Japanese
English
症例報告
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌USA300株による壊死性軟部組織感染症の1例
A case of necrotizing soft tissue infection caused by methicillin-resistant Staphylococcus aureus USA300 strain
桑折 信重
1
,
吉田 諭
1
,
八束 和樹
1
,
武藤 潤
1
,
白石 研
1
,
村上 正基
1
,
藤澤 康弘
1
Nobushige KOHRI
1
,
Satoshi YOSHIDA
1
,
Kazuki YATSUZUKA
1
,
Jun MUTO
1
,
Ken SHIRAISHI
1
,
Masamoto MURAKAMI
1
,
Yasuhiro FUJISAWA
1
1愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学
1Department of Dermatology, Ehime University Hospital, Toon, Japan
キーワード:
MRSA USA300株
,
壊死性軟部組織感染症
Keyword:
MRSA USA300株
,
壊死性軟部組織感染症
pp.75-80
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002149730790010075
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要約 22歳,女性.当科初診2か月前から背部,臀部に毛包炎を繰り返し,初診1週間前に左腰背部の発赤を自覚した.前医CTで壊死性軟部組織感染症が疑われ,当科緊急搬送となった.搬送時,左腰背部の発赤に加えて,腫脹,疼痛,排膿を認め,癰の臨床像であった.CTでは広範な皮下脂肪組織の濃度上昇と,筋への炎症の波及を認めた.壊死性軟部組織感染症と臨床診断した.緊急デブリードマンを施行し,メロペネム,クリンダマイシン,バンコマイシンの投与を開始した.術後10日目に細菌培養検査からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus : MRSA) USA300株が同定され,同株による壊死性軟部組織感染症と診断した.バンコマイシン投与ならびに陰圧閉鎖療法で瘢痕治癒し,その後は再発を認めていない.MRSA USA300株はPVLや細胞融解ペプチド,菌定着に関与する遺伝子因子を有しており,一般的な市中感染型MRSAより高い病原性を有する.そのため,自験例のように若年であっても,2型糖尿病などの基礎疾患を有する場合は重症化する可能性があり注意が必要である.
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