活動報告
長岡地域の医療的ケア児およびその家族支援の取り組み—小児慢性特定疾病児への個別支援から関係機関と連携した地域での支援
室岡 真樹
1
,
本田 明子
1
1新潟県長岡地域振興局健康福祉環境部(新潟県長岡保健所)地域保健課
pp.314-320
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134883330810040314
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はじめに
小児慢性特定疾病児を含む医療的ケアが必要な児(以下、医ケア児)は、長期にわたる療養を必要とすることから、医ケア児およびその家族が適切なサービスを切れ目なく受けられるよう、2021(令和3)年9月「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行され、各自治体では保健、医療、福祉等の支援体制を整備することが求められている。また、児童福祉法に基づき「小児慢性特定疾病児等自立支援事業」が都道府県の事業に位置づけられており、小児慢性特定疾病児とその家族の相談支援を行うこととなっている。
医ケア児の多くは、出生後、手術や経過観察を経て退院し、退院後は、児の状態や家族の状況にもよるが、在宅生活を選択する。しかし、児の健康管理の難しさから来る保護者の養育負担は大きく、それらに対する体制整備が喫緊の課題といわれている1)。
当保健所が支援している児および家族からは「同じ医ケア児を抱えている家族と情報交換がしたい」「保護者自身の時間が欲しい」「レスパイトを利用したいけど空きがない」「どんなサービスがあるか分からない」等の声が聞かれ、医ケア児が在宅で生活していくための課題が山積している実態がうかがえた。
そこで、小児慢性特定疾病児を含む医ケア児およびその家族や支援する関係者の声を聞き、現体制でも実施可能な取り組みとして、情報交換会や医ケア児とその家族のためのつどいを開催した。本取り組みに至るまでの経過とその成果を報告する。

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