特集 症状別副作用逆引き事典
全身症状
発熱(薬剤熱),アナフィラキシー
林 幹雄
1
,
前野 哲博
1
1筑波大学附属病院総合診療科
キーワード:
薬剤熱
,
アナフィラキシー
Keyword:
薬剤熱
,
アナフィラキシー
pp.346-347
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102166
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
Case
患者:60歳,女性.発熱,湿性咳嗽を主訴に外来を受診した.体温38.5℃,血圧120/80mmHg,心拍数120/分,呼吸数28/分,酸素飽和度88%(room air).身体所見では左上肺野の呼吸音減弱,ラ音を認め,胸部X線にて左上肺野に浸潤影を認めた.喀痰グラム染色では白血球,貪食像を伴うグラム陰性桿菌を認めたことから肺炎と診断.入院とした後に抗菌薬治療(セフトリアキソン 1g/日)を開始した.
抗菌薬治療開始3日後には解熱し,呼吸状態も改善したが,治療開始7日後に再び発熱が出現した.体温38.5℃,血圧120/80mmHg,心拍数80/分,呼吸数16/分,酸素飽和度96%(room air).入院時に提出した喀痰培養ではセフトリアキソンに対する薬剤感受性を認めており,下痢などの消化器症状はなく,静脈炎を示唆する皮膚所見も認めず,全身の身体診察を行うも明らかな異常所見は認められなかった.発熱は認めるものの患者自身が元気な様子であったことから,薬剤熱の可能性を考え,抗菌薬投与を中止したところ,中止2日後には解熱した.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.