JOHNS 40巻2号 (2024年2月発行)

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特集　耳鼻咽喉・頭頸部の画像診断―最新知見と将来展望―

【総論】　画像診断技術の進歩

CTの最新知見馬場　亮 , 尾尻　博也 40巻2号 , 2024年2月 , pp.121-125

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はじめに

　頭頸部領域の画像診断モダリティとしては撮像範囲の設定が容易で検査効率および時間分解能・空間分解能が高いCTが標準的で第一選択となる場合が多い。頭頸部領域におけるCTの最新技術としてdual-energy CT，photon-counting CT，metal artifact reduction（MAR）アルゴリズム，経時的差分CT画像やヨード差分CT画像などの差分技術などが挙げられる。

FDG PET/CTの最新知見―診断のポイント柳田　全孝 , 齋藤　尚子 , 村上　康二 40巻2号 , 2024年2月 , pp.127-132

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はじめに

　頭頸部領域におけるFDG PET/CT（以下PET/CT）検査の役割は，頭頸部癌のステージングにおけるリンパ節転移および遠隔臓器転移の検索，治療後の再発評価が主となる。原発巣の評価についてはMRI・造影CTが基本となるが，PET/CTにてさらなる情報が得られる場合もある。他には頸部腫瘍の良悪性の判別，原発不明癌による原発巣の同定などが適応となってくる。

MRIの最新知見小玉　隆男 40巻2号 , 2024年2月 , pp.133-140

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はじめに

　MRIは形態的な評価のみならず，病変の性状や血流などの機能的評価に優れており，頭頸部においても重要な画像診断となっている。頭頸部には多数の複雑な構造が存在し，空間分解能が高く組織コントラストが良好な画像が求められる。信号ノイズ比（signal-to-noise ratio：SNR）の高い3T装置の普及に伴って，空間分解能あるいは時間分解能のより高い画像を良好なコントラストで得ることが可能となり，新たな手法も応用されている^1～4）。一方，高磁場装置は磁化率に鋭敏であり，頭頸部領域ではその影響が問題となることが少なくない。特に拡散強調像や脂肪抑制などでは，磁化率の影響を受けにくい撮像法を利用する必要がある。本稿では，頭頸部領域を中心としてMRIの最新知見につき概説する。

超音波診断装置の進化と活用福原　隆宏 40巻2号 , 2024年2月 , pp.141-145

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超音波診断装置の進歩

　パルス波を送信し，その反射を利用するパルスエコー法により超音波診断装置が開発された。超音波診断装置は，1960年にAモード，Bモードが初めて製品化された。初めに製品化されたAモードは超音波の反射波を時間軸と振幅で見るものであり，耳鼻咽喉科領域では副鼻腔炎の診断に利用された^1）。Bモードでは振幅を輝度に変換し位置情報を加えて断層像を表示する。1990年代に，これらの信号処理がデジタル化され，超音波診断装置は急速に発展した。さらに1997年にハーモニックイメージングが導入され，画像の質が格段に上がることとなった^2）。

画像診断とAI診断河口　倫太郎 , 堀　龍介 , 児嶋　剛 40巻2号 , 2024年2月 , pp.146-150

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はじめに

　近年，情報通信分野の進歩が著しい。18世紀初頭に勃興した産業革命に始まり，20世紀後半から情報通信技術の発展に伴う第三次産業革命を経て，現代は第四次産業革命と呼ばれる。産業構造や社会構造の変化にインパクトを与えうるこの革命は，IoT（Internet of Things，モノのインターネット），ビッグデータ，AI（artificial intelligence）といった技術革新によるものである。ビッグデータの情報分析を単に行うだけでなく，AIを用いることで複雑な判断を伴う労働やサービスの提供を可能とする。

遠隔診療における画像診断鴻　信義 40巻2号 , 2024年2月 , pp.151-154

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用語の説明

　本稿ではさまざまなIT用語が記載されており，以下に簡潔に説明する^1）。

術中画像診断の最新知見南　修司郎 40巻2号 , 2024年2月 , pp.156-159

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はじめに

　術中画像診断は，手術中にリアルタイムで画像を取得し，その場で診断や治療方針の決定を行う技術である。これにより，手術の安全性や効果を向上させることが期待される。本稿では，著者が専門とする人工内耳植込手術での術中画像診断について解説する。

内視鏡画像の最新知見水足　邦雄 40巻2号 , 2024年2月 , pp.160-162

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はじめに

　内視鏡は現在の医療になくてはならない必須の道具である。耳鼻咽喉科は多くの管腔が存在する頭頸部を取り扱う診療科である。管腔内の観察は内視鏡が極めて有用であるため，他の診療科と比べても内視鏡の重要性が高いといってよい。かつては額帯鏡で反射した電球の光のもと，関節喉頭鏡を巧みに操作しながら声帯を観察し，喉頭癌や下咽頭癌の初期病変を見逃さず発見するような達人の技術が必要であった。しかし現在ではその代わりに，電子内視鏡を用いてnarrow band imaging（NBI）も併用しながら，肉眼では発見することのできない早期の病変ですら初期の専攻医でも特別な修練を積むことなく発見可能であり，技術の進歩による恩恵は計り知れない。

外視鏡画像の最新知見堤　剛 40巻2号 , 2024年2月 , pp.163-168

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はじめに

　側頭骨の手術は長い間顕微鏡下での操作を基本としてきたが，近年内視鏡下の経外耳道手術が急速に普及し，さらに顕微鏡に変わるデバイスとして外視鏡がリリースされ，徐々に顕微鏡から置き換わりつつある。

【各論】　研修医から専攻医のための最新画像診断

中耳高橋　昌寛 40巻2号 , 2024年2月 , pp.169-173

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はじめに

　中耳疾患は外科的治療を行う疾患が多く，術式選択や術中合併症予防の観点から，画像診断の重要度は高い。画像所見から立体構築し，術中所見をイメージすることが必要である。そのためには体系的にポイントを抑えながら読影する習慣をつけることが重要である。本稿では，手術適応となる代表的な疾患である慢性穿孔性中耳炎，中耳真珠腫，耳硬化症の手術加療を見据えた読影時のポイントについて概説する。人工知能（AI）含めた最近の報告にもふれる。

内耳―めまい，中枢性疾患を含む吉田　忠雄 40巻2号 , 2024年2月 , pp.174-178

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はじめに

　内耳および内耳道，小脳橋角部に至る聴覚路に対する画像検査は，難聴やめまいの精査の一部として行われる。主に高分解能側頭骨CTとMRIが用いられ，内耳ではCTで奇形の有無や内耳骨包の異常，MRIで聴神経腫瘍の検索や突発性難聴，メニエール病の精査が行われる。聴覚検査や前庭機能検査と組み合わせて内耳の画像検査を行うことにより，疾患の深い理解につながる。また，人工内耳手術の術前検査としてCTやMRIは必ず行っておくべき検査であり，人工内耳手術の方針を決定する際にも非常に有用な情報が得られる。

錐体尖・小脳橋角部髙田　雄介 40巻2号 , 2024年2月 , pp.180-184

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はじめに

　錐体尖は側頭骨の最も内側に位置する領域であり，外来における診察にて直接確認することが困難な部位である。そのため，CTやMRIなどの画像診断の役割が非常に重要である^1）が，その一方で錐体尖の蜂巣発育と含気状態には個人差が大きく，含気状態の左右差はときに病的所見と見間違えることがある。安易な組織生検が困難な部位であることから，錐体尖の解剖や正常範囲内での変異（normal variation）の見極めが重要である。

副鼻腔石神　瑛亮 , 小林　正佳 40巻2号 , 2024年2月 , pp.185-193

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はじめに

　鼻副鼻腔疾患は炎症性，腫瘍性ともに詳細に分類すると多岐にわたる。解剖学的に頭蓋内・眼窩内合併症を含めた重篤な病態にいたることがあり，注意を要する領域である。診断，合併症の精査，病変の伸展範囲の把握において，画像診断の意義は大きい。本稿では，鼻副鼻腔における代表的な疾患の画像所見を解説する。

前頭蓋底大野　貴史 , 有泉　陽介 40巻2号 , 2024年2月 , pp.195-199

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はじめに

　頭蓋底は頭蓋骨の底部のことである。この部位は脳と頭頸部領域の境界に相当し，以前はいずれの方向からも到達困難な領域とされていたが，1900年代の後半から徐々に開頭による頭蓋底手術が行われるようになり，現在では経鼻内視鏡的なアプローチも可能になっている。頭蓋底疾患の評価には正確な画像診断が不可欠である。

口腔・咽頭佐野　大佑 , 折舘　伸彦 40巻2号 , 2024年2月 , pp.201-205

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はじめに

　口腔・咽頭は摂食，嚥下，構音に重要な役割を果たしており，同部位に生じる悪性腫瘍を治療する際は根治性の担保に加えて，治療後の患者の機能についても十分な配慮が必要である。口腔・咽頭癌治療においてまず必要なことは病期診断であり，その際に正確な画像診断を要する。また，主に手術加療を担うわれわれ耳鼻咽喉科医，頭頸部外科医は，どの構造物を取り除くべきか，あるいは温存すべきかを術前に丁寧にシミュレーションする必要がある。

喉頭平野　愛 40巻2号 , 2024年2月 , pp.206-210

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はじめに

　喉頭疾患の診断において最初に行うべき最も重要な検査は，喉頭内視鏡検査である。喉頭内視鏡検査では，病変の部位や表面の性状，大きさや麻痺の有無などを観察することができる。声帯の病変ではストロボスコピーで声帯の粘膜波動や声門閉鎖を観察することにより，病変の硬さ，発声時の声帯の位置などを詳細に把握することができる。しかし，疾患によっては治療方針を決定するうえでCTやMRIなどの画像検査により病変の深達度や軟骨との位置関係などを把握することが必須である。

唾液腺伏見　千宙 , 多田　雄一郎 40巻2号 , 2024年2月 , pp.211-215

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はじめに

　唾液腺腫瘍の画像診断の主たる目的は，質的診断と腫瘍進展範囲の把握である。画像とともに解剖や腫瘍の内部の状態などを思い浮かべて診断することにより，診断精度は向上するものと思われる。今回は大唾液腺である耳下腺，顎下腺，舌下腺の画像診断について以下のことに絞って述べる。

頸部―MRIの新しい利用方法関水　真理子 40巻2号 , 2024年2月 , pp.216-219

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はじめに

　頭頸部腫瘍の診断に，頸部MRIは不可欠な検査である。T1強調画像，T2強調画像，造影T1強調画像が最も基本的な撮像法となるが，MRIにはその他にも多くの撮像法があり，それらを適切に選択・利用してより精密な診断を行うことが可能である。

連載　私のこの1冊

The Facial Nerve 村上　信五 40巻2号 , 2024年2月 , pp.220-222

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　「私のこの1冊」は若手医師に役立つ古典や良書，稀書を紹介するコーナである。『Atlas of Neurotology and Skull Base Surgery』（Robert K Jackler著，Mosby社）はじめ紹介したい良書は何冊かあるが，ここでは2014年にThieme Medical Publishersから発刊された『The Facial Nerve』を紹介する。その理由は，本書が顔面神経麻痺の専門書の中で最も新しく，小生も分担執筆者のひとりで，今後しばらくはバイブル的な成書になると考えるからである。

連載　診療つれづれ

シンガポールでの耳鼻咽喉科診療千原　康裕 40巻2号 , 2024年2月 , pp.223-225

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はじめに

　2013年より約9年間，シンガポールで耳鼻咽喉科医として勤務した。以下，異なる医療システムや生活環境での思い出をつれづれ書き記す。

連載　わたしの研究歴

次のステップの扉は他人が開けてくれる阪上　雅史 40巻2号 , 2024年2月 , pp.226-230

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はじめに

　「次のステップの扉は他人が開けてくれる」

　この言葉は当大学の野口光一副理事長（前学長）が学生への挨拶の折りによく使われる言葉である。「大学では勉強が大事ですが，人との出会いが同じくらい大事で，一期一会ではなく出会いは大切に育てて行くものです。自分で努力したから次のステップへ進めたと考えがちですが，実は他人が次のステップへの扉を開けてくれているのです。」と言われた。自分の大学での人生を振り返ってもその通りと思える。

連載　症例をどうみるか

下極型扁桃周囲膿瘍に対して即時口蓋扁桃摘出術が有効であった症例中野　光花 , 宇田川　友克 , 吉川　衛 40巻2号 , 2024年2月 , pp.231-234

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はじめに

　扁桃周囲膿瘍は口蓋扁桃周囲の間隙に形成された膿瘍で，頸部膿瘍の中で最も頻度が高い。扁桃周囲膿瘍の好発部位は上極であるが，下極に発症する例もあり，後者は解剖学的に喉頭や隣接した咽喉後間隙や傍咽頭間隙などの間隙に進展しやすく，重症化リスクが高い^1）。また，口蓋扁桃下極は位置的に局所麻酔下での穿刺・切開や切開排膿後の洗浄などの処置を行うことが難しく，治療に難渋する場合が多い。今回，下極型扁桃周囲膿瘍に対して即時口蓋扁桃摘出術（以下，即時扁摘）が有効であった症例を経験したので提示する。

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目次 40巻2号 , 2024年2月 , pp.118-119

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バックナンバー 40巻2号 , 2024年2月 , pp.140-140

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学会・研究会案内 40巻2号 , 2024年2月 , pp.235-235

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次号予告 40巻2号 , 2024年2月 , pp.236-236

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基本情報

JOHNS
40巻2号
(2024年2月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0910-6820 東京医学社

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