臨床雑誌内科 94巻2号 (2004年8月)

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19歳女.動悸を主訴とした.3歳で川崎病に罹患した.大学入学時の健康診断で,不整脈を指摘されて近医を受診した.心房細動,左脚ブロックと診断され,投薬加療されたが効果はなかった.12誘導心電図で,P波,f波を認めず,R-R間隔が不整で,QRSは正常軸で左脚ブロック波形であった.長時間心電図記録では,一部にP波とQRSの解離である房室解離を認め,右脚からの自動能亢進を疑った.β遮断薬bisoprolol 1.25mg/日を投与したところ,洞性心拍とほぼ等頻度の左脚ブロック波形の心室調律を認め,一部に両者の融合収縮を認めた.Bisoprololを2.5mg/日に増量した結果,1日総心拍数,平均心拍数は減少し,正常洞調律となった.頻拍性の心房細動と紛らわしかった非発作性心室頻拍で,His束分岐部に比較的近い右脚からの下位自動能亢進によると考えられた.不整脈出現の原因は明らかでないが,川崎病の後遺症が可能性の一つとして考えられた

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71歳女.食欲低下,体重減少を主訴とした.近医を受診し,胃体部前壁と後壁に潰瘍を認め,プロトンポンプ阻害薬の内服を開始した.発語はほとんどなく,寝たきりの状態で,処置時に看護師に噛みつく等の行為があり,痴呆と診断されていた.精査加療目的に転入院し,一般検査で判明した低血糖,電解質異常を手掛かりに,MRI,内分泌学的所見により下垂体性副腎機能低下症と診断した.2日間,hydrocortisone 50mg/日の投与を開始したところ,血清K値低下,Na値上昇,食前血糖の上昇を認めた.その後,30mg/日の投与を行い,治療開始10日目頃から徐々に食欲が回復し,倦怠感も消失した.発言は理解可能となり,自力での食事摂取も可能となった.2週間後には介助で起立可能となり,リハビリによって歩行器使用での歩行ができるまでADLは拡大し,退院した.長谷川式痴呆スケールの結果は満点の30点であり,老年痴呆ではないと考えられた

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76歳女.胸骨部の痛みを主訴とした.末梢血への芽球の出現と骨髄で芽球の増生を認め,芽球の細胞化学的検索および細胞表面マーカーの解析により急性リンパ性白血病(ALL)と診断した.CT上,骨破壊を伴い,骨シンチグラフィ,Gaシンチグラフィでも同部に異常集積像を認めた.胸骨の痛みの原因は,白血病細胞の浸潤とそれによる骨破壊のためと考えられた.Adriamycin,vincristine,prednisolone,cyclophosphamide,L-asparaginaseを含む寛解導入療法を開始し,徐々に胸痛は軽快した.治療開始25日目に痛みは消失した.44日目の骨髄検査では部分寛解であったが,その後ALL-87プロトコールに準じた化学療法を行って寛解状態となり,現在も治療継続中である.ALL患者の理学所見として胸骨の叩打痛は1/3の患者に認められるとされるが,本例のように胸骨の自発痛を主訴とした症例は稀と考えられた

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65歳女.発熱,腹痛,下痢を主訴とした.近医で慢性関節リウマチのコントロール中であった.急性腸炎と診断し,絶食のうえ補液と抗生物質投与を行った.徐々に改善傾向にあったが,12日目に暗赤色便を認め,その後便は徐々に新鮮血を帯びて貧血も悪化した.下部内視鏡検査を施行し,回盲弁部の粘膜浮腫,潰瘍形成,内腔狭小化を認めた.回腸末端部に地図状潰瘍を,回腸末端口側から新鮮血出血を認め,小腸潰瘍からの出血と考えられた.回腸末端の病理所見で,血管壁を中心にアミロイド沈着がみられ,AA型アミロイドーシスと判明した.ステロイドの増量と絶食による中心静脈栄養を開始し,内視鏡検査を行いながら,入院10週目から消化態経腸栄養剤の経口摂取を300kcal/日から開始した.カロリーは徐々に増量し,13週目からは中心静脈栄養を中止した.経腸栄養剤開始後7週目には,回盲部の浮腫は著明に改善し,潰瘍は瘢痕化,管腔の狭小化も改善していた.10ヵ月を経過する現在,再発傾向は認めていない

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20歳男.発汗過多,手指振戦を主訴とした.2000年9月頃から下痢,腹痛,体重減少が出現し,その後血便も認められた.2001年,クローン病と診断され,栄養療法とprednisolone(PSL)の投与で症状は急速に改善した.2002年,クローン病が再燃し,投薬を再開した.主訴の出現により,甲状腺機能検査を施行した結果,TSH 0.05μU/ml未満,FT3 5.60pg/ml,FT4 3.70ng/dl,TSHレセプター抗体(TRAb) 21.10%で,TSHの低下とFT3,FT4,TRAbの上昇を認めた.眼球突出は認めなかったが,頸部に弾性軟の甲状腺腫大を認めた.バセドウ病と診断し,thiamazole(MMI) 20mg/日の投与を開始した.症状は軽快し,MMIを漸減したが,甲状腺機能は正常である.クローン病もPSL投与で症状は消失し,現在投薬を中止しているが緩解を維持している.クローン病再燃時にバセドウ病を発症した症例は,本邦ではこれまで1例しか報告されていない

基本情報

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臨床雑誌内科
94巻2号 (2004年8月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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