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編集後記
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pp.1078
発行日 2025年10月10日
Published Date 2025/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530101078
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李相日監督の映画「国宝」が大ヒットしています.任侠一門の出身の歌舞伎役者と,上方歌舞伎の御曹司のライバル関係を軸に,芸術に一生を捧げる人々,またそれを支える人々を描いたドラマで,今をときめく二大スター(吉沢亮さん,横浜流星さん)が共演しておりご覧になった方も多いのではないでしょうか.かくいう私も「歌舞伎役者ではない人気俳優が女形を演じたらどう見えるのだろう」という好奇心から映画館に馳せ参じ,美しい俳優陣の踊りや迫力あるカメラワークに圧倒されたのでした.映画の余韻に浸りつつ,若手社員のころ,終業後に歌舞伎座の幕見(一幕を格安料金で観劇すること)をしていたことを懐かしく思い,10数年ぶりに歌舞伎座にも行ってきました!(7月の「蝶の道行」,8月の「日本振袖始」,夢のように美しかったです).かつて窓口に並んで買った幕見チケットも今はオンライン購入できるようになり,以前は天井桟敷まで狭く暗い階段を息を切らしながら上ったものでしたが,現在は歌舞伎座タワーに建て替えられ,専用エレベータや車椅子スペースも設置されています.座席は相変わらず窮屈ですが,客電の明るさや空調は快適そのものです.どなたも気楽に,安心して(そして安価に)歌舞伎を楽しめる環境が整ってきたことを嬉しく思いました.

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