- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Case
速効型インスリン3回注射からナテグリニド食直前内服に変更しても血糖コントロールが得られた2型糖尿病の1例
患 者:58歳,男性,身長172 cm,体重67 kg,BMI 22.6.
既往歴:42歳時に急性虫垂炎にて手術.
家族歴:母親,姉に糖尿病.
現病歴:約2カ月前より,口渇感,倦怠感があり,当院糖尿病センターを初診した.初診時,空腹時血糖値289 mg/dl,HbA1c 9.6%にて当日入院した.入院時よりインスリン治療を開始し,2週後には,ノボラピッド(R)(朝-6単位,昼-6単位,夕-5単位)にて一日血糖値は,食前血糖値120~150 mg/dl,食後2時間値150~180 mg/dlにコントロールされた.尿中CPRは64μg/dayであった.経口糖尿病薬への変更はできないかとの患者の希望により,ナテグリニド(スターシス(R)30 mg)6錠(2-2-2)の内服治療に変更したところ,一日血糖はインスリン治療とほぼ同じ血糖値にコントロールされた.
日本の糖尿病患者数は増加する一方で,2010年には1,080万人に達すると推測されている.糖尿病患者の増加の一方で,糖尿病性細小血管障害・大血管障害を有する患者数も増加しており,新規透析導入患者数は慢性糸球体腎炎を抜いて第1位となった.また,成人における失明の第1の原因疾患であり,年間約4,000人の糖尿病患者が増殖網膜症にて失明している.これらの数字は,糖尿病治療の難しさを物語っている.一方,増加する糖尿病患者に比し,糖尿病専門医の数が少なすぎるのが現在の日本の現状である.このため,今後ますます第一線の臨床医の糖尿病診療における重要性と責任が増していくことが推測される.糖尿病治療の基本をすべての内科医はマスターしておくことが必要になる.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.