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編集後記
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pp.348
発行日 2026年3月10日
Published Date 2026/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220540030348
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2026年の表紙は歳時記をテーマとしていますので,本号はお雛様に梅の花をあしらっていただきました.お雛様と言えば,東京・日本橋の三井記念美術館では「三井家のおひなさま」が春の恒例の展示となっており,私も毎年楽しみにしています.三井家に縁のある雛人形が一堂に会する展覧会で,100cmほどの立ち雛の気品は格別ですし,幅3m×5段の巨大雛壇にところ狭しと大小さまざまの人形が並ぶ様は圧巻です.雛人形のほか,大名行列や宇治川の先陣争いなど歴史上の出来事をモチーフにした御所人形のコレクションも素晴らしく愛らしい貴重なものばかりですので,ご興味のある方はぜひお出かけください(と言いつつ,今春は在原業平生誕1200年記念の「伊勢物語」展が開催されています.2027年のお雛様の展示は確定しているようです!).
本来の持ち主の手を離れ,時間と物理的距離を超えて現代に生きる私たちの美意識に強く訴えかけてくる作品に出会う愉悦は例えようのないものですが,その一方で,これらの芸術品や調度品を慈しんだご婦人たちには,移動や就業はもちろんのこと,社会参加自体への制限もあったのだろうと思いを巡らせざるを得ません.芸術へのアクセシビリティを思うとき,美術館の緋毛氈を自由に踏めることは,ある意味現代人の特権であろうと確信するのでした.

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