連載 命をつなぐ災害復興法学 被災者を支えるお金とくらしの話・7
家計の負担を軽減する知恵—公共料金・保険料の支払猶予や減免支援
岡本 正
1
1銀座パートナーズ法律事務所
pp.332-337
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134883330810040332
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家計の負担となる公共料金・保険料
スマートフォン、携帯電話、Wi-Fi等の通信料金、電気やガスの使用料金、自治体の上下水道料金……。私たちは毎月さまざまな公共料金を支払って、生活を維持しています。大規模な災害に見舞われた際、これらの公共料金の支払いはどうなるのでしょうか。また、契約している保険の支払いはどうなるのでしょうか。平時においては当たり前に支払うものであり、大きな負担とまでは感じない各種の支払いも、住まいの修繕・再建、生活必需品の購入、移動や引っ越し費用等が嵩む被災後には「大きな負担」へと変わりかねません。
災害後の家計によっては、住宅ローン等の大きな借入金への対応も大切ですが(連載第6回「借金の支払いに困った個人の方のために——自然災害債務整理ガイドラインを活用しよう」参照)、先述のような月々の生活費にあたる負担に目を向けることも重要になります。定期的な通院や介護サービス利用をしている方が、生活費の負担を考慮して診療やサービス利用を控え、結果的に治療や健康維持に支障を来すようであれば本末転倒ですし、災害関連死の要因にもなりかねません。

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