発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2004309631
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20歳男.発汗過多,手指振戦を主訴とした.2000年9月頃から下痢,腹痛,体重減少が出現し,その後血便も認められた.2001年,クローン病と診断され,栄養療法とprednisolone(PSL)の投与で症状は急速に改善した.2002年,クローン病が再燃し,投薬を再開した.主訴の出現により,甲状腺機能検査を施行した結果,TSH 0.05μU/ml未満,FT3 5.60pg/ml,FT4 3.70ng/dl,TSHレセプター抗体(TRAb) 21.10%で,TSHの低下とFT3,FT4,TRAbの上昇を認めた.眼球突出は認めなかったが,頸部に弾性軟の甲状腺腫大を認めた.バセドウ病と診断し,thiamazole(MMI) 20mg/日の投与を開始した.症状は軽快し,MMIを漸減したが,甲状腺機能は正常である.クローン病もPSL投与で症状は消失し,現在投薬を中止しているが緩解を維持している.クローン病再燃時にバセドウ病を発症した症例は,本邦ではこれまで1例しか報告されていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004