連載 宝物,教えてください・36
スナさんの手記
石川 紀子
1,2
1静岡県立大学看護学部
2静岡県立大学大学院看護学研究科
pp.5
発行日 2019年1月25日
Published Date 2019/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201169
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これは,私に改めて助産師としての矜持を示してくれた手記です。昭和初期から戦後にかけて,長崎県五島列島の小さな島で活躍していた明松スナさんが書いたものです。助産師として人生を送ったスナさんに,自身の足跡として手記を書くよう勧めたのは,同じく開業助産師だった私の伯母でした。鉛筆で書かれた手記には,スナさんの力強い言葉があります。
「助産の技術は上達しても,異常を素早く判断できなければならない。そのためには内科・外科・泌尿器科・小児科など,よほどの知識を勉強し頭に入れておかなければ,異常の早期発見,合併症を見出すことはできない。母体と胎児の健康状態をすぐに見抜くようにならねば,人の命を預かる資格はない」
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