助産雑誌 70巻2号 (2016年2月)

特集 新生児の疾患とその徴候―見逃してはいけない異常徴候

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出生直後の入院中に助産師が新生児に感じた「なんとなく具合が悪そう。でも,こんなものかな?」という印象をそのままにしないことが,新生児を疾患から救う第一歩になります。助産師が何らかの兆しに気づくことで,高次施設へつなぐ時期が早まるかもしれません。

本特集では,疾患の徴候を見逃さないための観察のポイントを解説し,少しでもよりよいケアを受けられる新生児を増やすことができればと考えています。

「正常新生児は存在しない」─つまり,すべての新生児は疾患を発症する可能性をもっていると考え,ケアすることが大切です。

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母体疾患や感染症,在胎期間など,事前に情報を把握することで,生まれてくる新生児が疾患を発症するリスクを予測することができます。助産師は妊娠期間中にそれらの情報に触れることができる専門職です。疾患の早期発見のスキルをみがき,新生児科との情報共有に活かしましょう。

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近年問題になっているlate preterm児。見た目が大きく,元気であっても,油断せず管理しなければなりません。注意して観察すべき点と,NICUへの搬送が必要な場合を解説していただきました。

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2014年度から全国的に実施されているタンデムマス・スクリーニングでは,今までの新生児マススクリーニングよりも多くの疾患を発見することができます。その概要と,陽性の場合の対応を解説していただきました。

【注意すべき徴候,疾患と,その対応①】

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新生児の黄疸はほとんどが生理的なものなので,母親や父親には心配させないような声かけをすることが大切です。ただし,なかには病的な黄疸もあるので,その見極めをするために,注意深く新生児を観察しましょう。

【注意すべき徴候,疾患と,その対応②】

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なぜ新生児の肋間や胸骨が陥没しているのか,なぜ新生児が呻っているのか,それぞれ必ず理由があります。緊急度・重症度の高いものがあるので,徴候を見逃さずに迅速に対応できるようにしましょう。

【注意すべき徴候,疾患と,その対応③】

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新生児けいれん(新生児発作)も無呼吸も,機器を用いたモニタリングがとても大切です。同時に,バイタルサインや新生児の体の動きをしっかりと見ることが,疾患の徴候を見つけるポイントです。

【注意すべき徴候,疾患と,その対応④】

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児の哺乳不良は,神経学的異常や全身状態悪化が原因で起こる場合もあり,注意深い観察と診断が必要です。また,児の哺乳が進まないと,母の育児不安につながり,良好な母児関係の妨げになる可能性があります。適切な鑑別診断と母へのケアのポイントをおさえておきましょう。

連載 私たちの仕事場・1【新連載】

総合母子保健センター愛育病院
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歴史と伝統を新病院でも受け継ぐ

 愛育病院(以下,当院)は1938年に設立され,80年近く東京都港区南麻布の有栖川宮記念公園の隣で母子専門病院として歴史を刻んできました。2015年2月,同区内の芝浦に移転し,4階建てから9階建ての病院に生まれ変わりました。病床数も118床から160床に増床,診療科も増え,勤務する看護職もほぼ倍になりました。看護体制の構築から業務内容・物品の整備に至るまで,看護スタッフが協力し合って各病棟をつくっていきました。移転と同時に外来部門のすべてに電子カルテを導入したので,当初はスムーズな診療体制を構築することに精一杯で,システムづくりなどの業務に追われる日々でした。

 まもなく新病院の開院から1年を迎えます。規模が大きくなるということは,診療科が増え,病床数が増えるだけではなく,新たにシステムが構築され,さまざまな考えをもったスタッフが増えるということでもあります。どのスタッフも,愛育病院の理念,そして看護部の理念,めざす母子医療の方向性を共通認識し,母子保健に貢献する気持ちでお互いが協力・連携していくことが,新病院においては特に大切だと感じています。

連載 宝物,教えてください・1【新連載】

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助産院の廊下に,丸シールでつくったカラフルなグラフが貼ってあります。在胎週数を横軸にしたヒストグラムは,きれいな正規分布を描いています。赤ちゃんが生まれるたびに,その子の在胎週数日に丸シールをポチッと貼ってきました。シールには開業以来の分娩番号が記入してあります。開業16年目で800番を数えました。年ごとにシールの色を変えていて,2016年は緑。

 「分娩予定日を挟んだ5週間が,助産院の守備範囲。ここから外れた時期には,助産院でお産はできません。病院にも助産院から手伝いに行きます。無事に出産したら,産後を助産院で過ごすのもOKです。分娩予定日って,ぴったりその日に生まれるってことではないの。こんなにバラけるんですよ。当番の助産師たちは,いつお産に呼ばれてもいいように,ヨーイドン!の恰好でいつも待っているの。パパも,しばらくは晩酌控えてくださいね」なあんて,見学に来たカップルに,このグラフをお見せしながら,話をするのが楽しいのです。

連載 助産研究をしよう 基本を押さえて臨床で活かす!・2

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研究のノウハウの前に

 初回は,「研究って何? 忙しいのに(怒)」「何で研究をしなければいけないの?」ということについてお話ししました。今回は「何のために研究をするの?」の続きです。例えば,料理をしなければいけない理由は「お腹が空くから」で,料理によって生み出されるものは「食べ物」です。研究をする理由は「知りたいから」で,研究によって生み出されるものは……? 答えは「科学的知識」です。でも,科学的な知識って何でしょうか? 最近では「エビデンス」という言葉もよく使われますが,エビデンス(文字通り訳すと「証拠」)ってどんなものでしょうか?

 本当は,研究の具体的なノウハウに早く話を進めたいのですが,あえてここを丁寧に確認します。というのは,ここをおろそかにしてしまうと,後で行きづまるからです。「急がば回れ」でどうかお付き合いください。

連載 海を渡る助産婦 長崎・五島列島で活躍した明松スナさんの手記・2

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明松スナ助産婦による手記 記録・小野幸子 加筆・石川紀子

子どもたちに送られて帰る

 いくつか記憶に残っていることを書いてみましょう。

 ある日,折島(図1)から,3日間痛まれている産婦がいるが,どうしても生まれないので,ぜひに来てほしいと,往診依頼がありました。不安を抱きながら青方港(図1)まで行くと,頭に鉢巻をし片肌を脱いだ出で立ちの,男女9人が乗った伝馬船(図2)がいて,「早うこの船へ乗ってくれんかな!」と急かされるまま乗り込むと,一気に漕ぎ出しました。「ヒッショイ! ヒッショイ!」の掛け声を合わせ漕ぐうちに,まもなく島へ着きました。抱きかかえるようにして降ろされた私は,案内役の後を足をもつらせながら走り,息せき切って患家先の敷居をまたぎました。

連載 ほんとうに確かなことから考える 妊娠・出産・子育てのはなし・6

骨盤位について 森 臨太郎 , 森 享子
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今回のテーマ

 順調な妊娠経過と,母子ともに安全で穏やかな出産を願わない人はいないだろう。妊娠中,いわゆる「正常」ではない経過になった時の妊婦の不安は改めて記すまでもない。「人事を尽くして天命を待つ」と,どんと構えていられる妊婦はいったいどれくらいいるだろう。妊娠中はとても敏感で繊細な時期であり,1つひとつの出来事に一喜一憂する妊婦が少なくない。今回は妊婦の悩みの1つである,「骨盤位」の問題を取り上げてみる。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・13

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学び舎はきらめく渚の近くに

 東京駅から高速バスで東京湾アクアライン,南房総里山を通り,鴨川有料道路を走り約90km南下すると,緑の松林を背にしたサファイアブルーにきらめく渚にたどり着きます。終点が亀田メディカルセンター前,校舎まで徒歩3分です。

 青い空に,深いブルーの黒潮,サーファーたちが波乗りを楽しんでいます。朝は大海原から昇る太陽と小鳥のさえずりで目を覚まし,夏は満天の星に数種の蛙の大合唱,秋には虫の音。豊かな自然と共存し,充実した助産の勉学に集中できます。

連載 りれー随筆・374

産む力,生まれる力 久永 加代子
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助産師になって30年以上が過ぎた。今は管理部門にいるため現場からは離れてしまったが,無性に現場に身を置きたくなることがある。

 産科病棟の師長時代,「生む力係」という係をつくり,母と子,家族を支援するための取り組みをスタッフとともに行なっていた。生む力とは,単に出産する力だけではない。子どもの生まれる力,生まれた子どもを育み,家族が生まれる(成長していく)力,家族が社会に影響する力(社会の一部として何かを生み出す力)。それらのすべてに,私たち助産師はかかわっている。私は現場を離れたが,今,後輩たちの目標は「生む力,育む力を支える」と進化し,取り組みを継続してくれていることが嬉しい。

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「周産期精神保健」とは何か

 2015(平成27)年11月14日(土)から15日(日)にかけて,埼玉県さいたま市の大宮ソニックシティで,第2回日本周産期精神保健研究会が開かれ,180人が参加した。

 私は,2009(平成21)年に第54回日本未熟児新生児学会で,この研究会の「キックオフの集い」が開かれた時に居合わせている。医学の学会のなかで,心に焦点を合わせた会が幕を上げたことに驚きを感じた。発起人として,カンガルーケアの普及に尽力された堀内勁氏(聖マリアンナ医科大学)と,日本のNICUにおいて臨床心理士が活躍する基盤を築かれた橋本洋子氏(山王教育研究所)が前に座っていらした。

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助産雑誌
70巻2号 (2016年2月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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