皮膚病診療 39巻9号 (2017年9月)

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<症例のポイント>腎移植後、維持免疫抑制療法中に基底細胞癌を発症した1例を報告した。腫瘍免疫の抑制が発症の一因になったと考えた。基底細胞癌は脂漏性角化症と連続しており、衝突腫瘍(collision tumor)だった。

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<症例のポイント>生検を契機に完全に自然消褪した、鼻部に生じた基底細胞癌2例を報告した。皮膚悪性腫瘍の自然消褪現象は悪性黒色腫やMerkel細胞癌などでみられるが、基底細胞癌でのわが国からの詳細な報告は本報が初である。基底細胞癌の自然消褪現象は海外ではよく知られており、わが国での検討が待たれるところである。

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<症例のポイント>顔面の深部組織にまで及ぶ巨大基底細胞癌であり、合併症も考慮し根治的切除ではなく放射線治療を選択した。腫瘍径、病期分類、病理組織型から再発の高リスク症例と考え、放射線療法に化学療法を併用し奏効した。メラニン産生に乏しかったことが放射線治療が奏効した一因と考えた。

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<症例のポイント>基底細胞癌は皮膚悪性腫瘍の中でもっとも遭遇する機会の多い癌である。基底細胞癌の臨床像は多彩であるが、今回われわれは、比較的まれな斑状強皮症型基底細胞癌を経験した。数ヵ月間のステロイド外用治療で改善のない右頬部の紅斑で初診した。ダーモスコピーで観察すると樹枝状血管が目立つ所見であった。日本人の基底細胞癌の臨床像は黒褐色の隆起性病変を呈する結節潰瘍型がほとんどであり、特徴的なダーモスコピー所見が参考になる。しかし、斑状強皮症型基底細胞癌の場合は低ないし無色素性が多い。今回、ダーモスコピーにて樹枝状血管拡張の所見があり、積極的に生検を施行することにより斑状強皮症型基底細胞癌と診断しえた症例であった。

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<症例のポイント>80歳女性の脂漏性角化症の局面上に生じた有棘細胞癌の1例を経験したので報告する。病理組織学的に脂漏性角化症と連続して異型細胞を確認した。治療は有棘細胞癌の結節から5mm離して拡大切除。植皮術を行った。

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<症例のポイント>頭部顔面の日光角化症に対し5%イミキモドクリーム(商品名ベセルナクリーム、以下、イミキモドクリーム)外用治療を行い、同症の皮疹消褪後に治療部位に有棘細胞癌(以下、SCC)を生じた症例を2例続けて経験したため報告した。自験例では2例とも、もともとSCCが潜在していた可能性も否定できず、イミキモドクリーム外用治療とその後のSCC出現との因果関係は不明であるが、外用治療後に残存、出現する結節に対しては早期に皮膚生検を行うなど、SCCを鑑別することが重要と考えられた。

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<症例のポイント>高齢者の顔面は有棘細胞癌(SCC)をはじめとする皮膚腫瘍の好発部位である。SCCにはまれではあるが多様なsubtypeが存在する。自験例では粘液産生を伴う紡錘形細胞を中心としたSCCであり、その報告は非常にまれである。紡錘形細胞を有する皮膚腫瘍はいくつか存在するので、その鑑別にはH-E染色だけでなく免疫染色も併せて検討することが有用である。

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<症例のポイント>左頬部に生じたアポクリン癌の1例を報告した。自験例は非典型的な発症部位に腫瘍を認めたが臨床所見と病理組織学的所見を総合的に判断して確定診断に至ることができた。頬部皮膚原発アポクリン癌の報告例も近年増加してきており、同部の拡大する結節を認めたときはアポクリン癌も鑑別診断の1つとして想起するのが望ましいと考えた。

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<症例のポイント>皮膚粘液癌と他臓器由来の転移性粘液癌は、病理組織学的には鑑別が困難であるため、全身の検索により、他臓器原発腺癌の皮膚転移を否定することが必要である。自験例では、画像検査、血液検査から転移を疑うような他臓器の病変はなく、皮膚粘液癌の診断に至った。病理組織学的所見において、自験例では腫瘍細胞巣の外側に断頭分泌像がみられたため、アポクリン腺分化と考えた。

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<症例のポイント>高齢女性のこめかみ部に生じたatypical fibroxanthoma(以下、AFX)の1例を報告した。AFXは病理組織学的に悪性を示す所見に富むため、malignant fibrous histiocytoma、dermatofibrosarcoma protuberans、有棘細胞癌、悪性黒色腫などの紡錘形細胞、組織球様細胞からなる腫瘍との鑑別が問題となる。自験例は、臨床像、病理組織像および免疫染色結果から総合的にAFXと診断した。

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<症例のポイント>顔面に生じたlymphangiosarcomaの症例。紅斑から緩徐に進行し、初診から2年間生存した。パクリタキセル、パゾパニブおよび放射線療法にて進行を遅らせることができた。パゾパニブにてgrade 2の腎機能障害が生じたが継続投与が可能であった。

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<症例のポイント>後天性真皮メラノサイトーシス(acquired dermal melanocytosis、以下、ADM)は主として中年以上の女性の顔面に左右対称性に多発性の灰褐色の点状色素斑を呈する。自験例は偶発的にADMの直上に悪性黒子が合併した点が特異であった。

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<症例のポイント>超高齢者の顔面に生じた有茎性悪性黒色腫を経験した。有茎性悪性黒色腫の好発部位は四肢、躯幹であり、顔面は比較的まれである。超高齢者の悪性黒色腫では、全身状態などの患者背景に応じた治療方針を提案していくことが必要である。

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<症例のポイント>高齢男性の右頬に生じたdesmoplastic malignant melanomaを報告した。表皮内に増殖する異型メラノサイトと真皮内に増殖する紡錘形細胞とは免疫組織学的染色態度が異なっており、異方向への分化によるstratified stainingと考えた。

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<症例のポイント>悪性黒色腫の肺転移、脳転移を有する症例に対してニボルマブを投与した際に、いずれの転移巣に対しても縮小がみられた。悪性黒色腫の脳転移に対するニボルマブの有効性は明らかではなく、自験例を供覧し、文献的考察を行った。

英文抄録

editorial

果たすべき3つの役割 浅井 俊弥

topics

リンフォーマの診断と治療 菅谷 誠
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「リンフォーマはむずかしい」という言葉をよく耳にする.臨床的に炎症性疾患との鑑別が困難な場合もあれば,診断がついても治療方針決定に悩むこともある.分類も数年に1回改訂されてしまい,どの診断名をつけてよいのか途方に暮れるケースもあるであろう.本稿ではまず,昨年に改訂されたリンパ腫のWHO分類の特徴について述べる.次にリンフォーマの診断手順について解説するとともに,血液内科と皮膚科で皮膚のリンフォーマをどのように診ていくべきか,私見を述べたいと思う.また後半では,最近本邦で利用できるようになった治療法や,開発中の治療法について記載する.(「はじめに」より)

蝶の博物詩

生態27 西山 茂夫

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対象は2005~2014年の227例(男92例、女135例、初診時平均年齢74.6歳)254病変であった。年次別基底細胞癌症例数および年次別新規患者数における基底細胞癌患者数割合は、全体的に増加傾向を示した。発生部位でもっとも多かったのは顔面190病変(74.8%)であり、顔面の中では鼻部・頬部・眼瞼の3部位で75%を占めた。臨床的無色素性基底細胞癌は10病変(4%)であった。初診時臨床診断で基底細胞癌と診断できたのは227病変(96%)であった。病理組織型分類はnodular typeが143病変(55%)と最多であり、混合型は53病変(20%)を占めた。229病変に手術療法を選択し、皮膚悪性腫瘍切除術に単純縫縮や局所弁形成術、植皮術などを施行した。再発および転移例は認めず、原疾患による死亡例も認めなかった。

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進行期メラノーマに対する治療は,数年前まではダカルバジン(DTIC)が標準治療であった.奏効率が10%程度と低く,完全に治癒する症例は非常にまれであった.2011年にBRAF阻害薬のベムラフェニブと抗CTLA-4抗体のイピリムマブが米国で承認されて以降,次々と新薬が出現した.本邦においても2014年に抗PD-1抗体のニボルマブが承認されたことを皮切りに,翌年の2015年にベムラフェニブとイピリムマブ,2016年にBRAF阻害薬ダブラフェニブとMEK阻害薬トラメチニブ,さらに抗PD-1抗体のペンブロリズマブが承認された.本邦だけでも3年間で6種類の新薬が増えたことになる. そのためメラノーマの治療戦略が刻々と変化しており,米国のNCCNガイドラインは頻繁に改訂されている.新薬承認のスピードについていくため,日本皮膚悪性腫瘍学会のホームページ(www.skincancer.jp/)に,「悪性黒色腫(メラノーマ)薬物療法の手引 version 1. 2017」としてフローチャートが掲載されており,新薬の承認,適応拡大の際に随時更新が予定されている.また,今年,American Joint Committee on Cancer(AJCC)とUnio Internationalis Contra Cancrum(UICC)のTNM分類が8年ぶりに改訂された.前回の第7版から大きな変更がみられ, 病期分類はかなり複雑化している.本稿ではメラノーマの治療の最新情報とともに,改訂されたAJCCのTNM分類について解説する.(「はじめに」より)

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アトピー性皮膚炎治療研究会は,アトピー性皮膚炎の治療法を医学的に正しく評価し発展させることを目的として青木敏之先生らによって設立された研究会で,これまで1年に1回アトピー性皮膚炎の治療で課題となるテーマを決めてシンポジウムを開催してきました.この研究会が発足した当時は,アトピー性皮膚炎の病態に不明な点が多く,治療法に関しても医師の中でコンセンサスが得られていない状況でした.そのような中で,本研究会ではアトピー性皮膚炎の治療に携わるさまざまな立場の方々が集まって時間をかけて討論することによって,参加者のアトピー性皮膚炎の治療に関する知識とスキルを高めてきました.このたび,京都では安野洋一教授(当時)が開催して以来十数年ぶりとなる2017年1月28日(土)に国立京都国際会館で本研究会を開催させていただきました.(「はじめに」より)

私の歩んだ道

私の歩んだ道 渡辺 晋一

NewDrugs

コムクロ®シャンプー0.05%
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コムクロ®シャンプー0.05%(以下,本剤とする)は, クロベタゾールプロピオン酸エステルを有効成分とする外用頭部乾癬治療剤である.スイスのGalderma S.A.社によって開発され,2004年2月に米国で承認されて以来,2016年11月時点で米国および英国を含む世界62の国または地域で承認されている.尋常性乾癬患者のうち約76%が頭部に皮疹を有しており,主に外用剤により治療されるが,頭部に症状を有する患者の治療満足度は低く,QOLも障害されていることが報告されている.また,頭部や顔面は薬剤の経皮吸収率が比較的高く,ステロイド外用剤による皮膚萎縮等の局所性副作用に注意が必要な部位である.このような背景を踏まえ,マルホ株式会社は2017年3月に,頭部の尋常性乾癬に対する効能・効果で本剤の国内における製造販売承認を取得した.

皮心伝心

診察室の四季

百日紅 斉藤 隆三

皮膚科のトリビア

第147回 浅井 俊弥

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目次

編集後記・次号予告

基本情報

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皮膚病診療
39巻9号 (2017年9月)
電子版ISSN:2434-0340 印刷版ISSN:0387-7531 協和企画

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