臨床画像 41巻1号 (2025年1月発行)

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特集1　この1冊でマスターする認知症の画像診断

序説石井　一成 41巻1号 , 2025年1月 , pp.5-5

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本誌2019年11月号で高瀬　圭先生の企画・德丸阿耶先生の編集で『これだけ知っておけば大丈夫! な認知症画像診断』の特集が組まれてから5年あまり経過した。その間，認知症の最大原因であるAlzheimer病（Alzheimer's disease：AD）の抗アミロイドβ（Aβ）抗体薬レカネマブ（レケンビⓇ）が2023年に，抗Aβ抗体薬ドナネマブ（ケサンラⓇ）が2024年に承認・保険適用になり，認知症診療のなかのAD診療において新たな時代に入ったといえる。

認知症の原因疾患池田　学 41巻1号 , 2025年1月 , pp.6-9

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抗アミロイド抗体薬の登場によって，認知症の超早期診断さらには治療効果やその副作用を判定するバイオマーカーとして，画像診断の役割は，さらに重要度を増している。

認知症の画像検査−CT・MRI・SPECT・PET− 山根　登茂彦 41巻1号 , 2025年1月 , pp.10-18

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認知症の画像診断では，形態評価のためにMRIが頻用される。さらに機能評価のための核医学検査が用いられる場面も多く，脳血流SPECT，ドパミントランスポーターSPECT，心臓交感神経シンチグラフィ，アミロイドPETなどを適宜活用する。それぞれの特徴，定量評価法，そして問題点を理解することで，認知症診療の質は向上する。

慢性水頭症（正常圧水頭症）：Hakim病（iNPH）の診断に必要な画像所見：DESH 山田　茂樹 41巻1号 , 2025年1月 , pp.20-30

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Hakim病（iNPH）では，脳室拡大に加えて，Sylvius裂と脳底槽が拡大し，頭頂部・特に正中の脳とくも膜下腔が圧迫・圧縮される。このようなくも膜下腔の不均衡な分布（DESH）が最も重要な画像所見である。

Alzheimer病，MCI 加藤　隆司 , 櫻井　圭太 , 二橋　尚志 41巻1号 , 2025年1月 , pp.31-39

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Alzheimer病（AD）のMCIや認知症の患者では，MRIでは海馬や嗅内野の萎縮が，脳血流SPECTや脳糖代謝FDG–PETでは，下部頭頂葉や後部帯状回・楔前部の血流・代謝低下が，診断に役立つ。アミロイドPETやタウPETは，脳内病理の存在診断を通じて，ADか非ADかなどの病型診断やADの進行度の評価に役立つ。

Lewy小体病，Parkinson症候を呈する変性性認知症乾　好貴 , 井上　政則 41巻1号 , 2025年1月 , pp.41-48

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認知機能低下を呈するLewy小体病，Parkinson関連疾患は，Alzheimer病との鑑別を要する重要な神経変性疾患であるが，症状のオーバーラップや多彩な臨床スペクトラムにより，臨床徴候による診断は容易といえない。このため，正確な診断には客観的指標となるイメージングが必須となる。本稿では，各疾患における画像バイオマーカーについて解説する。

前頭側頭葉変性症−AGD，PART，LATEなど− 櫻井　圭太 , 金田　大太 , 橋詰　良夫 41巻1号 , 2025年1月 , pp.50-57

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臨床，遺伝，病理学的研究の進歩により，前頭側頭葉変性症は前頭葉，側頭葉が障害されるという病態からPick病，TDP–43 proteinopathy，嗜銀顆粒病，神経原線維変化型老年期認知症など種々の疾患を内包する病態へと疾患概念が変遷している。画像診断の際に前頭側頭葉変性症の多彩な臨床情報および画像所見について理解が必要となる。

認知症の初回検査において特徴的な画像所見から鑑別必須の疾患德丸　阿耶 41巻1号 , 2025年1月 , pp.58-71

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認知症をきたす疾患は，Alzheimer病（AD）を筆頭とする変性疾患のみならず多種多様である。特徴的な画像所見が診断端緒となるプリオン病，神経核内封入体病（NIID）や，適切な治療により改善や予防に結び付く代謝性疾患，病変の局在が診断端緒となりうる神経梅毒などをしっかりと診断することは，認知症診療における画像診断の重要な役割である。本稿では，診断に直結する特徴的な画像所見が診断端緒となる認知症背景疾患を紹介する。

脳血管障害，慢性硬膜下血腫など木下　俊文 , 木下　富美子 41巻1号 , 2025年1月 , pp.72-79

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脳血管障害に関連する認知症は血管性認知症といわれ，多様な病態を背景に出現する。また，慢性硬膜下血腫では認知症を合併することが多い。脳血管障害や慢性硬膜下血腫の診断には画像所見が重要な役割を果たすが，認知症の視点からとらえられる画像診断について概説する。

特集2　検査時の状況に応じたFDG–PET検査の読影レポート作成

序説中本　裕士 41巻1号 , 2025年1月 , pp.81-81

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検査薬として18F–フルオロデオキシグルコース（FDG）を投与し，その集積分布を画像化するポジトロン放出断層撮像法（PET）検査では，多くの活動性の腫瘍巣を検索することができる。ここで用いるFDGは，悪性腫瘍に特異的な放射性医薬品ではなく，糖代謝の亢進部位に留まっているにすぎない。良性腫瘍や非腫瘍性病変，正常臓器にも集積するため，FDGの集積を見つけてもそれが何を表しているのか，意味付けが必要となる。

CASE 1　未治療のGraves病に関連した胸腺過形成の症例堀田　昌利 41巻1号 , 2025年1月 , pp.82-83

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状況A　胸腺腫大があり，悪性リンパ腫や胸腺由来の腫瘍を考えています（カルテ参照不可）。

状況B　胸腺腫大があり，悪性リンパ腫や胸腺由来の腫瘍を考えています（カルテ参照可能）。FT3＞20pg/mL，FT4 3.25ng/mL，sIL2–R 2312U/mL。

CASE 2　中枢骨髄へのびまん性集積を認めた多発性骨髄腫の症例堀田　昌利 41巻1号 , 2025年1月 , pp.84-85

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状況A　多発性骨髄腫の症例。活動性評価目的（詳細な治療歴不明）。

状況B　多発性骨髄腫の症例。活動性評価目的（詳細な治療歴を確認可能：G–CSF投与歴なし，WBCは正常範囲内）。

CASE 3　悪性リンパ腫として検査依頼のあった成人スチル病の症例堀田　昌利 41巻1号 , 2025年1月 , pp.86-87

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状況A　CTにて脾腫とリンパ節腫大があり，脾原発の悪性リンパ腫と臨床診断。病期診断目的。

状況B　発熱精査のため撮影したCTにて脾腫とリンパ節腫大を指摘され，sIL2–R高値（1,269U/mL）もあり，悪性リンパ腫としてPET検査目的。また，皮疹と関節痛，フェリチン高値（3,709ng/mL）もある。

CASE 4　播種性ヒストプラズマ症と判明したベネズエラ在住の症例堀田　昌利 41巻1号 , 2025年1月 , pp.88-89

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状況A　HIV陽性が最近判明した症例。CTにて全身リンパ節腫大があり，HIV関連の悪性リンパ腫を考慮。

状況B　入院時スクリーニングでHIV陽性が判明した，ベネズエラ在住の症例。CTにて全身リンパ節腫大があり，HIV関連の悪性リンパ腫を考慮（採血データ参照可能：CD4 8.5細胞/μL，sIL2–R 3,207U/mL，フェリチン 41,391ng/mL）。

CASE 5　子宮頸癌術後の傍大動脈リンパ節の著明な腫大とFDG集積がみられた症例犬養　純子 , 野上　宗伸 41巻1号 , 2025年1月 , pp.90-91

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状況A　子宮頸部腺癌に対して1週間前に円錐切除術後。遠隔転移検索目的（既往歴の記載なし）。

状況B　子宮頸部腺癌に対して1週間前に円錐切除術後。遠隔転移検索目的。他院にて腹部悪性リンパ腫治療後。

CASE 6　胃癌術後のFDG集積に乏しい後腹膜腫瘤の症例犬養　純子 , 野上　宗伸 41巻1号 , 2025年1月 , pp.92-93

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状況A　左後腹膜腫瘤が増大傾向で悪性腫瘍の疑い。病期診断，転移検索目的（既往歴の記載なし）。

状況B　左後腹膜腫瘤が増大傾向で悪性腫瘍の疑い。病期診断，転移検索目的。胃印環細胞癌術後。

CASE 7　骨盤内腫瘤の診断に難渋した症例犬養　純子 , 野上　宗伸 41巻1号 , 2025年1月 , pp.94-95

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状況A　骨盤内腫瘤，AFP高値で紹介。卵巣腫瘍の疑い。病期診断，転移検索目的（既往歴の記載なし，過去画像なし）。

状況B　骨盤内腫瘤，AFP高値で紹介。卵巣腫瘍の疑い。病期診断，転移検索目的。肝細胞癌術後。

CASE 8　左母指悪性黒色腫術前で左腋窩リンパ節にFDG集積がみられた症例犬養　純子 , 野上　宗伸 41巻1号 , 2025年1月 , pp.96-97

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状況A　左母指悪性黒色腫術前。遠隔転移検索目的（ワクチン接種歴の記載なし）。

状況B　左母指悪性黒色腫術前。遠隔転移検索目的。1週間前に左腕にコロナワクチン接種されています。

CASE 9　腋窩リンパ節描出ではワクチン接種歴の情報が重要奥山　智緒 41巻1号 , 2025年1月 , pp.98-99

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状況A　甲状腺（右葉）乳頭癌治療前。術前CTにて左腋窩リンパ節，左内胸リンパ節腫大あり。乳癌はありますか? （他施設からの紹介状のみ）

状況B　甲状腺（右葉）癌術前症例。CTにて腋窩リンパ節腫大あり。乳癌はないか? ［他施設で3日前に施行されたCTを参照可能，PETの問診表にて左上腕への子宮頸がんワクチンの接種歴（7日前）を確認］

CASE 10　胸水ドレナージ後の症例奥山　智緒 41巻1号 , 2025年1月 , pp.100-101

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状況A　両側乳癌術後，肺転移疑い，胸水貯留，転移検索目的（カルテや過去画像が参照できない状況）。

状況B　状況Aの依頼内容に加え，5日前のCTとカルテを参照可能で3日前から胸水ドレナージと心嚢水ドレナージを施行後で，胸水，心嚢水ともに著明に減量されていることがわかっている状況。

CASE 11　前立腺に限局性集積のある症例奥山　智緒 41巻1号 , 2025年1月 , pp.102-103

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状況A　右尿管癌（pT3）術後。全身検索目的（カルテを参照できない状況）。

状況B　右尿管癌，腎盂癌に対し，腎尿管全摘後。膀胱上皮内癌に対し，経尿道的膀胱腫瘍切除術（TUR–Bt）後に補助化学療法，BCG注入療法2コース施行後の全身検索目的（カルテ参照にて詳細病歴がわかる状況）。

CASE 12　リンパ節腫大にFDGが集積した症例奥山　智緒 41巻1号 , 2025年1月 , pp.104-105

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状況A　子宮体部小細胞癌の術後（子宮全摘，両側付属器切除，後腹膜リンパ節郭清），術後化学療法後。経過観察のCTにて，右外腸骨領域～鼡径部にリンパ節腫大を指摘されている［FDG–PET MIP像に示した点線の範囲がルーチンの検査範囲（大腿上部～頭部）］。

状況B　状況Aに加え，PET検査時の問診にて5〜6年前から立ち座り時に強い右膝の疼痛があるという訴えが得られていたため，検査時に下腿上部（FDG–PET MIP像の赤実線の範囲）までを検査範囲に広げて検査を行った。

CASE 13　骨髄びまん性集積をどう考えるか（1）中谷　航也 41巻1号 , 2025年1月 , pp.106-107

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状況A　早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術前の病期診断目的。既往歴として8年前に胃癌（Stage ⅠA）。

状況B　早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術前のCTにて多発骨硬化像を指摘された。8年前に胃癌にて胃全摘術の既往あり，取扱い規約では，pT1a（M），por2–sig，ly（−）。以後，再発は指摘されていない。多発骨転移の原発巣検索目的にて全身評価。

CASE 14　骨髄びまん性集積をどう考えるか（2）中谷　航也 41巻1号 , 2025年1月 , pp.108-109

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状況A　血液内科より検査依頼。CTで全身溶骨性病変を指摘された。多発性骨髄腫が当初疑われたが，骨髄穿刺を実施したところ，髄腔内より印環細胞癌が検出された。原発巣検索および全身評価目的。

状況B　（状況Aから病歴追加）胃癌を疑い上部消化管内視鏡を施行したところ，穹窿部から胃角部にかけて粘膜下隆起の多発が目立つ一方，胃全体での進行癌を疑う所見に乏しく，胃転移をより疑う所見であった。内視鏡病理検体から検出された印環細胞はGATA3陽性であり，原発巣として乳癌も考慮された。原発巣検索および全身評価目的。

CASE 15　「肺癌」の依頼病名は本当に正しいか中谷　航也 41巻1号 , 2025年1月 , pp.110-111

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状況A　肺癌（臨床診断）。右肺門腫大あり。病期診断目的。

状況B　（状況Aから病歴追加）肺癌を疑い気管支鏡を実施したが悪性所見は検出されなかった。その後胸部単純X線写真で陰影にやや縮小がみられた。

CASE 16　薬物療法後FDG–PET検査におけるピットフォール中谷　航也 41巻1号 , 2025年1月 , pp.112-113

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状況A　胃神経内分泌腫瘍，食道癌，咽頭癌治療後。転移・再発診断目的。

状況B　胃神経内分泌癌に対して胃全摘後。食道表在癌，咽頭表在癌に対して治療後。その後CTにて腹膜播種を指摘され，1年前よりニボルマブによる治療を実施。CT上は播種病変の消退を認めた一方，治療中より乾癬が生じている。さらに両手の浮腫と関節のこわばりが出現し改善に乏しい。現在の腫瘍の病勢評価目的。

連載　何としても読んでもらいたいあの論文，この論文

［第30回］

膀胱癌の筋層浸潤の診断に有用な膀胱MRIにおける2つのサインが掲載された論文玉田　勉 , 竹内　充 41巻1号 , 2025年1月 , pp.114-115

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膀胱癌の筋層浸潤は治療選択において膀胱温存が可能であるかを判定する重要な病理学的指標である。筋層浸潤の診断における拡散強調像の有用性を“inchworm sign”として報告したのが【論文1】である。“inchworm sign”は拡散強調像で非広域性（隆起性）の膀胱癌の腫瘍部を高信号，それによって持ち上げられた粘膜下層（茎）を低信号として描出し，その形態が“尺取り虫”のようにみえることから命名された筋層非浸潤癌に特徴的な画像所見である。

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目次 41巻1号 , 2025年1月 , pp.3-4

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原著論文・症例報告投稿規定 41巻1号 , 2025年1月 , pp.117-117

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バックナンバー 41巻1号 , 2025年1月 , pp.119-119

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奥付 41巻1号 , 2025年1月 , pp.120-120

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基本情報

臨床画像
41巻1号
(2025年1月発行)

電子版ISSN：2423-9658 印刷版ISSN：0911-1069 メジカルビュー社

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