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あとがき
朝比奈 昭彦
pp.684
発行日 2026年8月1日
Published Date 2026/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730800090684
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毎週,大学で学生たちと接する中で,皮膚科診療がこの40年ほどの間にどのように変遷してきたのかを雑談交じりに話すことがあります.そのたびに,その変化の大きさに改めて驚かされます.
まず,皮膚科の入院患者さんで,アトピー性皮膚炎や乾癬が悪化して紅皮症に至る方を,ほとんど見かけなくなりました.私が入局した頃の一番の仕事は,シャワー浴後の紅皮症患者さんに全身の軟膏処置を行うことでした.まさに「手当て」という言葉を文字どおり実践する毎日でした.現在では,生物学的製剤をはじめとする分子標的薬による全身療法が飛躍的に進歩し,そのような光景は過去のものとなりました.外用療法の奥深い職人芸を語る機会も少なくなり,グリテール含有軟膏のような貴重な外用薬も姿を消そうとしています.一方,かつては病名告知すらためらわれたメラノーマも,免疫チェックポイント阻害薬の登場によって生命予後が飛躍的に改善しました.当時,自分が受け持っていた患者さんにもこの薬を使うことができていたなら,との思いが,今でも胸をよぎります.光線療法も,PUVAからNB-UVBやターゲット型へと進歩し,時間と手間が大幅に改善しました.変わったのは治療だけではありません.皮疹の観察ではダーモスコピーが基本となり,白衣のポケットに忍ばせていた大きく重い虫眼鏡は不要になりました.皮疹を記録するカメラもデジタル化され,症例写真は瞬時に保存できるようになりました.大量のスライドを整理し,その保管場所に頭を悩ませることも,もはやありません.

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