助産雑誌 62巻4号 (2008年4月発行)

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特集　糖代謝異常のサインを，どうキャッチするか

扉 62巻4号 , 2008年4月 , pp.289

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糖尿病が国民病といわれる今日，出産を契機に糖尿病を発症する妊婦や，糖尿病を合併している妊婦の出産が増えています。妊婦が糖代謝異常であると胎児や母体への影響があるため，何よりも早期発見と適切な治療が大切です。特集では，助産師が知っておきたい糖尿病の最新知識と，外来や病棟で，ハイリスク妊婦である糖代謝の異常を，どう見つけ適切な支援をするべきかを，事例とともに考えます。

助産師に知ってほしい周産期の糖尿病福井　トシ子 62巻4号 , 2008年4月 , pp.290-293

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糖尿病を合併する妊婦が増えている現在，糖尿病と妊娠を理解することで，周産期ケアのありようが変化してくるはずです。助産師の仕事は，妊娠期という1つのステージへのかかわりだけでなく，女性のライフサイクルを見据えたかかわりである，という認識をもつことが重要です。

妊婦へのインスリン治療，基本から最新知識まで清水　一紀 62巻4号 , 2008年4月 , pp.295-303

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耐糖能異常を抱える妊婦は確実に増えている。助産師は，糖尿病合併妊娠・妊娠糖尿病の病態を理解し，インスリン療法の概要を知っておくことが必須となってきた。この機会に，糖尿病合併妊娠に対するインスリン療法の最新知識をチェックしておこう。

事例から学ぶ

①4,600gで出生した新生児が助産師に教えてくれたこと近藤　由理香 62巻4号 , 2008年4月 , pp.304-309

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事例を振り返って得たケアのポイント

●妊娠糖尿病の理解と血糖コントロールの大切さを認識する

●妊娠糖尿病の管理は，いまの健康管理が将来の健康管理であると考える

●医師や助産師・看護師，栄養士，薬剤師，ご本人・ご家族らと協力しながら，チームを組んで血糖コントロールを行なう

②なぜ血糖値が500mg/dL以上だったか？高橋　久子 62巻4号 , 2008年4月 , pp.310-316

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事例を振り返って得たケアのポイント

●妊娠糖尿病の早期発見は，食後2時間値で尿糖が出ていないか，血糖値が食前の血糖値に近い値まで下がっているかを見ていく

●血糖コントロールのアセスメントには，インスリンの作用発現時間や最大作用時間が必要になるので，インスリン製剤ごとの作用時間を覚える

●糖尿病をもって分娩に至った褥婦には，バースレビューでの振り返りは重要である

③妊娠期に発症する劇症1型糖尿病清水　一紀 62巻4号 , 2008年4月 , pp.318-323

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事例を振り返って得たケアのポイント

●妊娠後期の上気道炎が劇症1型糖尿病発症の引き金になることを知り，急激な口渇，多飲，多尿などの糖尿病症状への注意を喚起する

●糖尿病性ケトアシドーシスの症状を見逃さない

●劇症1型が発症前に妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠を認めないことを理解し，日ごろから血糖検査を行なう

④75gOGTTにて「1点のみ高値」を呈した妊婦へのインタビューをとおして田中　佳代 62巻4号 , 2008年4月 , pp.324-330

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事例を振り返って得たケアのポイント

●妊娠糖尿病妊婦が，血糖をコントロールしようという意思決定ができるよう，妊娠，糖尿病の受けとめや家族の状況などをふまえて支援することが大切である

●妊娠糖尿病妊婦には，分娩後の診断で正常型でも定期的な検査の必要性と，次回の妊娠時や内科受診時は妊娠糖尿病であったことを告げるよう説明する

●妊娠糖尿病経験者の話を聞くことで自らの行動を振り返り，妊婦がポジティブな感情をもてるよう支援する

周産期の糖尿病を，現任教育にどう取り入れていくか関田　真由美 , 近藤　由理香 , 高橋　久子 , 福井　トシ子 62巻4号 , 2008年4月 , pp.331-335

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現代病ともいわれる糖尿病は，妊産褥婦にも無縁ではない。糖代謝異常合併妊産褥婦に対する，知識・技術の向上をめざして，周産期ケアに携わるスタッフが勉強会を開催している。その勉強会について紹介していただく。

レポート

フィリピンでの子育て事情とボランティア活動伊藤　順子 62巻4号 , 2008年4月 , pp.338-342

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フィリピンはこんな国

　7,000もの島からなるフィリピン共和国は東南アジアに位置し，人口8300万人(2004年推計)，カトリック教徒が83％を占める国です。日本でもおなじみのセブ島をはじめとするリゾート地を有する珊瑚礁の海が美しい国で，在留邦人は1万3440人，その主な内訳は日本企業駐在員や日本からの技術指導者とその家族，リタイアメントビザの保有者などです。

　本稿では，在留邦人の出産・子育てをサポートするボランティア活動について報告するとともに，“バルナバクリニック発ぶつぶつ通信”とは少し異なる側面からフィリピンをご紹介します。

連載　飲んで大丈夫？やめて大丈夫？これだけは知っておきたい薬の知識・1【新連載】

―総論―妊娠・授乳と薬村島　温子 62巻4号 , 2008年4月 , pp.354-359

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連載のはじめに

　私は母性内科という特殊な内科で産科医と一緒に妊婦さんを診ております。そのため，助産師さんと一緒に仕事をする機会が多いのですが，そこで感じていることは助産師さんが勉強熱心で優秀ということです。ただし，助産の仕事だけをやっていると，いわゆる「患者さん」にかかわることが少ない，すなわち薬剤とのかかわりも少ないのではないでしょうか。

　このたび，助産師さんたちの日常業務に役立つものを作り上げようと，国立成育医療センターの医師，助産師，薬剤師のパワーを結集して連載企画に取り組むことになりました。妊婦さんに一番身近な皆さんが薬に関してさらに興味を持ち，確実な知識を得ていくことはこの分野の発展に大きな意味を持つことと思います。それでは，今回の本題に入りましょう。

連載　密着フォト・ルポ　助産師のいる風景

母と子のサロン　矢島助産院船元　康子 62巻4号 , 2008年4月 , pp.283-285

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「にぎやかに，楽しいお産をしよう！」

矢島助産院では，誕生を皆の笑顔で喜び祝う，あたたかな時間が流れている。

連載　チャレンジ！自立と責任・4

―済生会宇都宮病院（栃木県・宇都宮市）―本邦初「欧米型バースセンター」の胎動河合　蘭 62巻4号 , 2008年4月 , pp.360-365

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通常の産科病棟とは違う満足を求めて

　済生会宇都宮病院の最上階で，産科医，助産師，設計士らが大きな図面を広げ，夜遅くまでミーティングをしていた。病院にある雑多な音から隔絶された静かなフロア。もとは人間ドックがあった場所だが，すでに移転は完了している。ここに，これから日本最大級の院内助産院ができる。いや，この病院の産婦人科医長・飯田俊彦氏に言わせれば，ここは産科病棟とは明確に「場」を分けたという意味で，院内助産院ではなく「バースセンター」だという。準備が始まったのは2007年5月。助産師によるワーキンググループが動いて助産院研修が始まり，産科医・湯山公美子氏は米国ワシントンDCとミシガンにまで視察に行った。

　確かに，この院内助産院は日本のものとしては圧倒的な規模と言える。4室のLDRを擁し，妊婦健診の診察室，クラス会場もある。妊娠から産後まで，正常妊娠・出産・産後のケアすべてが，助産師の手で行なわれる。助産師6名を産婦人科病棟からここに移して専任とし，予定している年間分娩件数は200件。

連載　分娩経過曲線のヒミツ・4

フリードマン曲線はいつ日本にやってきたのか―教科書の掲載内容の変遷から高橋　由紀 , 大橋　幸美 , 山口　香苗 , 立岡　弓子 62巻4号 , 2008年4月 , pp.367-371

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フリードマン曲線の位置づけが時代とともに変化している！

　連載第1回・第2回では，フリードマンの研究論文を読み直し，フリードマンは分娩経過の異常を早期に発見するために分娩経過曲線を作成したこと，テキストなどに掲載されているフリードマン曲線は異常症例や薬剤投与例も含まれていることを紹介しました。また，連載第3回では，フリードマンが分娩開始の時期をしっかりと定義せずに研究していることから，テキストでの「分娩開始の定義」の記載がどのように変遷してきたのかをみていきました。

　こうして，フリードマン曲線は「あと何時間で分娩になるか」を導く指標として開発されたものではないことがわかったのですが，私たちは半世紀以上前に発刊された産科学や助産学のテキストを読みすすめるなかで，フリードマン曲線の紹介の仕方が変化していることに気づきました。現在の助産学のテキストはフリードマン曲線を「分娩予測や経過予測の指標」として掲載しているのですが，古いテキストでは，そうした扱いにはなっていないのです。

　今回は，いつからフリードマン曲線が産科学，助産学，母性看護学のテキストに登場し，その紹介の仕方がどのように変わっていったのかを調査した結果をご報告します。

連載　バルナバクリニック発ぶつぶつ通信・49

病院への搬送―最良の選択とは何か冨田　江里子 62巻4号 , 2008年4月 , pp.372-373

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　カンガルーケアなど，貧富に関係なく行なえるケアはたくさんある。しかし，それは医療行為と認識されていない以上，病院で実践されることはこの辺りではない。それも承知のうえで患者を搬送しなければならない自分の立場，その結果の残酷さにはいつまでも後悔が残る。

　病院でお産した翌日，フランセルは家に帰ってきた。赤ちゃんはきれいに装われ，小さな棺に入っている。母親が帰ってきたことに里子のお兄ちゃんは大喜びだ。小さな棺をゆすぶって「ベイビー，起きて，起きて！母さんが帰ってきたよ，ほら，起きてよ！」その無邪気な言葉に皆の肩が嗚咽に揺れた。

連載　りれー随筆・280

助産師のお産とは佐藤（高井）　志穂 62巻4号 , 2008年4月 , pp.374-375

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助産師がお産をすると

　「助産師自身のお産は独特で面白い」とよく聞く。体験が知識と結びつく納得，ケアの効果を体験として味わう感動，そして助産師の自分と産婦の自分が交錯しながら分娩が進行するので，客観的に見て面白いのである。実際はどうなのであろうか。

　私自身も2007年9月25日に出産した助産師である。勤務している病院でお産をしたが，立ち会った助産師は「面白かった」というし，私自身も「楽しかった」と思うのだから，きっと独特なお産だったのだろう。

連載　月便り・4

三日月と雛まつり志賀　勝 62巻4号 , 2008年4月 , pp.376-377

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　正月元旦(西暦2月7日)，七種(2月13日)，十五日の小正月(2月21日)のそれぞれの行事を終え，新年がスタートしました。1週間おきに催事が入りますから，結構忙しい年明けです。

　西暦と比べたら1か月以上遅くて，ゆっくりしたカレンダーですが，私たちの風土にあった実質を体感できることが何より喜びです。たとえば七種などは，「セリ，ナズナ…」といった必要な植物は東京でも探すことができる野草でして，環境に負荷を負わせるハウス栽培もの，しかもお金でしか手に入らない西暦化した「七種」の可笑しさが本当に実感されます。私は，50人もの人とともに，「ストトントントン…」と菜をたたき，お粥をいただきました。

トピックス

―JICA & HANDS 特別企画写真展報告―生命（いのち）のパスポート―人々をつなぐ母子健康手帳萩原　明子 , 今村　健志朗 62巻4号 , 2008年4月 , pp.346-348

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　2007年12月24日(月)～27日(木)川口総合文化センター(リリア)3階ギャラリーにて，2008年1月23日(水)～27日(日)浦和パルコ10階浦和コミュニティーセンター第1・2集会室にて，JICA & HANDS特別企画写真展が開催されました。

　会場には，インドネシアの親子，パレスチナの親子の写真のほか，インドネシア，パレスチナ，タイ，ラオス，カンボジア，東チモール，ドミニカ共和国などで使われている母子健康手帳も展示され，注目を集めました。埼玉県内の親子連れや保健所関係者，JICAの主催する研修に参加するため来日したパレスチナ人医師，看護師らも会場を訪れ，母から子につながれる生命の連鎖，そしてその連鎖の生命を守るために多くの人々が国境を越えてつながっていることを力強く伝える写真展となりました。

基本情報

助産雑誌
62巻4号
(2008年4月発行)

電子版ISSN：1882-1421 印刷版ISSN：1347-8168 医学書院

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連載 密着フォト・ルポ 助産師のいる風景

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連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・49

連載 りれー随筆・280

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