連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・49
病院への搬送―最良の選択とは何か
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.372-373
発行日 2008年4月25日
Published Date 2008/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101211
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カンガルーケアなど,貧富に関係なく行なえるケアはたくさんある。しかし,それは医療行為と認識されていない以上,病院で実践されることはこの辺りではない。それも承知のうえで患者を搬送しなければならない自分の立場,その結果の残酷さにはいつまでも後悔が残る。
病院でお産した翌日,フランセルは家に帰ってきた。赤ちゃんはきれいに装われ,小さな棺に入っている。母親が帰ってきたことに里子のお兄ちゃんは大喜びだ。小さな棺をゆすぶって「ベイビー,起きて,起きて! 母さんが帰ってきたよ,ほら,起きてよ!」その無邪気な言葉に皆の肩が嗚咽に揺れた。
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