皮膚病診療 37巻7号 (2015年7月発行)

選択した文献の文献概要を表示する書誌情報をダウンロードする

すべて選択

特集　腎と皮膚

臨床例

溶連菌性膿痂疹罹患後に発症した急性糸球体腎炎松尾　晋祐 , 端本　宇志 , 高橋　英至 , 佐藤　貴浩 37巻7号 , 2015年7月 , pp.649-652

PDF(981KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞溶連菌性膿痂疹罹患後に発症した急性糸球体腎炎の症例を報告した。自験例は抗菌薬投与にもかかわらず急性糸球体腎炎を発症し、抗菌薬治療開始の遅れが腎炎のリスクとなる可能性を考えた。溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN)の早期発見のためには、患者の自覚症状の理解と症状出現時の早期受診を促すことが重要と考えた。

HIV感染症　梅毒とネフローゼ症候群を合併した症例田口　良吉 , 横山　恵美 , 伊崎　誠一 37巻7号 , 2015年7月 , pp.653-656

PDF(1905KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞若年男子に発症したHIV感染症に、梅毒が合併した症例を報告した。自験例ではさらにネフローゼ症候群を続発していたことが特徴的であった。

IgA腎症を伴った尋常性乾癬　扁桃摘出に関する考察を含めて平岩　朋子 , 山本　俊幸 37巻7号 , 2015年7月 , pp.657-660

PDF(994KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞乾癬とIgA腎症の合併は比較的まれである。自験例はIgA腎症に対して扁桃摘出術およびステロイドパルス療法を施行された。扁桃摘出術は乾癬に対しては効果が乏しいと思われた。

シクロスポリン投与中に腎障害出現し、腎盂腫瘍が指摘された乾癬性紅皮症宇都宮　綾乃 , 林　美沙 , 谷　守 , 片山　一朗 37巻7号 , 2015年7月 , pp.661-664

PDF(1018KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞乾癬性紅皮症に対して長期間シクロスポリンを使用し、腎機能障害が出現したため生物学的製剤へ治療を変更した。その後、腎盂癌がみつかった1例を経験した。シクロスポリン長期投与患者や高齢者では生物学的製剤導入前や導入後ともに発癌リスクを念頭におき、スクリーニングを行うべきである。生物学的製剤の発癌リスクに関しては現時点で結論が出ていないものの、今後シクロスポリンから生物学的製剤へ治療を変更したり、生物学的製剤を長期に使用する症例が増えると予想されるため、さらなる症例の蓄積と検討が必要である。

中毒性表皮壊死症　重篤な消化管出血および腎前性腎不全を伴った症例守屋　智枝 , 鈴木　優香 , 渋谷　佳直 , 周　円 , 加納　宏行 , 清島　真理子 , 上村　晋也 37巻7号 , 2015年7月 , pp.665-668

PDF(1563KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞重篤な消化管出血、腎前性腎不全を伴う、セレコキシブによる中毒性表皮壊死症(以下、TEN)の1例を経験した。TENでは、上部･下部消化管の合併症、および大量出血をきたす可能性があることに留意すべきである。

Kyrle病加藤　健一 , 早石　祥子 , 近藤　由佳理 , 倉知　貴志郎 37巻7号 , 2015年7月 , pp.669-672

PDF(1018KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞Kyrle病はacquired perforating diseaseの一型とされ、非常に強いそう痒を特徴とする。多くの症例で合併症として糖尿病や慢性腎不全をもつことが知られている。今回われわれは、ナルフラフィン塩酸塩内服療法にて軽快を得たKyrle病の1例について、合併症および治療経過から疾患の発症機序について若干の考察を加え報告する。

糖尿病および透析を要した腎不全患者に生じたacquired reactive perforating collagenosis 長崎　沙織 , 福田　英嗣 , 向井　秀樹 37巻7号 , 2015年7月 , pp.673-676

PDF(983KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞後天性反応性穿孔性膠原線維症(acquired reactive perforating collagenosis、以下、ARPC)は、穿孔性皮膚症の1つで、臨床的には中央に固着性の角栓を容れた角化性丘疹を特徴とし、病理組織学的には変性した膠原線維束が真皮から垂直方向に表皮を貫く、いわゆる経表皮排出(transepidermal elimination、以下、TEE)像を特徴とする。本症は糖尿病や慢性腎不全を基礎疾患にもつ患者に多く、透析との関連も指摘されている。今回われわれは、糖尿病、慢性腎不全、透析導入の既往がある患者に生じたARPCを経験したので報告する。

良好な経過をたどった近位型カルシフィラキシスの症例角田　佳純 , 竹原　友貴 , 庄田　裕紀子 37巻7号 , 2015年7月 , pp.677-680

PDF(1110KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞良好な経過をたどった近位型カルシフィラキシスの1例を報告する。本症は、末期腎不全による透析療法を受けている患者を中心に発症する、疼痛の非常に強い難治性皮膚潰瘍を主症状とする。近位型カルシフィラキシス(躯幹、大腿、上腕、陰茎)の死亡率は60～80%と極めて重篤な疾患である。自験例において、カルシウム･リン(Ca･P)の補正、二次性副甲状腺機能亢進症の治療、潰瘍に対する創部ケア(外用療法、外科的デブリードマン)など、集学的治療が奏効した。カルシフィラキシスは、皮膚生検や外科的処置自体が病変の増悪を生じる可能性がある。

胸腺炎症性偽腫瘍に腫瘍随伴性天疱瘡と膜性腎症を認めた症例荒井　利恵 , 政次　朝子 , 奥田　浩人 , 岸本　菜央 , 大平　英子 , 森　泰清 , 立石　千晴 , 鶴田　大輔 37巻7号 , 2015年7月 , pp.681-684

PDF(1108KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞口腔内病変の確定診断には、ラット膀胱上皮を用いた蛍光抗体間接法と、正常ヒト表皮抽出液を用いた免疫ブロット法が必要であった。膜性腎症については、血清ホスホリパーゼA2受容体抗体が陰性であり、胸腺炎症性偽腫瘍と腫瘍随伴性天疱瘡に共通した免疫異常が発症に関与している可能性を示唆した。シクロスポリンはさらなる腎機能低下に注意し、その血中濃度を参考に投与した。

IgA血管炎経過中に多発壊死性筋膜炎を合併した症例武藤　一考 , 猿田　寛 , 大畑　千佳 , 古村　南夫 , 名嘉眞　武国 37巻7号 , 2015年7月 , pp.685-688

PDF(1185KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞IgA血管炎(IgA vasculitis:IgAV)の治療中に壊死性筋膜炎を合併した症例を報告した。壊死性筋膜炎は緑膿菌が起因菌であり、日和見感染症としての発症と考えられた。初診時から紫斑病性腎炎を発症し、ステロイド加療にも反応せず末期腎不全となった。

ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を呈し、腹膜透析を導入したIgA血管炎(Henoch-Schoenlein) 梅原　康次 , 東　晃 , 原　怜史 , 鈴木　康倫 37巻7号 , 2015年7月 , pp.689-692

PDF(998KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞初診時より高度蛋白尿を認め、ステロイドパルス療法に反応せず腹膜透析の導入に至ったIgA血管炎(Henoch-Schoenlein)の1例を報告した。IgA血管炎の腎病変は、急速進行性の経過をとることがある。腎生検による病理組織型が予後の評価に有用であった。

急性膵炎およびネフローゼ症候群を合併した成人IgA血管炎(Henoch-Schoenlein紫斑病) 金山　美恵 , 染田　幸子 , 沢田　明也 , 石村　栄治 37巻7号 , 2015年7月 , pp.693-696

PDF(1014KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞両側下腿に浸潤を触知する紫斑(palpable purpura)を先行病変として生じ、比較的まれな合併症である急性膵炎を併発し、同時にネフローゼ症候群も伴ったIgA血管炎(IgAV;Henoch-Schoenlein紫斑病)の1例を報告した。プレドニゾロン40mg/日とガベキサートメシル酸塩1,000mg/日の投与にて、膵炎の症状は速やかに軽快したが、腎障害が遷延した。

腎炎を伴うHenoch-Schoenlein紫斑病と結節性多発動脈炎の合併例小紫　雄貴 , 小豆澤　宏明 , 小野　慧美 , 吉岡　華子 , 横見　明典 , 片山　一朗 , 中野　智香子 , 岩谷　博次 , 濱野　高行 , 猪阪　善隆 37巻7号 , 2015年7月 , pp.697-700

PDF(1009KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞腎炎を伴うHenoch-Schoenlein紫斑病(以下、HSP)に結節性多発動脈炎を合併した症例を報告した。分枝状皮斑、高ガンマグロブリン血症性紫斑の長期経過中に急激なD-dimer、CRPの上昇と皮膚潰瘍形成を認めた。ステロイド全身投与により症状は改善傾向にあったが、蛋白尿の持続を認めたため腎生検を施行したところ、紫斑病性腎炎(以下、HSPN)をきたしていた。自験例に対してはミゾリビンが著効した。

バラシクロビルによる急性腎障害元木　良和 37巻7号 , 2015年7月 , pp.701-702

PDF(910KB)

有料閲覧

文献概要を表示

＜症例のポイント＞全身状態が良好な帯状疱疹の患者に常用量のバラシクロビルを投与した結果、急性腎障害･アシクロビル脳症が生じた。トイレに行くのが面倒で飲水を控えめにしていたとのことから、脱水が最大の要因と考えられた。

展望

新しい血管炎の分類高橋　啓 37巻7号 , 2015年7月 , pp.628-633

PDF(1086KB)

有料閲覧

文献概要を表示

アトピー性皮膚炎は，皮膚疾患のなかでももっともポピュラーな疾患の1つであり，皮膚科医のみならず他科の医師にもよく知られた疾患である．現在では，その診断基準，治療ガイドラインが整備され，アトピー性皮膚炎に対する基本的治療は，皮膚科医以外でも実践されるようになっている．しかし，この疾患がどのような背景で現れてきたのかを知る医師は少ないのではなかろうか．筆者は，1980年代後半から1990年代前半にかけての“アトピー騒動”の最中を生きた関係で，アトピー性皮膚炎の歴史に興味を持った．アトピー性皮膚炎がどのような経緯で私たちの前に現れ，どのような歴史をたどってきたのかを知ることは，今後の研究にとって，また，治療戦略を立てるうえで示唆を与えてくれるものと考えている．（「はじめに」より）

topics

腎機能低下患者への薬の使い方富野　康日己 37巻7号 , 2015年7月 , pp.634-640

PDF(891KB)

有料閲覧

文献概要を表示

各種腎疾患治療の基本は，安静（自宅安静，入院加療），生活習慣の是正〔禁酒，禁煙，肥満・脂質異常症（高脂血症）の改善，十分な睡眠・休息など〕，腎機能の程度に応じた運動療法，食事療法（減塩・低蛋白・高カロリー食）である．こうした療法で症状・症候や検査成績が改善した場合には，特別な薬物療法を必要としない．しかし，これらのみで腎疾患を改善させることはむずかしいため，多くの疾患で早い時期から末期腎不全への進展・増悪を抑制するための薬物療法は必要不可欠となっている．また，腎臓内科以外の診療科においても薬物療法が行われるが，腎機能が低下した状態での薬物治療には，苦慮することが多いと思われる．本稿では，腎と薬物療法について触れたうえで，皮膚科領域で用いられることが多いと考えられる薬剤について，腎機能に応じた投与法をこれまでの拙著とCKD診療ガイド20123）を参考に概説する．（「はじめに」より）

IgA血管炎の腎病変(最近の話題) 川上　民裕 37巻7号 , 2015年7月 , pp.641-648

PDF(1043KB)

有料閲覧

文献概要を表示

Henoch-Schönlein紫斑病の腎病変は，紫斑病性腎炎といわれ，英語もHenoch-Schönlein purpura nephritisである．ところが，2012年，血管炎の国際分類の改訂で，Henoch-Schönlein紫斑病からIgA血管炎へ，病名変更がなされた．そのため，今後は，紫斑病性腎炎とは言わず，IgA血管炎の腎病変となっていくことが予想される．本稿では，皮膚科医の立場から，IgA血管炎の腎病変を把握するために，まず，IgA血管炎の最近の動向を述べ，そして腎病変へと話を進めていく．（「はじめに」より）

my favorite sign

水疱性類天疱瘡の水疱治癒部に生じる黒色表皮腫様皮疹山田　朋子 , 出光　俊郎 37巻7号 , 2015年7月 , pp.706-708

PDF(923KB)

有料閲覧

文献概要を表示

水疱性類天疱瘡の患者の足背や下腿の水疱治癒後には，しばしば褐色調の角化を伴う局面が出現することがある．病理組織学的には，角質増殖，表皮肥厚や乳頭腫症など，脂漏性角化症や日光角化症，黒色表皮腫に似た変化を呈し，数週間から数カ月のうちに，これらは自然軽快する．この現象は創傷治癒過程における表皮の異常反応ではないかと推測されている．「はじめに」より）

基本情報

皮膚病診療
37巻7号
(2015年7月発行)

電子版ISSN：2434-0340 印刷版ISSN：0387-7531 協和企画

お気に入り登録(雑誌)
お気に入り登録(号)
最新号をみる

バックナンバー ( 閲覧可 )

文献閲覧数ランキング(
2月24日～3月2日
)

第1位気がつけば30年村尾和俊皮膚病診療 47巻 2号 pp. 183-183 (2025年2月1日) 協和企画
第2位皮膚腫瘍という診断名斉藤隆三皮膚病診療 47巻 3号 pp. 259-259 (2025年3月1日) 協和企画
第3位 Editor's eye 久保亮治皮膚病診療 47巻 3号 pp. 195-195 (2025年3月1日) 協和企画
第4位壊死性筋膜炎の画像診断長野徹皮膚病診療 46巻 13号 pp. 83-84 (2024年12月15日) 協和企画
第5位全身性強皮症に境界明瞭なモルフェア様皮疹を伴った6症例の臨床的検討今井紗綾,乙竹泰,川村飛翔,渡邊友也,金岡美和,山口由衣皮膚病診療 47巻 3号 pp. 200-204 (2025年3月1日) 協和企画
第6位紅皮症を呈したthymoma-associated multiorgan autoimmunity 松村奈津子,石川真郷,平岩朋子,菊池信之,花見由華,山本俊幸皮膚病診療 45巻 2号 pp. 175-179 (2023年2月1日) 協和企画
第7位膠原病の実臨床のコツ―皮膚筋炎の診断を極める― 明石憲佳,室慶直皮膚病診療 47巻 2号 pp. 101-109 (2025年2月1日) 協和企画
第8位花吹雪模様を呈する皮膚疾患乃村俊史皮膚病診療 47巻 3号 pp. 196-199 (2025年3月1日) 協和企画
第9位 VEXAS症候群～好中球性皮膚症を呈する新しい自己炎症症候群～山本俊幸皮膚病診療 45巻 11号 pp. 1040-1041 (2023年11月1日) 協和企画
第10位母親の多発性黒子が診断の契機となったNoonan syndrome with multiple lentigines（NSML，旧名LEOPARD症候群）の親子例吉岡愛育,辰田奈那恵,福本毅,小野竜輔,長濱通子,久保亮治皮膚病診療 47巻 3号 pp. 210-214 (2025年3月1日) 協和企画