臨床画像 36巻13号 (2020年4月)

特集 放射線科医が知っておくべき 脳血管障害診療 update

序説 原田 雅史

  • 文献概要を表示

非造影の灌流MRIであるarterial spin labeling(ASL)には,従来の灌流画像とは異なる特徴がある。原理や撮影・読影上の注意点,特有のアーチファクトや症例画像など,急性期脳梗塞を中心として概説する。

  • 文献概要を表示

画像診断技術の進歩により,血管内腔のみならず血管壁を画像化することが可能となった。血管壁イメージングは虚血性脳卒中の診断・治療選択・効果判定への応用が期待されるが,撮像技術や所見の解釈において依然課題がある。正しい臨床応用のためには撮像法の適切な選択と病態ごとの正確な知識が必要である。

  • 文献概要を表示

一過性脳虚血発作(TIA)は日常診療でしばしば遭遇する疾患であるが,これまでに何度か定義が変遷してきているためか,実際の臨床の現場では診断に混乱を生じているように感じられる。TIAの現在に至るまでの背景と,今後の展望について解説する。

  • 文献概要を表示

recombinant tissue–type plasminogen activator(rt–PA)を用いた経静脈的な血栓溶解療法は,急性期脳梗塞例に対する有効な治療法の1つである。2019年3月には適正治療指針が第3版に改訂され,wake–up strokeやunwitnessed strokeに対するtissue basedなrt–PA療法が新たに適応として組み込まれた。本稿では,rt–PA療法のこれまでの経緯と現行の適正治療指針の内容を中心に,転帰に関連する画像所見を含めて,概説する。

  • 文献概要を表示

近年脳虚血急性期における血管内再開通療法は,ステント型回収機器や吸引型カテーテルを用いた血栓回収療法により,飛躍的に再開通率が上昇し,再開通までの時間も短縮,患者の長期的な転帰が劇的に改善した報告が数々発表され,現在確固たる治療法として年々その施行症例が増加している。本稿では経動脈的血栓回収療法に関する科学的なエビデンスと,症例提示のなかで,画像診断を用いた治療対象患者の選択,治療の実際について述べる。

  • 文献概要を表示

厚生労働省 2016(平成28)年「国民生活基礎調査の概況」によれば,日本における脳卒中発症患者は年間29万人とされ,うち75%が脳梗塞といわれている。脳梗塞の原因となる動脈硬化や心房細動は加齢に伴い増えていくとされ,超高齢化社会の加速に伴い,脳梗塞患者も今後さらに増加すると予測される。

  • 文献概要を表示

椎骨脳底動脈領域の梗塞の原因としては,心原性塞栓症,アテローム血栓症および高血圧性ラクナ梗塞のほか,椎骨動脈解離がある。心原性の塞栓子が椎骨動脈から脳底動脈に塞栓性閉塞をきたし,自然溶解をきたしながら末梢側に段階的にmigrationをすると,多彩な梗塞像をきたす。橋には高血圧性ラクナ梗塞や脳底動脈からの橋枝起始部プラークによるアテローム血栓性分枝粥腫型梗塞が好発する。延髄梗塞は若年者では椎骨動脈の解離による延髄外側梗塞が,高齢者ではアテローム血栓性分枝粥腫型梗塞による延髄内側梗塞が多い。

  • 文献概要を表示

「血管内流体解析と4D–fl ow MRI」(80〜91ページ)は都合により電子版には収載していません。

  • 文献概要を表示

独自の病態を有する脳血管障害を取り上げる。特徴的な画像所見によって疾患候補を絞ることで,遺伝子検査や腫瘍検索などによる診断につなげたい。一方,脳アミロイド血管症では画像診断が臨床診断に直結する。いずれにしても,担当医と連携して,いかに適切な診断や治療につなげるかが鍵となる。

  • 文献概要を表示

もやもや病は日本人に多発する原因不明の進行性脳血管閉塞症であり,内頸動脈終末部に狭窄ないしは閉塞と,その周囲に異常血管網を認める疾患である。もやもや病の画像所見を示し解説する。

  • 文献概要を表示

静脈洞血栓症は,まれであるが若年脳卒中の原因として重要な疾患である。予後は比較的よいが,約10%に重度の後遺症や死亡例を認め,早期の診断・治療が求められる。本稿では,まず臨床所見から静脈洞血栓症を疑うポイントについて述べ,特徴的な画像所見について自験例を交えて解説する。

  • 文献概要を表示

脳動静脈奇形(AVM)は,脳における細動脈−毛細血管−細静脈の先天的形成異常が原因と考えられており,発症形式として病巣からの出血(脳出血,くも膜下出血,脳室内出血)と盗血による周囲脳組織への血流低下に伴うてんかん発作がある。成人に発生する硬膜動静脈瘻の多くは後天性であり,静脈還流異常が症状発現に関与している。本稿では,これら2つの頭蓋内動静脈短絡疾患の画像所見について,症例提示を中心に解説する。

  • 文献概要を表示

近年の脳画像解析技術の発展に伴い,脳のネットワークに関する興味深い知見が数多く報告されており,脳卒中患者が呈する現象の理解や予後予測などへの応用が期待される。本稿ではMRIを用いた脳のネットワーク解析をテーマに,構造的接続性,および機能的接続性と運動機能との関係について概説する。

  • 文献概要を表示

脳梗塞・頭部外傷・脊髄損傷・Parkinson病など中枢神経疾患に対する細胞治療・再生医療が,基礎研究から治験の段階(bench to bed)に入っている。これらは既存治療ではなしえなかった中枢神経を再生・回復させる治療法として大きく期待されている。本報告では,脳血管障害に対する研究結果および今後の課題について概説する。

  • 文献概要を表示

過疎地域では絶対的な医師不足から,標準的な急性期脳卒中治療の実施が非常に困難な状況である。徳島県海部・那賀地域では,かつては都市部との脳卒中の医療格差が社会問題になっていた。これを是正するために,徳島県と徳島大学が協力して,少人数の脳卒中診療医の派遣と遠隔診療支援システムを導入した。これによりrt–PA静注療法が実施可能になっただけでなく,脳卒中患者の予後を改善することができた。

------------

目次

投稿規定

バックナンバー

次号予告/奥付

基本情報

091110693613.jpg
臨床画像
36巻13号 (2020年4月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0911-1069 メジカルビュー社

バックナンバー  閲覧可 )