JIM 8巻8号 (1998年8月)

特集 困っている食欲不振

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Question & Answer

Q:食欲不振の発生メカニズムは?

A:原因に応じて異なるメディエータが作動し,視床下部摂食抑制機構を賦活化する.

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Question & Answer

Q:食欲不振の診療の要点は?

A:①食べられないのか,食べたくないのか,②原因は消化器疾患とは限らない,③感染症,心不全,悪性腫瘍が多い,④高齢者の食欲不振に要注意,⑤服用薬剤,義歯のチェックを忘れない,⑥対症療法は重要.

胃癌術後の食欲不振 大森 義信
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Question & Answer

Q:腹部不定愁訴とは?

A:疾患特異性のない一般的な消化器症状を指す.具体的には腹部膨満感、腹部不快感,悪心・嘔吐,腹痛,食欲不振などがあげられる.

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Question & Answer

Q:ウイルス感染後症候群患者の食欲不振以外の症状は?

A:味覚の変化,めまい・ふらつき,寝汗,全身倦怠感,胃部不快感,便通異常,夕刻の発熱,うつ状態.

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Quesfion & Answer

Q:うつ病を診断するために問診することは?

A:食欲,睡眠状態,全身倦怠感,不安・焦燥感の有無、集中力・意欲の低下など.

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Question & Answer

Q:食欲不振を起こしやすい薬剤は?

A:消炎鎮痛剤などの胃粘膜傷害を惹起しやすい薬剤や,抗癌剤,モルヒネ,ジギタリス製剤などが代表的.

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Question & Answer

Q:高齢者の食欲不振の特徴は?

A:①老化や外的因子が複雑に関与している.②症状が非定型的になりやすい.

小児・思春期の食欲不振 植村 照子
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Question & Answer

Q:心因性の食欲不振と拒食症の見分け方は?

A:やせ願望,疾病による利得,環境の影響などを細かく聴取すること.

One more JIM
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 Q1 食欲と病気についての最近のトピックを教えてください.

 A 脂肪細胞が産生する摂食抑制蛋白のレプチンや,摂食中枢の視床下部外側野が産生する摂食促進ペプチドのオレキシンが基礎研究では非常に注目されているが,臨床的には食物/環境汚染の問題が深刻である.例えば,PCB,農薬/殺虫剤,プラスチック可塑剤などの合成化学物質が食物,飲料水,食物容器,化粧品などを介して体内に入り,内分泌撹乱物質として,性分化異常や生殖障害だけでなく,体重減少,免疫異常や精神疾患などの種々の病態に関与している可能性が指摘されている.エストロゲン受容体は脳内にも豊富に存在し,多彩な生理機能に関係し,食欲抑制作用ももっている.ダイエット食品をはじめ,ビタミン,ミネラルや微量元素が不足し,種々の化学物質で処理されている最近の食品が,食欲や情動に影響を及ぼす可能性も指摘されている.環境汚染が食行動を含めた精神身体機能に及ぼす影響を,今後注意深く検討する必要がある.(粟生修司→本号P638)

示唆に富む症例

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Question & Answer

Q:神経性食欲不振症の特徴である3つの否定とは?

A:空腹の否定,やせの否定,疲労の否定は本症の特徴である.

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Question & Answer

Q:食欲不振の若い女性で,まず考えることは?

A:心因性,神経性食欲不振症,低力ロリーダイエット.

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Question & Answer

Q:甲状腺機能低下に伴う食欲不振のチェックポイントは?

A:自・他覚所見から甲状腺機能低下症を疑い,生化学検査のCK,LDH,および総コレステロールに注目すること.

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Question & Answer

Q:食欲不振・るいそう・微熱がある中年女性で考えることは?

A:慢性消耗性疾患,内分泌疾患など.

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Question & Answer

 Q:末期癌の食欲不振の原因は何か?

 A:癌悪液質,亜鉛欠乏,便秘,悪心,消化管狭窄,感染,薬剤,放射線治療,心因性

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 ■Chalamydia trachomatis(以下,G.T.)によるSTDは近年増加傾向にあるが,C.T.が腹腔内に波及することで肝周囲炎を引き起こすことはあまり知られていない.今後,C.T.感染増加に伴い本症も増加が予想され,その認識は重要となると考えられる.

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 ■高齢婦人の急性単純性膀胱炎に漢方薬の猪苓湯による治療法は有用である.

総合外来 在宅ケア

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 ■骨粗鬆症に対する画期的な治療法が開発されていない現在,骨折予防の最善の方法は易転倒性を減少させることである.それは住環境・福祉機器整備と福祉の街づくりである.

外来治療のトピックス・5

日帰り手術 笹壁 弘嗣
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 ■日帰り手術は,時代の要求に応える医療で,わが国でも広まりつつある.その成否は組織作りにかかっている.

ワークショップ はじめての漢方診療・22

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 ■水(すい)は身体内の透明な液体とされ,その代謝異常を水毒といい,寒を伴いやすい.水毒は主に水の過剰・停滞・異常分泌状態であり,水滞ともいわれる.水毒の治療剤である駆水剤は,溢水時には利尿作用を呈することが多いが,脱水時には抗利尿的に作用し,利尿剤とは異なる.

臨床医のための口腔ケア・12

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 ■口腔ケアをきっかけとして活気ある生活のリズムを取り戻した事例を通して,看護の基本であるホリスティックなアプローチとして口腔ケアがいかに有効か,強調したい.

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 ■私が開業してから9年が経過しました.コンピュータ嫌いだった私ですが,電子カルテが診療を続けるうえで必要だと思うようになってきました,その過程で悩んだことが読者の方に役立つのではないかと考え,6回の予定でこのシリーズを始めさせていただきます.前半3回は,パソコンに興味はあるが使いこなしておられない方に,後半3回は,コンピュータを使いこなしておられ,電子カルテに興味がある方に読んでいただければ幸いです.

JIM臨床画像コレクション

Fitz-Hugh-Curtis症候群 後藤 久貴
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 Fitz-Hugh-Curtis症候群は,Chlamydia trachomatisが子宮頸管から上行性に肝周囲に感染することにより,肝周囲炎を起こす症候群である.Chlamydia trachomatisによるsexually transmitted diseaseは近年増加傾向にあり,それに伴い本症も増加すると考えられ,腹痛の原因疾患としての本症に対する認識は重要となると考えられる.したがって,若年女性で上腹部痛を呈し,炎症所見以外に血液検査,画像検査などで明らかな異常を認めない患者をみた場合,本症を考慮する必要がある.

 診断は急性期に抗クラミジア抗体価(IgA)の上昇を認め,抗生物質で炎症所見および臨床症状が改善した場合に疑診されていることが多いが,確定診断のためには腹腔鏡を行うことが望ましい.

Update '98

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 ヒトに感染するアデノウイルスには47の亜型がある.出血性膀胱炎は11型,咽頭結膜熱は3型,流行性角結膜炎は8型というように,亜型によって特徴的な病像が対応するものもある.呼吸器系感染を生じるのは,1~8,11,12,21型が主であるが,従来の経験では咽頭から分離されるアデノウイルスのうち60%を3型が占めていた.ところが,1996年以降7型が全国的に浸淫し,3歳以下の乳幼児が7型による重篤な肺炎で死亡する事例が各地から報告されるようになった.われわれも昨年1例失った.アデノ7型に対する中和抗体の保有状況を調べてみると,40年以前には流行していたことが明らかであるが,15歳以下の小児はほとんど中和抗体を保有していない.アデノウイルスは塩素濃度0.4mg/l以上で失活するので,プールの消毒には特に留意してほしい.もしアデノ7型でプールが汚染された場合,従来のアデノ3型よりもはるかに強毒であるため,大変な事態が発生しないとも限らない.また,小児病棟での院内感染も生じるので,医師や看護婦は手洗いの励行を普段から心掛けなければならない.ただし,アデノウイルスは脂質を欠くので,石鹸では失活しない.高濃度のアルコールがよい.

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 不明熱に血小板減少を伴う症例に遭遇したときに,まず考えることは感染症や進行癌に伴うDIC (血管内凝固症候群)でしょう.

 最近,筆者は不明熱の患者(80歳男性)で,血小板減少(7.4万/μl),白血球減少(3,200/μl),LDH高値(1,319IU/l)で凝固系正常という症例を経験しました.細菌検査陰性,抗生物質に反応せず,徐々に汎血球減少を呈し,末梢血スメア上,組織球系と思われる細胞が認められました.骨髄は低形成性で,血小板や細胞片を貪食するマクロファージ系異型細胞が一部集簇をなしており,悪性組織球症あるいは反応性組織球増多症が疑われました.本例ではステロイド大量投与が奏効し,一時的改善をみたものの,DICを併発して死亡しました.

骨粗鬆症の予防 吉本 正博
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 プライマリ・ケアを担う臨床医にとって,骨粗鬆症(特に女性の)は治療よりも予防に重点を置くべき疾患と考える.予防の要点は,20~40歳で得られるpeak bone massを高めること,閉経後の骨量の急激な減少を最小に抑えることにある.前者については,正の因子としてカルシウム(Ca)とビタミンDの摂取,適度の運動が,負の因子としては,タンパク質やアルコール,カフェインの過剰摂取,喫煙が挙げられている.カフェインはCaの尿中への排泄を促進することがわかっているが,最近の文献では,中等量までのカフェイン摂取(コーヒーにして3杯程度)では骨量には変化がなかったという.しかし,対象者の1日のCa摂取量の平均が800mgと,日本人の平均に比べてかなり多かったことを考慮する必要がある.また,Caの補給は高齢者に対しても有効であったという報告がある一方で,授乳中の母親に対しては無効であったという報告がある.すなわち,授乳中の母親の骨量は,3~6カ月間に2~4%減少するといわれているが,Ca補給群とプラセボ群との間に,統計学的に有意差を認めなかったという.また,授乳終了後はCaの吸収が亢進し,喪失した骨塩量は回復するが,これに対してもCa補給の効果には統計学的有意差は認められていない.

 一方,閉経後の骨量の減少を予防する方法としては,エストロゲンによるホルモン補充療法(HRT)が一般的であるが,長期使用で子宮癌や乳癌のリスクが増大することが指摘されており問題も多い.

基本情報

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JIM
8巻8号 (1998年8月)
電子版ISSN:1882-1197 印刷版ISSN:0917-138X 医学書院

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