Special feature 耐性菌の最新動向・感染対策とAST
■耐性菌の最新発生動向と感染対策のポイント
❶メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
詫間 隆博
1
,
時松 一成
2
1昭和大学 医学部 内科学講座 臨床感染症学部門 講師
2昭和大学 医学部 内科学講座 臨床感染症学部門 教授
pp.237-241
発行日 2023年10月15日
Published Date 2023/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000420
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黄色ブドウ球菌は皮膚の常在菌であり,外傷(手術を含む)後の感染原因菌として最も重要な菌種の一つとされる。1941年のペニシリンの実用化以前は外傷後の二次感染死亡の重要な原因となっていたが,メチシリンやセフェム系抗菌薬,その他の各種抗菌薬の開発により,比較的制圧できる状況が出来てきていた。しかし,米国では1977年頃,本邦では1980年頃からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が出現し,従来の治療のほぼすべてが効かない状況が生じた。さらには,通常の抗菌薬が効かない=耐性という性質が,病院内で接触感染を主として伝播することが明らかとなり,院内感染対策の原則が確立されるきっかけの一つとなった。しかし,感染伝播対策は手間暇と金額的負担がかかることから,無視されることが当時は一般的で,結果MRSAが院内感染を中心に幅広く広がることに繋がってしまった。
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