助産雑誌 71巻1号 (2017年1月)

特集 麻酔分娩に,どう向き合うか

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近年わが国では,麻酔分娩を行なう施設数,麻酔分娩の実施件数ともに増加の一途をたどっています。

先進諸外国と比べれば分娩全体における比率はまだまだ少ないものの,日常臨床で麻酔分娩を希望する妊婦と出会うことや,施設によっては実際に麻酔分娩の介助を行なうこともあると考えると,避けては通れない話題です。

本特集では,麻酔分娩の場面における助産実践の実際を学ぶとともに,麻酔分娩に助産師はどう向き合えばいいのか,そのなかで何ができるのかについて,個々の助産師が臨床での体験を通して感じたこと,考えたことを中心に紹介していただきます。

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麻酔分娩の場面における助産実践の実際について,研究を通して得られた知見と考察を解説していただきました。伝統的な出産観・助産観をもつ助産師にとって,麻酔分娩の実践は非常に気を遣うものであるようです。

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「出産するのは産婦自身」であることを認識したうえで,産婦とその家族が主体になるように寄り添う姿勢を大事にしているとのこと。麻酔分娩についての正確な知識をもち,産婦の安全・安楽を確保できるケアを提供することが重要です。

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麻酔分娩でも自然分娩でも,産婦にかかわる助産師としての姿勢は変わりません。重要なのはどちらを選ぶのかではなく,どのような選択をしていてもその状況のなかで産婦が満足感や納得感を得られるよう寄り添うこと。臨床での体験を通しての思い・考えをまとめていただきました。

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助産師によって麻酔分娩に抱く思いはさまざま。自然分娩との違いに戸惑いながら葛藤する人もいれば,医療介入の多い麻酔分娩であるからこそ,きめ細やかな観察が欠かせず,やり甲斐を見出す人も。率直な思いをまとめていただき,助産師はどう向き合ったらよいか考えます。

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母子の本来の力を信じて待つことを教えられた助産師として,麻酔分娩には「助産観の枠を広げて」向き合っているとのこと。メリットとデメリットを理解し,麻酔分娩を選択した産婦に専門職として寄り添うことが重要です。

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バランシングセラピーTMとは

 「バランシングセラピーTM」とは,ドイツ人小児理学療法士であるカリン・カルバントナ−ヴェルニッケと小児科医のトーマス・ヴェルニッケによって独自に考案された,生後すぐの赤ちゃんに取り入れることのできる手技で,特定の部位に優しい圧を加えることによって発達を促します。これは,主に日本の鍼・指圧と中医学の考え方に西洋医学の知識とエビデンスを融合したまったく新しい方法で,統合医療を赤ちゃんへの手技に応用したものと言えるでしょう。

 この手技を行なうことにより,生後すぐから1年までの赤ちゃんの姿勢・運動発達を促すことができます。また,日常で何気なく行なう赤ちゃんの扱い方についても学習し,発達に歪みがないようアセスメントを加え指導する方法を学びます。これらの内容から,日本名は「バランシングセラピーTM」(以下,BT)と名づけられました。

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緒言

 全国の助産師の就業場所は,病院61.9%,診療所25.9%1)で,6割以上の助産師が就業する病院では,ハイリスク分娩の増加や病棟の混合化による助産師の助産実践能力を獲得する機会の減少,キャリア形成支援,助産実践能力の強化支援が課題となっている2)。日本看護協会は,助産師の適正配置とキャリア開発支援として,2013年より「助産師出向システム」を推進している。このシステムは,病院勤務助産師の就業先の偏在是正や助産実践能力の強化につながる3)として,その効果が期待されている。

 A県は2002年以降,産婦人科医師数が減少傾向にある。分娩取り扱い施設の多くは県の中心とその周辺地域に偏在し,分娩取り扱い施設の空白地域が存在している。また,A県ではハイリスクな妊産婦は病院へ,正常な妊娠経過をたどる妊産婦は診療所へという,産科医療における集約化が進められている。A県は病院勤務助産師の就業先の偏在が見られ,その是正に助産師出向システムの活用が効果的と考えられるが,導入は進んでいない。そこで本稿では,A県の病院に勤務している助産師の助産師出向システムへの出向に対する思いを明らかにすることを目的とする。

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はじめに

 体外受精-胚移植(以下,IVF-ET)後,卵巣過剰刺激症候群(以下,OHSS)のため,入院加療していたA氏は,既往妊娠歴に不妊治療後の子宮外妊娠があり,正常妊娠が確定するか否かに不安を抱いていた。A氏の経過は,正常妊娠ではなく流産となったが,筆者はA氏とのかかわりを終え,A氏の病状の変化とその都度見せられる言動ならびに表情から,正常妊娠の確定に不安を抱く方へのケアの必要性を実感した。

 医学中央雑誌Webにおいて,過去10年間の研究について「流産 経験」のキーワードで検索したところ,先行研究は291件,さらに「ケア」を追加したところ39件の研究が挙がったが,いずれも流産確定後のアフターケアについての研究であり,確定前のケアについて研究された文献は見つからなかった(2015年)。

 本稿では,筆者がかかわったケースを振り返り,流産が確定するまでの過程における本人の体験と看護ケア内容およびその反応を明らかにし,正常妊娠確定前にある方へのケアについて考察する。

 なお,ケース本人には本稿の目的および個人情報の保護について口頭および書面にて説明し,同意を得ている。

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はじめに

 筆者らは『助産雑誌』70巻8号で,産後ケア・育児支援としてのエクササイズの活用として,中部大学で開催している子育てセミナー「ベビービクスと子育てミニレッスン」(以下,セミナー)について紹介した1)。4回シリーズのセミナーでは,乳児の成長発達と母親の親としての成長を見守り,促していく。同時に,運営スタッフとして参加する看護学生も成長する。

 本稿では,看護学生が乳児・母親とともに成長し,ともに学んでいく姿に焦点を当て,2015年度の「中部大学で開催する乳児と母親に対する子育てセミナーによる看護学生の共育・共学プロジェクト」に参加した7期生12名の実践を中心に報告する。

連載 私たちの仕事場・12

山本助産院
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助産院開業のきっかけ

 私(山本)は,それまで勤めていた横浜市立大学病院を退職して,1994年7月に自宅の一室で助産院を開業しました。困っているママたちの力になりたいと,母乳育児相談を中心に始めました……ということにしていますが,本当は,子育てをしながらの3交代勤務や,長男のくり返す喘息などで綱渡りの状態で,精根尽き果ててのバーンアウトでした。しかし退職してしばらくすると,主婦業だけでは飽き足らず,夫の一言「助産師には,開業権があるんだから,自宅で育児相談してみたら」の一言が,助産院を開業するきっかけとなりました。

 開業当初のある日,自宅出産をしてくれませんかと依頼がありました。分娩を取り扱うなど,まったくの想定外でしたからお断りしたのですが,近隣のI医師に「山本さんは助産師なんだから分娩しなくちゃもったいない! 僕のところの分娩室でお産をして,問題がなければ早めに退院させてそのあと自宅訪問したらいいじゃない?」と言うではありませんか。おまけに嘱託医師も引き受けてくださり,お産にかかわるきっかけをもらいました。それが分娩取り扱い第1号です。

連載 宝物,教えてください・12

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 今から30年前,5月晴れの気持ちのよい季節に私は初めて母親になった。なかなか子どもが授からず,結婚から3年半が経っていた。子どもができづらいと言われていたけれど,もしできたらたくさんいたらいいなあと思っていた。そんななか,翌年第2子を,その翌年に第3子を授かった。その5年後,開業準備をしている時に第4子を授かった。

 子育てをするなかで,小さな不安を解決しないまま抱えてしまうと大きな不安を生むこと,地域には悩める母親が多いこと,子育ての知恵や技が伝承されていないことなどに気がついた。それは私も同様だった。それに気づいてからは,もう病院には戻れなくなった。子どもたちからの学びが,私の背中を開業へと力強く押してくれた。

連載 ワタナベダイチ式! 両親学級のつくり方・7

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はじめに

 今回も,まずは質問からスタートしますね。

 初産のプレパパ向け講座のファシリテーションを任されたとします。講座のハイライトは,子育て歴6か月程度の先輩パパを招いての質問コーナーです。プレパパたちが先輩パパに聞きたいことを何でも質問していい時間です。

 ところが,今回の受講者たちは奥手なようで,なかなか質問の手が挙がりません。一方の先輩パパもはにかみ屋で,自分から積極的に語るタイプではありません。せっかくの質問タイム,しかも先輩パパにはこのためだけにわざわざ来てもらっているのに,全然質問が出ないまま時間が過ぎていきます。

 ファシリテーターのあなたは,この状況をどのように打破しますか?

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・23

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蔵の街 栃木に誕生した助産学科

 栃木県栃木市は,江戸時代には宿場町として栄え,市内を流れる巴波川の舟運を活用した商人町として発展を遂げました。現在も蔵づくりの建物を中心とする歴史的な街並みが残っており,風情のある自然豊かな環境に囲まれています。

 マロニエ医療福祉専門学校は,由緒ある歴史をもつ蔵の街栃木に,1995年に開設した医療福祉の専門職業人を育成する専門学校です。助産学科は,2015年4月に,地域に貢献する助産師を育成する目的で開設した,栃木県内唯一の1年制の助産師養成課程です。

連載 りれー随筆・385

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 実家の隣が,産婦人科の医院だった。朝起きると,母が朝食の準備をしながら窓の外を見て,「今日も赤ちゃん生まれたんだわ〜」とよく言っていた。何でわかるのだろうと思っていたが,出産があった日には,ビニールのシートが外に干してあった。

 たまに医院に遊びに行って,赤ちゃんを見せてもらっていた。赤ちゃんは,コットに頭を下,足を上にして寝ていた。「何で頭を下にして寝かせているの」と聞いたら,「赤ちゃんは頭を下にして,お腹の中に居るからだよ」と教えられた。今になってみれば,「え〜っ」と驚く。どのくらいの時間そのように寝ていたのだろうか,逆子の場合はどうしていたのだろうかと疑問がわいてくる。

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助産雑誌
71巻1号 (2017年1月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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