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肺の音の不思議

歴史と科学から紐解く肺聴診

肺の音の不思議
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筆頭著者 工藤 翔二 (著)

南江堂

電子版ISBN 978-4-524-21863-9

電子版発売日 2024年4月29日

ページ数 160

判型 新書

印刷版ISBN 978-4-524-21042-8

印刷版発行年月 2024年4月

DOI https://doi.org/10.15106/9784524210428

書籍・雑誌概要

なぜ,“聴診器”は200年の時を超えて使われ続けているのか――. 呼吸器内科学と肺音聴診の大家である著者により,肺聴診について歴史と科学の両面から紐解いた一冊.聴診器の発見と聴診学の発展から,呼吸音・肺音の成り立ち,副雑音発生のメカニズム,聴診のポイントまでをわかりやすく「読み物」としてまとめた.医療者はもちろん,音響工学等に関連する非医療者の方々にも,肺聴診の面白さと奥深さを楽しく学んでいただける.

目次

【内容目次】
第1章 歴史探訪 身体のなかを知りたい
◆ 叩いて知る─打診法を発明したアウエンブルガー(オーストリア)と打診法を広めたコルビサール(フランス)
◆胸の音を聴く─聴診器を発明したラエンネック(フランス)
◆ラエンネックの『間接聴診法』
◆聴診器と『間接聴診法』の世界と日本への伝搬
◆日本の聴診学の原点─ドイツ医学における「ラ音」の表現

第2章 近代肺音研究の夜明け
◆肺の音を記録して解析する
◆サウンドスペクトログラフとは
◆肺聴診を科学に変えたポール・フォジャクス(イギリス)
◆国際肺音学会(ILSA)を設立したマーフィー博士とラウドン教授
◆欧米における肺音用語の混乱と統一への動き
◆肺音用語を統一した第10回国際肺音学会と国際肺聴診シンポジウム

第3章 聴診器の科学─入門編
◆身体の色々な音を聴いている聴診器
◆ 聴診器は身体表面に伝わった音を耳に届けるトランスデューサー
◆聴診器の管は短いほど大きく聴こえる?
◆聴診器はなぜ重いの?
◆聴診器のSN比
◆聴診器の周波数特性

第4章 呼吸の音
◆肺の役割─酸素を取り入れ二酸化炭素を排泄するガス交換
◆気道とは何か
◆層流と乱流
◆気道のなかの空気の流れ─乱流から層流、そして分子拡散
◆呼吸音の源─乱流が発する雑音
◆ 気道の乱流騒音をそのまま表現している頸部で聴かれる「気管呼吸S音」

第5章 肺のなかの音の伝搬
◆肺内で発生した音の広がりかた
◆肺のなかの音速
◆肺のなかの音速は毎秒数十m
◆肺内の音速が周波数に依存する理由
◆音速が遅いからわかる音の方向
◆肺は高い音を通しにくい

第6章 胸壁上で聴かれる呼吸音の話
◆気管支呼吸音
◆肺胞呼吸音とその異常
●肺胞呼吸音とは何か
●肺胞呼吸音が聴こえない
●肺胞呼吸音の気管支呼吸音化

第7章 ラ音を知ろう
◆断続性ラ音
◆ファインクラックルズ(捻髪音)
●ファインクラックルズが聴かれる疾患と聴かれない疾患
●胸部X線写真より感度が高いファインクラックルズ
●ファインクラックルズは重力の影響を受ける
●ファインクラックルズ発生のメカニズム
◆コースクラックルズ(水泡音)
◆クラックルの波形はなぜ後ろの周期が長い
◆連続性ラ音
◆ウィーゼズ(笛様音)
●モノホニックウィーズとポリホニックウィーゼズ
●ウィーゼズ発生のメカニズム
●ウィーゼズの胸郭内の伝搬─頸部聴診の重要性
●スクウォーク
●喘息と間違いやすいモノホニックウィーズ
◆ロンカイ(いびき様音)
●「パルス列」の話
●いびきの音とパルス列
●ロンカイは連続音か、パルス列か ことの発端
◆ラ音以外の副雑音
●胸膜摩擦音
●皮下気腫とハンマンズサイン

第8章 肺聴診の仕方
◆服の上からでは駄目ですか?
◆前から聴くか、背中から聴くか
◆左右を比べながら、ここだけは聴こう
◆こうすると聴こえなかったラ音が聴こえる
◆子供の深呼吸と「風車」
◆頸部聴診の大切さ
◆聴いて考える

結びにかえて
著者略歴