発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2004309628
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
71歳女.食欲低下,体重減少を主訴とした.近医を受診し,胃体部前壁と後壁に潰瘍を認め,プロトンポンプ阻害薬の内服を開始した.発語はほとんどなく,寝たきりの状態で,処置時に看護師に噛みつく等の行為があり,痴呆と診断されていた.精査加療目的に転入院し,一般検査で判明した低血糖,電解質異常を手掛かりに,MRI,内分泌学的所見により下垂体性副腎機能低下症と診断した.2日間,hydrocortisone 50mg/日の投与を開始したところ,血清K値低下,Na値上昇,食前血糖の上昇を認めた.その後,30mg/日の投与を行い,治療開始10日目頃から徐々に食欲が回復し,倦怠感も消失した.発言は理解可能となり,自力での食事摂取も可能となった.2週間後には介助で起立可能となり,リハビリによって歩行器使用での歩行ができるまでADLは拡大し,退院した.長谷川式痴呆スケールの結果は満点の30点であり,老年痴呆ではないと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004