臨床画像 36巻5号 (2020年5月発行)

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特集　結核の画像診断

序説黒﨑　敦子 36巻5号 , 2020年5月 , pp.486-487

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肺結核の画像診断西本　優子 , 野間　惠之 , 橋本　成修 , 羽白　高 36巻5号 , 2020年5月 , pp.488-498

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肺結核は過去の疾患ではなく，依然として世界的に重要な感染症である。肺結核の診断の遅れは病状の進行と感染拡大を招くため，早期診断と早期治療が求められる。肺結核の診断において画像検査の果たす役割は大きく，画像所見のバリエーションを理解しておくことが大切である。

肺外結核の画像診断竹内　均 , 黒﨑　敦子 , 大藤　貴 36巻5号 , 2020年5月 , pp.499-510

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結核菌は肺に感染が生じた後，リンパ行性，血行性，管内性（経気管支，経腸管）進展によってどこの組織，器官にも到達することができる。肺外結核は，結核予防法で「肺あるいは気管支以外の臓器を主要罹患臓器とする結核症および粟粒結核」と規定された。結核の統計によれば，2018年の新規登録患者数では肺結核および気管支結核12,033例に対し，肺外結核は3,557例と結核全体の23％程度を占め，決して珍しい病気ではない。一般に肺外結核は個々の部位では菌量が少なく，感染性は低い。培養に時間がかかり，確定診断に時間を要することがある。また，肺外結核は肺結核を合併していることがある。粟粒結核は重篤であり，排菌していることもあるため，感染のリスクに注意が必要である。本稿では，比較的遭遇する頻度の多い結核性胸膜炎，頸部リンパ節結核に加え，やや頻度の低い粟粒結核症，骨・関節結核症，腸結核症，中枢神経の結核などについて説明し，現在では稀少な肺門，縦隔リンパ節結核，腎結核などについても画像を供覧する。

免疫不全患者の肺結核楊川　哲代 36巻5号 , 2020年5月 , pp.511-515

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結核感染の発症リスクは細胞性免疫低下症例で上昇する。免疫低下症例では非区域性浸潤影，病変内多発空洞形成の頻度が高くなる。HIV症例ではCD4数によって結核の画像特徴が変化する。関節リウマチ症例では肺外結核，両側性病変，非空洞病変の頻度が高い。腎移植症例の肺結核画像はAIDS症例合併結核画像に類似する。

肺結核治療経過の画像黒﨑　敦子 , 竹内　均 36巻5号 , 2020年5月 , pp.516-523

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かつては「亡国病」といわれるほど猛威を振るった肺結核は，先人たちの大きな努力の下，治療方法が確立され制御可能な疾患となった。本稿では，その治癒過程にみられる画像に関して述べる。また，治療初期にみられる初期悪化（PR）や，外科的治療から数十年経ってからは，膿胸関連リンパ腫（PAL）や慢性膨張型血腫（CEH）などさまざまな病態が生じうるので，それらの画像を紹介する。

医療機関における結核患者の取り扱い加藤　誠也 36巻5号 , 2020年5月 , pp.524-533

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日本の結核患者は減少しているが，年間15,000人程度が新登録されている。診断の遅れは高齢患者の予後にかかわるのみならず，医療機関では集団感染の原因にもなっている。医療機関では院内感染対策の一環として事前対応に取り組む必要があり，患者発生時には保健所と連携しながら適切な事後措置を実施する。

肺結核最新の治療吉山　崇 36巻5号 , 2020年5月 , pp.534-541

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肺結核症の治療の際には，多剤併用療法が必要である。昨今細菌感染症に対する薬剤耐性が話題になっているが，結核においては，多剤併用しても感性薬が1 〜2剤であると，使用中の感性薬が耐性化するので，治療開始時の薬剤感受性検査を知って治療することが重要となる。また，再発の要因となる，不規則内服，治療中断を予防するため保健所との協力が必要である。

Current Topics　MRSの臨床応用に向けて

序説髙堂　裕平 36巻5号 , 2020年5月 , pp.543-543

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1. MRSを臨床に用いるには髙堂　裕平 36巻5号 , 2020年5月 , pp.544-550

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MRSは脳の健康度を定量的に測定することができる分析技術である。使い方をマスターすれば，脳疾患を扱う臨床の場で大いに力を発揮しうるポテンシャルの高い手法である。本稿では，MRSの実際的な側面をできるだけわかりやすく記載した。

2. 変性疾患・認知症でのMRS 髙堂　裕平 36巻5号 , 2020年5月 , pp.551-556

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認知症・変性疾患においては，MRSは萎縮が起こる前の機能変化，脳の健康度の定量化に利用できる可能性がある。また脳の状態を複数の代謝物により評価することで，脳萎縮の背景にある病理変化も推測することが可能となる。

3. 脳腫瘍におけるMRSの利用棗田　学 , 藤井　幸彦 , 五十嵐　博中 36巻5号 , 2020年5月 , pp.557-562

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成人の代表的な脳実質内腫瘍は神経膠腫，転移性脳腫瘍，中枢神経原発性リンパ腫（PCNSL）である。それぞれ治療方針が異なるため，術前画像診断はきわめて重要である。頭部CT，MRIなどでの鑑別が難しい場合は，MRSが診断の一助となる。本稿では脳実質内腫瘍におけるプロトンMRSの特徴および診断のピットフォールについてまとめた。

4. 精神疾患におけるMRSの有用性西　晃 , 中島　振一郎 36巻5号 , 2020年5月 , pp.563-568

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脳内の化学物質を非侵襲的に測定できる核磁気共鳴スペクトロスコピー（MRS）を用いて脳の各部位のグルタミン酸代謝物を測定することで，統合失調症やうつ病，特にそれらのなかでも薬物治療に抵抗性を有する一群の病態解明や臨床的な重症度評価，治療薬の開発への寄与が期待される。

新連載　ゲノム医療における画像の役割

第1回

がんゲノム医療の現状と将来展望山口　央 36巻5号 , 2020年5月 , pp.570-574

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2015年1月，一般教書演説で当時の米国大統領であったオバマ氏が発表した「プレシジョンメディシン（個別化医療）」という概念が一世を風靡し，近未来の医療のあるべき姿と考えられるようになった。それを可能にしうるのがゲノム解析の技術である。従来のゲノム解析は，ヒトゲノム計画に代表されるように，遺伝子の機能を解析する研究的な試みが主なものであったが，2000年代半ばに登場した次世代シークエンサー（Next Generation Sequencing；NGS）により，ゲノム解析が研究のみならず，患者の診断・治療に直接の影響を与えるようになってきている。わが国でも，がん対策基本法に基づき，がん遺伝子パネル検査を中心としたがんゲノム医療への取り組みが始まっている。

連載　IVRの基本をおさえよう!−デバイスの選び方，使い方−

第5回

粒状，球状塞栓物質山本　聖人 , 大須賀　慶悟 36巻5号 , 2020年5月 , pp.575-580

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粒状塞栓物質は，多血性腫瘍や出血に対する固形塞栓物質として用いられる。通常，塞栓粒子を造影剤と混和してカテーテルから血流に乗せるように注入し，末梢の血管を閉塞し血流を遮断する材料である。材質や形状により，ゼラチンスポンジ（GS）材と球状のマイクロスフィア（ビーズ）に大きく分けられる。両者は，塞栓機序や血管内挙動が大きく異なるため，それぞれの特徴を理解して使い分ける必要がある。

連載　となりの読影室

第13回

大阪医科大学松谷　裕貴 , 大須賀　慶悟　 36巻5号 , 2020年5月 , pp.582-583

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こだわりの配置　当院の読影室には11台の読影端末が設置されており，基本的に自由席である（図1）。高い間仕切りがない部屋は顔がよくみえて相談しやすく，専門医同士の会話を聞くだけで専攻医達にも勉強になる。読影室は検査業務が慌ただしいCT室に隣接しており，造影剤ルートのトラブルや副作用を起こした患者の対応など即座に駆けつけられる。また，向かいには秘書が常駐し，検査や読影に関する電話応対や事務作業を行う医局があり，ここにも読影端末が3台ある。そのほか，MRI室に3台，RI室に2台，血管造影室に1台読影端末が設置され，各検査業務と並行して読影が行われる。

連載　特集アドバンストコース

『臨床画像』VOL.36，1月号特集　MRIで読み解く心臓と脈管：流れと機能岩田　琴美 , 関根　鉄朗 36巻5号 , 2020年5月 , pp.584-587

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本特集では心血管の流れと機能に着目し，近年発展してきている4D–flow MRIの観点から，各領域での血行動態について詳しく解説されている。今まで4D–flow MRIに携わったことのない先生方だけでなく，すでに4D–flow MRIを使用している先生方にも新しい発見があると思われ，内容豊富となっている。安藤譲二先生らによる「内皮細胞の血流応答異常が血管病変を招く」では，内皮細胞に作用する流体力学の解説をシェーマも用いて解説されており，高血圧や血栓症，動脈瘤などの各血管疾患における病態についても詳しく述べられている。血管病変が生じるメカニズムについて理解したい放射線科医にとって必読であると思われる。織田絵里香先生らによる「頭頸部領域の4D–flow MRI」では頭頸部領域における4D–flow MRIの撮影方法，特にmulti–VENC撮像法について詳しく解説されており，当領域のどのような疾患に4D–flow MRIが有用であるかも紹介されている。高橋　護先生による「4D–flowの時短戦略」では，通常であれば長い撮像時間が必要となる4D–flow MRIにおけるparallel imagingtechniqueやcompressed sensing，echo–planar imagingなどの高速撮像技術について解説されており，臨床で許容される時間内に4D–flow MRIを撮像可能とするための一助となると思われる。

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目次 36巻5号 , 2020年5月 , pp.485-485

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特集掲載症例画像タイトル・キーワード一覧 36巻5号 , 2020年5月 , pp.542-542

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書評 36巻5号 , 2020年5月 , pp.569-569

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原著論文・症例報告投稿規定 36巻5号 , 2020年5月 , pp.589-589

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バックナンバー 36巻5号 , 2020年5月 , pp.591-591

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奥付 36巻5号 , 2020年5月 , pp.592-592

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基本情報

臨床画像
36巻5号
(2020年5月発行)

電子版ISSN：2423-9658 印刷版ISSN：0911-1069 メジカルビュー社

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