訪問看護と介護 24巻3号 (2019年3月)

特集 気づき、学び、元気になる 事例検討会を開こう

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カンファレンスや勉強会として開かれる事例検討会。誰もが一度は参加したことがあるのではないでしょうか。しかし場合によっては、時間をかけてもあまり成果を感じられなかったり、事例提供者や関係者が居心地の悪い思いをしたり、反省会や糾弾の場のような雰囲気になったりすることさえあるといいます。果たして、そのような事例検討会を続けていけるでしょうか? 続けられたとしても、明日の訪問に出る力は湧いてくるでしょうか?

本特集は、事例研究に取り組まれている研究者の協力のもと、参加者が「またやりたい!」と思えるような、学びや気づき、元気につながる事例検討会の方法とポイントをご紹介します。

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看護師にとって「事例」とは何か

 看護は、看護師の全人格が利用者の全人格に向き合い、利用者が生身の人間として生活機能を果たし、つつがなく日々を過ごせるよう助ける仕事だ。利用者はまるごとの「ひと」として日々を生きているものだから、生きることを支える看護も利用者の一部分だけを切り取ってケアするわけにいかず、看護実践は「トータルパッケージ」にならざるを得ない。褥瘡を治したり、心不全を改善したりするために、一時的に一部の臓器に注目することはあるが、そのような一部分への注目は、その人の生活がどうすればうまく進んでいくかを思案する文脈の中に、常に埋め込まれている。

 事例をふり返ることは、そんな看護実践の「トータルパッケージ」を、あまさず可視化してくれる。利用者を全人的に把握するだけでなく、看護師が利用者をどのように見ているか、こちらの視線も大きな枠ですくいとられる。看護においては、時期で部分に分けず把握することで実践の意味がわかったり、時間の経過を追って前に行なったことが(それ自体は、その直後には「失敗」と見えたことが)、後になって意味をもったりするところを学ぶことが大事なように思う。

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成功事例の実践知を言葉にし、共有する

 事例検討会に関心をもち、本特集を読んでくださっている方がもっている問題意識は、実にさまざまだと思います。なかでも、困った事例について解決策を得たいと思っている方、訪問看護の質保証のために実施したいと思っている方が多いのではないかと思います。

 訪問看護の実践は利用者宅で行なわれます。利用者や家族の状況を知っているのは、そのときに訪問したあなただけ。「利用者へのケアはこれでよかったのか?」「私がやっていることは利用者にとってどんな影響があったのだろう?」そんな思いを抱えている方は多いのではないでしょうか。かくいう私も、利用者へのケアについて、これでよかったのだろうか?と悩んだことをいまでも鮮明に覚えています。

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 前稿では、ポジティブ・フレームワークを用いた事例検討会(ポジティブ事例検討会)の構造や進め方についてお伝えしてきました。この事例検討会をスムーズに進めるうえで重要なのは、「どのような場で、どのような問いを投げかけ、どのように共有するか」ということです。そこで本稿では、事例検討の場のつくり方と、ファシリテーションの極意について、ご紹介したいと思います。

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本稿では、実際にポジティブ・フレームワークを使った事例検討会をまるごと書き起こしました。これまで解説されてきた内容を思い出して全体の流れを追いながら、ポイントを確認していきましょう。

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 筆者が所長を務める「ウィル訪問看護ステーション江戸川」(以下、ウィル)は、本特集で紹介した事例検討会を毎月1回行なってきた。その始まりは、ステーション管理者としての課題意識にある。本稿では、ステーションの組織管理の視点から、事例検討会の目的と筆者が実感している効果についてまとめたいと思う。

連載 こちら現場からお届けします!・第3回

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 ケアプロ訪問看護ステーション東京と在宅療養支援ステーション楓の風は、どちらも年間数万件の訪問看護サービスをさまざまな利用者に提供している訪問看護事業所です。私たちは、法人の垣根を越えて、訪問看護の普及・啓発や現場の質向上を目的に、2016年より「訪問看護の言語化」に取り組みました。

連載 生き場所と死に場所をさがしてる。・第3回

死ににくい場所 幡野 広志
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病院の待合室にいると、さまざまな会話が流れている。

待ち時間が長いという不満の声、セカンドオピニオンをお願いすることで嫌われるのではないかという不安の声。自分の病気と治療の話、医療者や家族への不満の話。いままでに一番驚いた会話は、医師にいわゆる“袖の下”を払うかどうかの会話だ。

連載 50歳からの人生行路 精神科医の老い方論・第3回【最終回】

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 一生涯を4つの時間に区分する「四住期」という古代インドの人生モデルについて前回概説した。人生前半の学生期と家住期は、学びの時間および一家をなして働き子どもを育てる時間で、前回も述べたようにこの2つは、時代や国を越えてほぼ共通する普遍的な人生ステージと言える。しかし人生後半の林住期と遊行期は、他のどこにも見当たらないユニークな発想から生まれた設定である。

 そこで2000年前に古代インドで提起された考えを現代日本に置き換え、人生100年時代に則した「四住期」論として取り上げ、ことに林住期と遊行期について考えを深めてみたい。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・114

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 毎年1月5日は、東京都新宿区の新年賀詞交歓会が行なわれます。区の委員(高齢者保健福祉推進協議会など)には案内が届き、区内のさまざまな分野で活躍する方々が一堂に会するので、このところは出席するようにしています。

 第1部は区長の挨拶があり、昨年の区政をふり返り、新年の所信表明。続いて名誉区民の芸術家による演奏があり、最後は江戸消防記念会の木遣りで締めるというのが恒例です。第2部は来場者との懇談ができる祝宴となっていて、私としては民生・児童委員の皆さんに挨拶できるよい機会となっています。

連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第23回

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ちいさな対話に大きなヒント

 かつて学生だった仲間が、寒中見舞いにとわが家を訪れてくれたので、前回(本誌2019年2月号)を素材に、抄読会もどきの対話をさせてもらった。そのなかで語られた「第3の居場所と、それ以前の第1、第2の居場所との違いはどんなことなのか」、そして「訪問看護師特有の高度なコミュニケーションのイメージがつかみにくい。病院のそれよりも高度ということなのだろうか?」という問いには、書き手として反省しつつ大きなヒントをいただいた。

 前者は、私にとって思いもよらなかった問いであるが、かつて「高齢者が」安心して暮らせるまちづくりがいわれていた時代から、いつの間にか「高齢者」がいなくなったこと、その「居場所」の考え方の変遷を辿るヒントをもらった。後者は、何かしらの違和感を覚えるといったニュアンスを含む問いで、私は、実践そのものであるコミュニケーションに「色をつける」ような書き方をしたことを悔やみつつ、もう一度書き直さないといけないという思いを強くした。

連載 どう読む!? 在宅医療・看護・介護政策・第39回【最終回】

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 厚生労働省は、今年の通常国会に健康保険法等の一部改正案を提出する予定だ。法案の名称は、「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)」で、被保険者のオンライン資格確認や医療情報化支援基金の創設などの改正事項を盛り込む。医療分野にICTを積極的に取り入れ、効率的で質の高い医療提供体制につなげることをねらっている。

連載 シンソツきらきら・第27回

未熟である意味 小瀬 文彰
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 新卒から訪問看護を始めた私たちは、未熟者だ。新卒者に限らないかもしれないが、とくに新卒から訪問看護にチャレンジするとき、また新卒の訪問看護師を雇い入れ育てるとき、そのことを念頭におく必要がある。

連載 ふんばる患者が楽になる まいにちの手帖・第6回

床頭台のひな人形 たむらあやこ
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2003年にさかのぼる——

たむらさん 春らしくなってきましたよ〜

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多職種協働は他職種理解から

 在宅医療に関わるわれわれは、人が最期まで自分らしく、安心して地域で暮らせる社会を多職種で支えることをめざしている。1人ではとても務まらないし、その方の最期の瞬間まで多岐にわたって出現するニーズに応える各職種の存在と、それぞれのたゆみない知識の向上とスキルアップが不可欠である。ただ、現場では「24時間365日対応」が核であり、医療サービスを提供し続けるうえでの最大の障壁でもあるが、どうしても昼夜問わず業務に追われ、学びのための研修へ向かうことが困難なスタッフも多いだろう。

 『在宅医療カレッジ』はそんなジレンマに応えてくれる、まさに「24時間365日、本書はあなたのために開演します」と謳われた書籍である。実際、私は深夜や細切れの時間に読み進めることができた。

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目次

今月の5冊

Information 学会・研究会情報

バックナンバー・年間購読のご案内

FAX購読申込書

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若手と呼ばれる頃は、飲み会で先輩の「武勇伝」を聞く機会がたくさんありました。いま思うと、仕事のプロセスだけでなく、そのおもしろさや、職業人としての人付き合いの型などを学ぶとてもいい機会でした。ある種の「実践知の共有」だったのかもしれません。だって、失敗例は実体験としてたくさん知っていても、よい例についてプロセスから聞く機会は普段それほどないのですから。最近はあまり気軽に飲み会ができませんが、久々に行きたくなってきました。…栗原

本特集のキーワードは「問われ語り」だと思いました。話し手の語りをきちんと引き出す設計が、事例検討会に求められるのですね。●それにしても、聞き手の大切さを痛感しました。確かに自分にとって取るに足らないものはそもそも口に出さないわけで、問われて初めて語られるものは多いものです。しかも、そういうところにじつはハッとするものや、他のことにもつながる発見もあるように思います。今の仕事に通ずるなあ。よき聞き手になろう(決心)。…小池

歳末、本誌増刊号のような急造チームを結成して世に出せた新刊『在宅医療カレッジ 地域共生社会を支える多職種の学び21講』が新春のベストセラーとして重版出来が決まり、読者の皆さまの「学びたい欲」を再認識しました。在宅の笑顔につながるあなたのニーズを知りたいと、ずっと願ってます。また春ですね。…青木

基本情報

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訪問看護と介護
24巻3号 (2019年3月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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