レポート
正常妊娠の確定に不安を抱く方とのかかわりを振り返って
川畑 綾子
1
,
角野 美希
2
1日本赤十字社医療センターMFICU分娩室
2前 奈良県立医科大学附属病院
pp.52-56
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200680
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はじめに
体外受精-胚移植(以下,IVF-ET)後,卵巣過剰刺激症候群(以下,OHSS)のため,入院加療していたA氏は,既往妊娠歴に不妊治療後の子宮外妊娠があり,正常妊娠が確定するか否かに不安を抱いていた。A氏の経過は,正常妊娠ではなく流産となったが,筆者はA氏とのかかわりを終え,A氏の病状の変化とその都度見せられる言動ならびに表情から,正常妊娠の確定に不安を抱く方へのケアの必要性を実感した。
医学中央雑誌Webにおいて,過去10年間の研究について「流産 経験」のキーワードで検索したところ,先行研究は291件,さらに「ケア」を追加したところ39件の研究が挙がったが,いずれも流産確定後のアフターケアについての研究であり,確定前のケアについて研究された文献は見つからなかった(2015年)。
本稿では,筆者がかかわったケースを振り返り,流産が確定するまでの過程における本人の体験と看護ケア内容およびその反応を明らかにし,正常妊娠確定前にある方へのケアについて考察する。
なお,ケース本人には本稿の目的および個人情報の保護について口頭および書面にて説明し,同意を得ている。
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