2ステップテスト,ロコモ25質問票からなるロコモ度テストが提唱された.当初,ロコモ度は2までの設定であったが,2020年にロコモ度3が策定され,このロコモ度3がすなわち要介護に突入するもので,フレイルでいうと身体的フレイルに該当する.
フレイル,サルコペニア,ロコモはしばしば混同されて使用されるが,3者にはそれぞれ異なった定義があり,相違点を十分に認識することが重要である.運動器とは骨,関節,神経を含めたものであり,この運動器に障害が起きると関節の痛みや可動閾制限が生じ,筋力が低下し,バランス能力が低下する.その結果,歩行能力が低下し,日常生活に制限を来す.すなわち要支援・要介護が必要となる.ご存知のように日本は超高齢社会に突入しており,平均寿命は男性で81.25歳,女性で87.32歳と世界第1位であり,また65歳以上の高齢者は29.0%を占めている.男性で約9年,女性で12年と言われている健康寿命との差をいかに減らすかが重要であり,ここがわれわれの出番ではないだろうか.
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