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あとがき
朝比奈 昭彦
pp.258
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730800030258
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最近,業務の多忙さと雑務の積み重なりにより,心身の疲労を自覚することが増えてきました.身体を動かす機会も減り,思考の切り替えがうまくいかない.年末年始の休暇中でさえ,夢の中でデスクワークをしている自分に気づき,これは一度,立ち止まる必要があるのかも,と感じました.そこで今回,家族に背中を押され,目的地であるニュータウンまでの長距離散策に出かけました.自宅最寄りの駅から河川沿いの小道を歩きはじめると,ほどなくして都市近郊とは思えないほど穏やかな風景が広がりました.沿道の神社で初詣を済ませ,市街化調整区域に入ると,河川の両側には田畑が続き,川岸の木々には赤や紫,黄色と色とりどりの実が生っていました.水鳥は悠然と泳ぎ,小鳥の群れは賑やかな合唱をしています.自分と同じように,思い思いのペースで散歩やジョギングを楽しむ人々の姿もありました.時間の流れがゆっくりとほどけていくのを感じながら,気づけば6km余りの距離を,ほとんど負担なく歩き終えていました.仕事から意識的に距離を置き,自然のリズムに身を委ねることで,思考が整理され,心身が軽くなる.こうしたひとときが新たな活力を生み,日々の仕事にも良い循環をもたらしてくれるのだと思います.散策の終盤,田畑の向こうに突如現れた巨大な商業施設と観覧車の光景には,思わず足を止めました.都市と自然が共存するこの風景がこれからも守られていくことを願いつつ,私自身も忙しさの中にこそ,意識的に「余白」をつくっていきたいと思っています.

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