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編集後記
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pp.222
発行日 2026年2月10日
Published Date 2026/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220540020222
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「だれもが愛しいチャンピオン」(ハビエル・フェセル監督,2018年)を映画配信サイトで観ました.激しい口論の果てに上司を殴ってしまい,プロバスケットボールのコーチをクビになったマルコ.ヤケ酒で交通事故まで起こし,妻とも別居,八方塞がりなところに裁判所の「90日間の社会奉仕活動命令」を受け,知的障害者のバスケットボールチーム「アミーゴス」のコーチをしぶしぶ引き受けることとなります.初めは選手たちの自由で個性的な言動に困惑していたマルコですが,彼らとの人間味あふれるやりとりのなかで徐々にチームで勝利する純粋な喜びや選手一人ひとりに向き合い指導することの情熱を取り戻す……というハートフルドラマです.明るい色彩に満ちた画面に,オーディションで選ばれた当事者の俳優たちの演技が温かく,脇を固める俳優たちも素晴らしい.スペインの当事者たちの日常生活や支援センターの様子も活写されています.残念なことに雇い主から理不尽な虐めを受けている選手もいるのですが,それがラストの驚きの展開につながっていくのが痛快でした.フェセル監督はシドニーパラリンピックでの知的障害クラス詐称事件への「答え」として,本作を生み出したそうです.スキャンダルを超えてスペイン国内興行成績一位を記録したこの作品の意義を,本号を制作するなかで強く噛み締めました.

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