発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2004309627
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19歳女.動悸を主訴とした.3歳で川崎病に罹患した.大学入学時の健康診断で,不整脈を指摘されて近医を受診した.心房細動,左脚ブロックと診断され,投薬加療されたが効果はなかった.12誘導心電図で,P波,f波を認めず,R-R間隔が不整で,QRSは正常軸で左脚ブロック波形であった.長時間心電図記録では,一部にP波とQRSの解離である房室解離を認め,右脚からの自動能亢進を疑った.β遮断薬bisoprolol 1.25mg/日を投与したところ,洞性心拍とほぼ等頻度の左脚ブロック波形の心室調律を認め,一部に両者の融合収縮を認めた.Bisoprololを2.5mg/日に増量した結果,1日総心拍数,平均心拍数は減少し,正常洞調律となった.頻拍性の心房細動と紛らわしかった非発作性心室頻拍で,His束分岐部に比較的近い右脚からの下位自動能亢進によると考えられた.不整脈出現の原因は明らかでないが,川崎病の後遺症が可能性の一つとして考えられた
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