助産雑誌 73巻1号 (2019年1月)

特集 分娩を遷延させないために助産師ができること

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 正常に進むと思っていた分娩なのに,思いのほか進まず,「搬送せざるを得なかった」「医師に連絡せざるを得なかった」という経験はありますか? そうならないように,妊娠期からの身体づくりをすることによって,分娩遷延を予防する助産院や院内助産での取り組みをまとめました。

 また関連記事として,分娩第2期が遅延する要因と助産師に求められる対応についても紹介します。

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矢島助産院の30年にわたる分娩に関する貴重なデータをご提供いただきました。そこから,母体搬送は増えているのか,増えているとしたら何か明確な理由はあるのか,考えてみたいと思います。

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分娩が遷延した際,医師が行うべき処置と,その判断基準をまとめていただきました。急速遂娩の対応,手術の際の確認事項,麻酔を使う際の注意点についても触れていただきます。

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お茶畑助産院では,スムーズに出産できるよう,さまざまな保健指導の取り組みを行っています。妊婦やその家族に「巣作り」を行ってもらうこと,食生活や運動量について細かくヒアリングすること,そしてヨガ・整体・お散歩のクラスについても,紹介していただきました。

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助産師外来と院内助産システムを取り入れている日本医科大学多摩永山病院。医師と連携しながら分娩管理は助産師主導で行っているため,妊娠中からの体づくりと精神づくりが重要です。助産外来での妊婦への保健指導と,分娩進行を促す院内助産でのケアをご紹介いただきます。

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野の花助産所では,分娩を遷延させないために,まずは妊娠中の体づくりを支援します。食事,体重,メンタル面の支援など,通常の保健指導を実施するだけですが,妊婦との信頼関係を築き,何でも言ってもらえる間柄になることが大切です。それぞれの妊婦に合わせたアドバイスをし,妊産婦の「違和感」を見逃さないことも大きなポイントです。

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硬膜外麻酔分娩(いわゆる無痛分娩)において,分娩第2期が遷延することが報告されています。麻酔が分娩第2期に及ぼす影響と,その際,助産師に求められる役割を述べていただきました。

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臨床現場にいても,助産研究をする機会があります。実際のケアを見直し,よりよいケアを行うためには,研究的視点が重要です。ただ,臨床側から見ると,少しだけハードルがあるのも否めません。では,臨床と研究がうまく連携するにはどのような視点が必要なのでしょうか。日本助産学会理事長の髙田昌代さんと聖母病院看護部長の山本智美さんに,このテーマで意見交換をしていただきました。

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はじめに

 日本の無痛分娩の割合は欧米の医療先進諸国と比べて低いが,その割合は2008年の2.6%(厚労省研究班)から2016年は5.2%(日本産婦人科医会)と2倍に増加している。

 日本産婦人科医会は,2017年8月に「無痛分娩を提供する施設では,器械分娩や分娩時出血異常,麻酔合併症などに適切に対応できる体制を整える」1)という提言を出した。しかし,従来の日本の助産教育は正常分娩の介助に主眼があり,基礎教育のテキスト等では無痛分娩に関する歴史的背景やケアの具体的な指針は見受けられない。

 筆者らは,臨床現場の助産師らがジレンマや葛藤を抱きながらも,日々の助産実践を通して,安全と快適な助産ケアを探究している様子から,無痛分娩の先進国フランスの助産ケアがヒントになるのではないかと考え,パリの助産師学校と大規模産院の視察を行った。

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延びる女性の平均寿命

 助産師は,「全てのライフステージにある女性の健康を支える専門職」であると言われて久しいですが,実際の働き方を見ると,助産師が全てのライフステージの女性を対象に支援しているかという点では,疑問を抱かれる方も多いと思います。一般の方だけでなく,われわれ助産師でさえも,助産師は出産施設を有する病院や診療所,助産所に所属し,妊産婦の出産を介助し,妊産婦支援や子育て支援を行う専門職だと考えている人が多いでしょう。

 私は,年に何度か一般の方々向けの健康講座をお引き受けすることがあります。その際,「全ての女性のために,あなたのそばに助産師がいます」と私が発言すると,参加者から「妊娠・出産以外で助産師さんに会いたいと思った時,私はどこに行ったらいいのですか?」と質問されることがしばしばあります。そのくらい,世間では「助産師は出産施設にいる(そこにしかいない)」というイメージが固定化されてしまっているのです。

連載 現場が変わる! チームに働きかける母性看護CNSの実践・1【新連載】

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はじめに

 左ページのような場面に出くわした時,あなたはどのように対応するだろうか?

 永田さん(仮名)は第1子出産後,産後うつ病を発症し,精神科通院を続けていた。産後1か月で児は乳児院へ入所せざるを得ず,現在も児童養護施設に入所している。それが引き金となり離婚に至った永田さんは,筋力低下を来す進行性の難病を発症。その後,再婚し妊娠した永田さんは第2子の妊娠末期に疲労感と上下肢の脱力感が増悪して周産期センター入院となった。

 入院後,難病治療薬である免疫抑制剤の内服を中断していたことが判明し,医療スタッフが再三服薬を勧めても永田さんは拒否。頻回にナースステーションを訪れ,禁忌薬剤である抗不安薬や睡眠導入剤を希望する永田さんへの対応に,スタッフは困り果てていた。入院6日目,ナースステーションでわめき立てる永田さんに母性看護専門看護師(Certified Nurse Specialist:CNS)である田村は「ゆっくりお話ししませんか?」と声をかけた。

 永田さんは,シングルマザーとして生き抜くために資格取得の勉強を続けていた。真面目な性格の永田さんは,家事・育児,産休明けの仕事復帰と頑張り過ぎて産後うつに陥ってしまった。その経験から,進行性の難病による上下肢の脱力感が育児に影響を及ぼすことを予測して,今回は妊娠中から産後の家事サービスなど社会資源の活用について調べていた。

 産科スタッフは,永田さんに子育ては難しく,第2子も乳児院に預けることになるだろうとの見解であったが,CNSの田村は養育力がないと断定するのは適切ではないと判断。支援を受けながらの養育が可能ではないかと査定し,ケースカンファレンスを企画した。自ら前回の経験を振り返りながら第2子を自分で育てるために準備してきた永田さんの力を基に,どのようなサポート体制を整備していくかを協議した。

 その後,前回の出産・育児をCNSと共に振り返る中で,永田さんが感じていた不安が整理され,永田さんは無事に出産を終えた。産後,脱力感やEPDS(エジンバラ産後うつ病自己評価票)の悪化はなく,夫と義母,地域の社会資源に支えられ,自宅で第1子を引き取る準備をしながら,第2子を育てている。

連載 続・いのちをつなぐひとたち・7

ロビン・リムさん
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貧困や災害から母子の命を守る無償の助産院をバリ島で実現

命を落とさなくても済む母親たちが,今日も世界のどこかで子どもを残して逝く。自身も味わった悲しみから立ち上がり,貧困女性を守る助産師となったロビン・リムさん。驚異的な活動が世界的ニュースメディアである「CNN」にも注目され,2011年「ヒーロー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。今,世界で最も熱い助産師のひとりだ。

連載 宝物,教えてください・36

スナさんの手記 石川 紀子
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 これは,私に改めて助産師としての矜持を示してくれた手記です。昭和初期から戦後にかけて,長崎県五島列島の小さな島で活躍していた明松スナさんが書いたものです。助産師として人生を送ったスナさんに,自身の足跡として手記を書くよう勧めたのは,同じく開業助産師だった私の伯母でした。鉛筆で書かれた手記には,スナさんの力強い言葉があります。

 「助産の技術は上達しても,異常を素早く判断できなければならない。そのためには内科・外科・泌尿器科・小児科など,よほどの知識を勉強し頭に入れておかなければ,異常の早期発見,合併症を見出すことはできない。母体と胎児の健康状態をすぐに見抜くようにならねば,人の命を預かる資格はない」

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・45

静岡医療科学専門大学校助産学科
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沿革

 静岡医療科学専門大学校は静岡県浜松市浜北区に1996年に創設された7学科(理学療法学科,作業療法学科,医学工学科,看護学科,助産学科,医学検査学科,医学放射線学科)を擁する専門大学校です。

 2006年の看護学科開設当時,静岡県下では看護専門学校の卒業生が助産師免許を取得できるコースがありませんでした。そこで産婦人科医師でもある学園長は,助産師を目指す看護師の方々の要望に応えるため,関連病院の「かば記念病院」(静岡県初の産婦人科単科病院)の全面協力のもと,2010年に助産学科を開設しました。助産学科は今年で9年目を迎え,卒業生は96名となりました。

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 「つわりは異常じゃない,絶対にいつか終わる。でもやっぱり,1人で乗り越えるのはしんどい」。昨年つわりを体験し,改めてわかったことはこれだと思う。

 私は,2004年頃からつわりに関する看護研究を細々と続けている。ご存知の方が多いと思うが,つわりの原因や有効な対処法は未だ研究的に明らかでない。でも妊婦さんは,自らのつわりが少しマシになる方法やつらくなる状況などを知っていることもある。そこで,私は妊婦さんが自分に合ったつわり軽減方法を見出せるよう支援するプログラムを開発し,その効果を検証する研究に取り組んだ。そして研究が終わり論文を投稿し終えた頃,自らも妊娠し,つわりを体験することになった。

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助産雑誌
73巻1号 (2019年1月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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