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子供の便秘はこう診る!親子のやる気を引き出す小児消化器科医のアプローチ
筆頭著者 十河 剛 (著)
済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科
南山堂
電子版ISBN 978-4-525-98341-3
電子版発売日 2020年6月15日
ページ数 171
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-525-28401-5
印刷版発行年月 2021年5月
書籍・雑誌概要
小児の日常診療ではありふれた「便秘」であるが,慢性便秘になると薬物療法だけでは排便コントロールは難しい.本書は,小児の便秘の診断・治療についておさえておくべき基本知識をわかりやすく網羅しつつ,治療のゴール達成のカギを握る患児本人と養育者の“ヤル気スイッチ”を入れて維持するためのアプローチ方法を伝授する.症例も多数提示.
目次
第1章 子供の便秘の特徴
1.便秘(症)の分類と病態
1)便秘の定義 —排便回数だけに着目すると便秘を見落とす!
2)便秘の分類 —時間軸と原因での分類
2.排便と便秘のメカニズム
1)“うんち”の成分から便秘を考えてみる
2)正常な排便のメカニズム —うんちをするのは難しい
3)便秘のメカニズム
4)便秘の悪循環とは —便塞栓へ向かう負のスパイラル
5)便秘になりやすい3つの時期とそれぞれの原因・誘因
3.症 状 —もしかしてだけど,それって便秘じゃないの?
1)腹 痛
2)裂肛(肛門痛,出血,肛門のかゆみなど)
3)直腸脱,痔核
4)便漏れ,便失禁
5)肛門周囲の皮膚びらん
6)吐き気,嘔吐
7)胃食道逆流,げっぷ,口臭
8)集中力低下
9)夜尿,遺尿
4.有病率 —クラスに5〜6人いる便秘症
5.予 後 —大人の頑固な便秘に持ち越さないためにできること
6.乳幼児の便秘の特徴
第2章 子供の便秘の診断
1.診断の基本原則 —迷わず行けよ,行けばわかるさ
2.問診のしかた —話したいこといっぱいのお母さんから重要な情報を漏らさず聞き出すコツ
1)承認する —まずはお母さん・お父さんの今までの努力や苦労を受け止める
2)初診時の問診事項
3.必要な検査
1)身体所見
2)肛門視診
3)直腸指診
4)腹部単純X線検査
5)アレルギー検査
6)甲状腺機能検査
7)注腸造影
8)MRI
4.便塞栓(fecal impaction)の診断
第3章 子供の便秘の治療
1.便秘治療の基本的な考え方
1)便秘治療の三大原則と排便習慣のよい循環
2)便秘治療のゴール設定 —SMARTの法則で考える
3)治療がうまくいっているかどうかの見極めかた —エビデンスを探せ!!
4)「いいね!」をたくさん出してヤル気UP!!
2.薬物治療の基本
1)便塞栓除去(disimpaction)
2)維持療法
3)専門医への紹介タイミングの見極めかた(yellow flags,red flags)
3.乳幼児(1歳以下)の便秘の治療
1)離乳食開始前
2)離乳食開始後
4.慢性機能性便秘症の治療
1)便塞栓除去(disimpaction)
2)維持療法
5.生活習慣の改善指導 —早寝,早起き,朝うんち
6.食事の改善指導 —便秘には“アレがよい”より“バランスよく”
7.トイレットトレーニング虎の巻
8.和式トイレは世界を救う!?—便秘に有効な便座の座り方・姿勢
9.基礎疾患のある子供の便秘(器質性便秘症)の治療
1)発達障害のある子供の便秘
2)過敏性腸症候群(IBS)が関与する便秘
3)牛乳アレルギーが関与する便秘
4)裂肛(切れ痔)と便秘の関連
5)低位鎖肛が関与する便秘
10.便秘の子供,こんなときどうする?
①お泊り保育(宿泊学習)
②保育所でトイレに行けず我慢させられる
③保育所でパンツに履き替えさせられる
④小学校入学時
⑤プールに入れてもらえない
⑥風邪をひいたとき
⑦下痢のとき
⑧嘔吐のとき
⑨抗菌薬投与時
⑩家以外でトイレに行きたがらない
⑪同じ時間に排便させたほうがよいのか?
⑫うんちの前におなかが痛くなる
⑬スマホやタブレットを見ないとうんちが出ない
⑭排便状況が確認できない
⑮おなかマッサージ
⑯野菜を食べてくれない
⑰水を飲んでくれない
⑱いつまで治療を続けるか?
⑲遺 伝
症例1.10歳女児—げっぷ,嘔吐,口臭が主訴の例
症例2.8歳女児—眠っているときにだけ大きなうんちをする例
症例3.7歳男児—コーチング的アプローチで遺糞が治癒した例
症例4.8歳女児—治療へのモチベーションを上げるコーチングを用いた例
症例5.8歳男児—エロビキシバットが漏便に有効であっ例
症例6.13歳女児—エロビキシバットが有効であった年長児の例
症例7.生後3ヵ月女児—乳児期(離乳食開始前)の便秘の典型例
症例8.生後2ヵ月女児—乳児期(離乳食開始前)の牛乳アレルギーによる便秘
症例9.生後8ヵ月男児—乳児期(離乳食開始後)に発症した便秘の典型例
症例10.6歳男児—プロトコール通りに服薬したら遺糞が改善した例
症例11.12歳男児—トイレが詰まるような大きく硬い便を排便した例
症例12.3歳男児—母親が便秘症に気づいていない便塞栓による遺糞の例
症例13.5歳女児—服薬中止まで4年かかった例
症例14.2歳7ヵ月男児—浣腸連日で排便コントロールせざるを得ない症例
症例15.3歳男児—順調にピコスルファートナトリウムが減量できた例
症例16.10歳男児—便塞栓除去を行わずに治療を開始したために腹痛が増悪した例
症例17.3歳女児—自己判断で服薬中止してしまった例
症例18.2歳女児—尖圭コンジローマを疑われた肛門周囲の皮膚びらんの例
症例19.7歳男児—授業中にトイレに行きたいと言えずに漏らしてしまうため,本来必要な投与量で治療できなかった例
症例20.9歳女児—母親が排便状況を把握していない例
症例21.10歳男児—「トイレに行けない」が主訴で消化器科外来を受診した例
症例22.12歳女児—自閉スペクトラム症に対する便秘治療の例
症例23.11歳男児—便秘型過敏性腸症候群に対する漢方薬治療の例
症例24.1歳6ヵ月男児—幼児期の牛乳不耐症による便秘の例
症例25.4歳男児—便秘による裂肛を疑ったが,S状結腸ポリープであった例
症例26.10ヵ月女児—発熱,嘔吐で発見された定位鎖肛に脊髄脂肪腫を合併した例