助産雑誌 72巻6号 (2018年6月)

特集 助産師が行なう産後ケア 自立を支援する視点から

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法律改正や市町村事業化などの影響もあり,「産後ケア」についての認知度は高まってきていますが,十分な普及には至っていません。本特集では,さらに理解を深めるために,「助産師が中心となって行なう産後ケア」について,自立支援の視点の必要性や,具体的内容,地域やクリニックでの実践報告を含めて紹介し,今後の発展につなげたいと考えます。また,台湾における産後ケア施設の実際や社会的背景についても紹介します。

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産後ケアの基本となる,「母親が育児の見通しや自信をもつことを支援する」視点の大切さや,多職種の中での助産師の役割などを解説していただきました。産後ケアに関する調査研究の結果や,日本助産師会が予定している産後ケアガイドラインの策定についても紹介します。

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日本助産師会では産後育児ケアの充実をビジョンの1つに掲げ,研修やガイドライン等の策定に取り組んでいます。そこで,産前・産後ケアに関する考え方や,地域の助産師の実践を紹介していただくとともに,今年4月から同会が運営を受託している産後ケアセンター事業についても述べていただきました。

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414ページでも紹介されたように,川崎市助産師会は市の委託を受けて産後ケア事業を実践しています。地域に根ざし母親の「自立支援」を目指す産後ケアに学ぶため,助産学教育・研究者の稲田氏が川崎市助産師会の勝俣会長と岡本副会長を取材し,取り組みの特徴やその意義を報告してくださいました。

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産前産後ケアセンター東峯サライは,診療所,助産所,保育所の機能を備えた複合型産後ケア施設として,2014年に誕生しました。医療機関の附属施設において,助産師がケアを行なう意義について,ハイリスクとされる母親の支援事例とともに紹介していただきます。

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3年前に分娩業務を終了し分娩施設を産後ケア施設に改装した「綾瀬産後ケア」は,退院後の母子の生活を見据えた支援を実施しています。産後ケア施設への転用にあたり,動線を含めた環境面の変更点と,助産師としての精神面の変化をまとめていただきました。

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台湾には産後の養生を重視する文化があり,産後ケア施設が充実しています。その利用率は非常に高く,日本が学べることも多くありそうです。そこで本稿では,台湾における産後ケアの特徴,専門職の役割,法的整備などについて解説していただきます。

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2018年3月11日,第1回日本産前産後ケア・子育て支援学会が開催されました。本学会の特別講演に招聘された台湾の李秀玫さんに,経営されている産後護理院(産後ケア施設)・賀果悦児産後ケアセンターの実際や,台湾の産後ケア事情についてうかがいました。

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はじめに

 2017年12月18〜19日,筑波大学の新たな学術提携校となるモンゴル国立医科大学看護学部において,ウランバートル市周辺の産院に勤める助産師,大学教員(医師,看護師ほか),看護学生を対象としたドゥーラワークショップ「周産期ドゥーラの実践と現代の母子保健への貢献:モンゴルの母子保健の現状と課題」が開催されました。主催はモンゴル国立医科大学で,筑波大学もスポンサーとして共催しました。

 ドゥーラ(doula)とは古いギリシア語で「他の女性を助ける,経験ある女性」という意味です。本来そのような非医療的・継続的支援は,呼び名にかかわらず昔から世界中で存在し1),モンゴルでも,遊牧民のコミュニティの中など,そのような世話役を担って人々の尊敬を集めていた女性は必ず存在していたそうです。

 しかし,出産ケアが医療化や分業化されるにしたがい,先進国だけでなく途上国でもそのような自然なサポートシステムは失われかけています。先進国では1980年以降,ドゥーラサポートが安産や母乳育児に効果があることを裏付ける優れた研究が多く生まれ,科学に裏打ちされた有効性が認識されるにしたがい,新たな非医療職「ドゥーラ」も欧米を中心に発達しました。例えば米国では出産の6%にドゥーラが付き添っています2)が,日本では出産ドゥーラはまだほとんどいません。代わりに日本では産後ケアを提供する産後ドゥーラが先に増えています。

 今回のワークショップを実施した目的は主に2つありました。医療的な管理分娩が主流となりドゥーラの情報があまり知られていないモンゴルに,周産期ケア改善の鍵として近年ますます注目を集めるドゥーラサポートの情報を包括的に伝え,モンゴルの社会・文化に合った導入方法を現地の皆で検討すること,そして,これまで主に先進国で発達してきたドゥーラの概念を,モンゴルを足掛かりに他の途上国へも普及する可能性を探ることでした。

 2日間のプログラムの概要は表1のとおりです。1日目はドゥーラサポートの概要や科学的根拠について紹介しつつ,モンゴルの周産期ケアや助産教育の状況についても学び,2日目はドゥーラサポートの概念のさまざまな応用法や,現在と今後の研究プロジェクトについて話し合いました。ワークショップの中では,モンゴルの保健省や国立研究センター,モンゴル国立医科大学からお招きした専門家による講演も行なわれました。また,ドゥーラの実践についての米国と英国のドキュメンタリー映画も上映されました。

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 沖縄本島から西方へ約100km離れたところに,人口約8000人の久米島がある(図1)。久米島には公立久米島病院(以下,当院)がある。島では分娩の取り扱いはしていないが,当院には4名の助産師が働いている。

 本稿では,「産婦人科医がいない」「分娩対応をしていない」久米島で,助産師がどのような活動をし,役割を発揮しているか,また助産師としてのモチベーションややりがいをどう見つけているのかを紹介したい。

連載 私たちの仕事場・26

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多様化する周産期医療に対応できる病院を目指して

 埼玉医科大学総合医療センターは,「Your Happiness Is Our Happiness」を基本理念に掲げ,病床数1053床,36診療科,高度救命救急センターを有する急性期病院です。埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター(以下,当センター)は2000年に開設し,現在はMFICU30床,NICU51床(今後60床になる予定)の病床数を有し,全国一MFICUの病床数が多い総合周産期母子医療センターとして,ハイリスク妊産褥婦や新生児の搬送を受け入れています。

 2017年は,分娩件数928件のうち帝王切開術が511件(55.1%)でした。また,母体搬送は196件(21.1%),産褥搬送44件(4.7%)と,ハイリスク妊産褥婦の入院がとても多くあります。このようなハイリスク妊産褥婦と接する機会の多い当センターの助産師は,「異常の中から正常を探す」ということを日々行なっています。また,質の高い助産ケアを提供できるように自己研鑽にも励んでいます。

連載 宝物,教えてください・29

思い出の写真入りCD 黒川 寿美江
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 私の宝物は,2008年の聖路加看護大学助産課程の閉講記念パーティで,“Class of 1981年同期”の塩野悦子さん(宮城大学教授)から記念にいただいた,学生時代の思い出の写真が入ったCDです。塩野さんは,日本助産師会の機関誌『助産師』で1995〜1999年に連載していた4コマ漫画「MACとKENTAの育児日記」の作者です。そのタッチでCDの表面にイラストを描いてくれました。

 私たち11人の助産課程専攻者は,大学4年時の夏休みから秋にかけて24時間のオンコール実習を,「オンコール村」と称する当時の校舎の一画で,寝食をともにして行なっていました。直接介助10例は入院から退院までの助産ケアを行ない,そのほかに間接介助10例や新生児訪問と,体力の限界を感じる実習でしたが,これらが私の原点です。病棟のやり方に左右されず,妊産褥婦と新生児に必要なケアを受け持ち,助産師と一緒に考えて計画を立案し,実践するという自由度の高い実習でした。

連載 ワタナベダイチが行く! 全国・両親学級レポート・6

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はじめに

 これまで5回にわたって特徴的なプログラムを実践する両親学級を紹介してきましたが,今回はプログラムの充実度もさることながら,毎回両親学級のために関係スタッフ全員で打ち合わせをし,受講者の特性に合わせて講座の運営を変えているという,愛知県の吉村医院を紹介します。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・38

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沿革と環境

 長崎の助産教育の歴史は,遡ること100年以上前の1903(明治36)年,長崎県立長崎病院附属看護婦養成所として発足しました。その後,大正,昭和,平成と時を経て,助産師教育も変遷しました。同養成所は,専門学校,短大専攻科,4年制大学での助産師コースと変わり,そして,2012年からは長崎大学大学院医歯薬学総合研究科に,修士課程の助産師養成コース(以下,本コース)を開設しました。主な設置主体の変遷は表1の通りです。これまで1000人を優に超える助産師を輩出してきました。

 長崎の文化的な特色を背景に,長い歴史と自由な気風が特徴です。学習環境としては,街を見下ろす高台に位置し,すぐ近くには実習病院である長崎大学病院があります。

連載 りれー随筆・401

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帰国した日のお風呂で

 お風呂に入りながら涙を流したのは初めてのことでした。

 難民キャンプでの仕事を終え,帰国した日のお風呂はいつもとまったく違っていました。特別ありがたいものだと感じたのです。張り詰めていた心と,どっと押し寄せる疲労感を,身体全体に広がる温もりが解きほぐしてくれるのを実感できたからです。

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助産雑誌
72巻6号 (2018年6月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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