特集 困っている食欲不振
One more JIM
pp.680-681
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902528
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Q1 食欲と病気についての最近のトピックを教えてください.
A 脂肪細胞が産生する摂食抑制蛋白のレプチンや,摂食中枢の視床下部外側野が産生する摂食促進ペプチドのオレキシンが基礎研究では非常に注目されているが,臨床的には食物/環境汚染の問題が深刻である.例えば,PCB,農薬/殺虫剤,プラスチック可塑剤などの合成化学物質が食物,飲料水,食物容器,化粧品などを介して体内に入り,内分泌撹乱物質として,性分化異常や生殖障害だけでなく,体重減少,免疫異常や精神疾患などの種々の病態に関与している可能性が指摘されている.エストロゲン受容体は脳内にも豊富に存在し,多彩な生理機能に関係し,食欲抑制作用ももっている.ダイエット食品をはじめ,ビタミン,ミネラルや微量元素が不足し,種々の化学物質で処理されている最近の食品が,食欲や情動に影響を及ぼす可能性も指摘されている.環境汚染が食行動を含めた精神身体機能に及ぼす影響を,今後注意深く検討する必要がある.(粟生修司→本号P638)
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