胃と腸 44巻10号 (2009年9月)

今月の主題 潰瘍性大腸炎の初期病変とその進展・経過

序説

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はじめに

 Crohn病(Crohn disease;CD)では,“初期病変はアフタ様病変であり,経過とともに典型病変(縦走潰瘍,敷石状外観)に進展し,ついには瘻孔や狭窄などの腸管合併症をきたす”という自然史(疾病史)が明らかとなっている.一方,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)においては,その初期病変は明らかになっておらず,病変の進展様式も不明な点が多い.UCの初期は,おそらく診断困難な非特異性腸炎として扱われることは推測できるが,非特異性の中にも他の腸炎とは異なる特徴を見い出したいものである.早期診断が可能になれば早期治療につながり,UCの疾病史を変えうるかもしれない.

 また,UCの進展様式においても解明すべき点は多い.従来より,病変が直腸から口側結腸へびまん性・連続性に進展するのがUCの特徴であると言われてきた.しかし,虫垂開口部病変や大腸区域性病変などの非連続性病変,胃・十二指腸,小腸,回腸囊など大腸以外の部位に出現する病変などの実態についても十分解明されてはいない.

 UCの初期病変や病変進展様式などの病態を明らかにすることは,UCの診断・治療・予後における診療の発展や改善につながるばかりでなく,病因解明の糸口を与えてくれる可能性を秘めていると考えられる.

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要旨 近年,内視鏡技術の進歩に伴う大腸微細病変の拾い上げが可能となり,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)の非典型的所見の報告もみられるようになった.しかし発症初期UCの内視鏡像やその進展について検討された報告は少ない.今回,発症初期の未治療UCの内視鏡像を対象とし,虫垂開口部病変,skip lesion,アフタ様病変,直腸顆粒状粘膜に着目し検討した.虫垂開口部病変は68.8%に認められ,skip lesionは29.9%で上行結腸に高率に認められた.直腸顆粒状粘膜は9例(11.7%)と少数だが,その80%に虫垂開口部病変が併存していた.従来UCの典型所見である直腸連続性病変のみの症例は27.7%にすぎず,skip lesion例とほぼ同程度であり,直腸連続性病変に虫垂開口部病変を併存した症例が42.2%と最も多く認められた.UCの初期病変は直腸と虫垂というリンパ濾胞の発達した部位から進展したものであると示唆され,UCの病因にも深く関与していると推測される.また初発UC例の診断において感染性腸炎との鑑別は治療による感染増悪の点からも慎重に行うべきである.

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要旨 潰瘍性大腸炎(UC)の初期病変の,内視鏡所見の特徴を明らかにすることを目的とした.当院で過去18年間に経験したUCの中で,2回以上大腸内視鏡による腸管病変の評価を行ったのは484例である.このうち,UCの初期病変と考えられる異常所見を認めた14例(2.9%)を対象とした.異常所見の発見時期は,UCの診断前が8例(初発群),UCの診断後で病変範囲の進展前が6例(進展群)であった.初発群の病変部位は直腸が多く,リンパ濾胞の過形成や,アフタ様や不整形のびらんを認めた.同部からの生検組織では,不均一な炎症所見やリンパ濾胞を認める頻度が高かった.一方進展群では,アフタ様や不整形のびらんを5例で認め高頻度であった.以上の結果から,UCの初期病変はリンパ濾胞の過形成や小型のびらんと考えられる.特に,こうした小病変を直腸に認める場合はUCの典型病変へ進展する可能性があり,大腸内視鏡による経過観察が必要である.

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要旨 診断前に大腸のアフタ様病変が確認された潰瘍性大腸炎(E型UC)8例,およびUCの経過中にアフタ様病変が出現した症例(アフタ随伴UC)5例の内視鏡所見を検討した.アフタ様病変は,リンパ濾胞様小隆起(I型),大型のリンパ濾胞様隆起(II型),および発赤を伴う小白点(III型)に大別した.E型UCでは,主たるアフタはI型1例,II型4例,III型3例で,1~66か月(平均22か月)後に全大腸炎型UC6例,左側大腸炎型UC1例,ないし直腸炎型UC1例に進展した.アフタ随伴UCの罹患範囲は,直腸炎型1例,左側大腸炎型2例,全大腸炎型1例,区域性1例で,初回診断時より25か月から264か月後にアフタが診断され,その所見はI型が1例,II型およびIII型が各2例ずつであった.以上より,大腸アフタ様病変はUCの初期病変の1つと考えられた.

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要旨 大腸アフタ様病変から典型的潰瘍性大腸炎へと進展した6症例(初期アフタ群)について,アフタの内視鏡像,進展様式,臨床経過を分析し,潰瘍性大腸炎の初期病変としてのアフタの意義について検討した.また,潰瘍性大腸炎診断後の経過中に,大腸にアフタ様病変を認めた9症例(経過中アフタ群)についても同様の検討を行った.各群に認めた大腸アフタ様病変は,Ia型(平坦型・発赤と白点),Ib型(平坦型・白苔と周囲の紅暈)とII型(隆起型)の3群に分けられた.初期アフタ群では,II型アフタが6例中4例を占め,4例とも直腸主体で,アフタから典型像への直接進展がみられたのに対し,I型アフタの2例は,アフタ消褪後,別部位に典型像が出現していた.一方,経過中アフタ群は9例ともI型アフタで,Ib型アフタ4例全例が典型像への進展が認められたのに対し,Ia型アフタは5例中1例のみしか進展が認められなかった.以上より,II型アフタは潰瘍性大腸炎の初期病変と考えられ,またIb型アフタについても初期病変である可能性が示唆された.しかし,Ia型アフタについては,大部分が潰瘍性大腸炎の活動期や寛解期に出現する一部分症であると考えられた.

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要旨 1996年6月から2008年9月までにtotal colonoscopyを施行した,初発かつ治療前の活動性潰瘍性大腸炎の中で虫垂開口部に病変を認めた症例について,性別・年齢・病型・病変部位・炎症反応・重症度・初期治療効果・治療後経過について検討した.また治療後経過については,再度total colonoscopyを施行し経過観察しえた症例を対象とした.虫垂開口部に病変を認めた症例は44例あり,経過を追えたのは33例であった.罹患範囲による分類では直腸炎型,区域型が多く,虫垂以外に非連続性病変を認める症例が45%と多かった.軽症例が多く,初回治療に対して反応がよい症例がほとんどであるが,長期経過観察において重症化する症例も認められた.区域型を含む非連続性病変を多く認めることより,初発時に虫垂病変を有する潰瘍性大腸炎は多中心性にUC病変が起こり,典型的なUCとは違う病態を示している可能性が考えられた.

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要旨 潰瘍性大腸炎(UC)患者のうち発症時に直腸炎型であった症例は22.6%であり,さらにその中で41.9%は口側進展した.直腸炎型のおよそ半数は左側結腸炎型あるいは全大腸炎型の初期病変であり,経過中に口側進展を来す可能性がある.口側進展に関与する因子を明らかにする目的で,① 男女別,② 発症年齢別,③ 初発時重症度別,④ skip病変の有無,について検討したが,いずれも有意な危険因子ではなかった.口側進展を認めず直腸炎のみで手術に至る例はなく口側進展が手術の危険因子であると考えられた.初発時直腸炎型の累積手術率は5年で12.2%,10年で23.3%であり,さらに口側進展し手術に至った症例の80%が口側進展を認めてから2年以内に手術に至っていた.直腸炎型でcolitic cancerを発症した症例はなかった.活動性粘膜の範囲を正確に診断し,口側進展をくいとめることが手術率・腸管外合併症やcolitic cancerの合併を軽減する可能性が示唆された.

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要旨 friable mucosa,granular mucosa,multiple aphthaeの内視鏡所見がみられる潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)関連胃十二指腸炎(gastroduodenitis associated with UC;GDUC)の頻度,特徴,経過,治療について調べた.UC患者280例中(全大腸炎型180例,大腸全摘術後175例)24例(8.6%)にGDUCがみられ,その特徴は,病勢の強い全大腸炎型で,ステロイド投与量が少なく,術後症例においては回腸囊炎の合併が多かった.再度内視鏡検査が行われたGDUC陰性43例のうち,平均22か月の観察で2例(4.7%)に新たなGDUCの発生を認めた.GDUCの治療は粉砕化メサラジンを用い,7例中5例で寛解が得られた.合計26人のGDUC症例中2例で出血による貧血を来し,2例で十二指腸に狭窄がみられた.初期病変はmultiple aphthaeと考えられた.

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要旨 潰瘍性大腸炎(UC)に合併した小腸病変については不明な点が多い.今回,全結腸炎型UCおよび大腸全摘後症例に対し,カプセル内視鏡検査を施行した3例および既報告症例を中心にその臨床像について検討した.カプセル内視鏡検査を施行した症例では中部から下部小腸を中心に発赤やアフタ,小潰瘍を認め,このうち2例についてはびまん性に病変が存在していた.また,大腸病変に対するプレドニゾロン治療後に再検査しえた2例で小腸病変の改善を認めた.現時点ではカプセル内視鏡検査のみではUCに関連した小腸病変か確定は困難だが,びまん性に存在する病変の存在はUCとの関連を疑う所見と考えられる.今回のカプセル内視鏡検査による検討で,UCにも広範囲にわたる微細な病変が小腸に存在することが明らかとなった.今後,さらにUCにおける小腸病変の臨床的意義について詳細に検討する必要がある.

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要旨 潰瘍性大腸炎術後に発症する回腸囊炎の診断には,診断基準にのっとった臨床および内視鏡所見の適切な評価が求められる.厚生労働省難治性炎症性腸管障害調査研究班(日比班)で作製した回腸囊炎診断基準は,内視鏡所見による重症度を基本に臨床所見を加味したもので,PDAI(Pouchitis Disease Activity Index)との互換性にも配慮している.診断に際し,手術操作により排便状況が症例に応じて様々に変化する可能性のあること,外科的合併症の有無,残存直腸粘膜の有無などの個別性を念頭に置く必要がある.回腸囊炎の“初期病変”の解析はほとんど行われておらず,解明には経過を追った内視鏡観察が求められる.

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要旨 潰瘍性大腸炎pouch operation後のフォローアップ79例を対象に回腸囊炎の診断と経過を検討した.観察期間(中央値69か月)に34例を回腸囊炎と診断,5年累積発生率は36.0%であった.初回診断時の内視鏡像をびまん炎症型,潰瘍型,混合型に分類した.抗菌剤・抗生剤治療にて速やかに症状が改善するが,67.6%が再燃寛解型・慢性持続型の経過をたどり,内視鏡的寛解には抗菌剤・抗生剤長期投与を必要とするものが少なくない.回腸囊炎による排便回数増加やsoilingは肛門合併症や肛門括約機能不全を来す危険性がある.内視鏡検査は回腸囊炎の診断のみならず治療・経過観察においても重要である.

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要旨 患者は17歳,女性.下血を主訴に受診した.大腸内視鏡検査で下部直腸を中心に多発するアフタ様病変を認めた.7か月後には直腸病変はびまん性の顆粒状粘膜を示し,初診より1年9か月後には直腸から横行結腸遠位部まで連続する左側大腸炎型潰瘍性大腸炎に進展した.ステロイド剤で寛解となったが,3年9か月後に再燃,直腸は初回検査時に類似した小隆起の多発を伴うびまん性炎症を示した.本症例は潰瘍性大腸炎におけるアフタ様病変の意義を考えるうえで,示唆に富む症例と考えられた.

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要旨 3例の主訴は下痢,血便であり,いずれも下部内視鏡検査にて非連続性のびらんがみられ,感染性腸炎を疑った.便培養でCd(Clostridium difficile)あるいはCd toxinが検出され,Cd腸炎と診断した.いずれもバンコマイシン内服投与にて症状は消失したが,それぞれ約2週後,約2か月後,約1年後に症状が再発し,内視鏡検査にて典型的潰瘍性大腸炎に進展していた.初回の内視鏡像は非連続性病変であるが,その後の経過や初回生検組織像から,Cd腸炎よりも潰瘍性大腸炎の初期病変を見ていた可能性が高いと考えられた.すなわち,Cd腸炎が潰瘍性大腸炎を誘発した可能性よりも,症状のない潰瘍性大腸炎をCdが顕在化させた可能性が高いと考えられた.

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要旨 初期病変としてのリンパ濾胞増殖症から,典型的な潰瘍性大腸炎に進展した症例を経験した.患者は47歳,女性.時折下血を自覚し,初診.理学的所見,臨床検査では著変はみられなかった.大腸内視鏡検査では,直腸下部にリンパ濾胞の増殖によると思われる大小の顆粒状隆起を,粘膜には一部発赤,黄色点を認めた.生検ではリンパ濾胞の過形成,一部炎症性細胞浸潤を認めたが,積極的に潰瘍性大腸炎を示唆する所見には乏しかった.クラミジア腸炎も疑ったが血清学的,組織学的には否定的であり,リンパ濾胞性直腸炎との鑑別が問題となった.約3か月のメサラジン,ステロイド坐剤による治療では内視鏡的には軽度改善したが,組織学的にはほぼ不変であった.さらに5か月の経過で血便が持続的となり,内視鏡的,組織学的にはリンパ濾胞の増殖は消褪し,典型的な潰瘍性大腸炎に進展した.

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要旨 潰瘍性大腸炎の直腸炎型~左側大腸炎型の約30%では,虫垂に炎症を伴う“ulcerative appendicitis”を合併すると言われている.今回筆者らは,虫垂病変が先行したと思われる潰瘍性大腸炎の1例を経験した.患者は46歳,男性.検診で便潜血検査陽性を指摘され,全大腸内視鏡検査を施行された.直腸~左側大腸には特に異常を認めず,虫垂開口部に潰瘍性大腸炎様所見,上行結腸に非連続性に小病変を認めた.虫垂からの生検では潰瘍性大腸炎に矛盾しない所見を認めたが,直腸生検では炎症はほとんどみられず,寛解期の所見もみられなかった.1年後の経過観察では虫垂病変は軽度改善を認めたが,直腸には著変はみられなかった.さらに2年半後には,直腸に典型的な潰瘍性大腸炎の所見が出現し,虫垂病変は寛解していた.初期病変としての“ulcerative appendicitis”の可能性が示唆された.

早期胃癌研究会

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 2008年12月の早期胃癌研究会は12月17日(水)に東商ホールにて開催された.司会は松井敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科)と小山恒男(佐久総合病院胃腸科),江頭由太郎(大阪医科大学第一病理学)が担当した.画像診断レクチャーは鶴田修(久留米大学消化器病センター内視鏡診療部門)が「大腸癌の深達度診断─私はこれで決める」と題して行った.

2009年2月の例会から 山野 泰穂 , 細川 治
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 2009年2月の早期胃癌研究会は2月18日(水)に笹川記念会館にて開催された.司会は山野泰穂(秋田赤十字病院消化器病センター)と細川治〔福井県立病院(現:横浜栄共済病院)〕,鬼島宏(弘前大学大学院病理生命科学講座)が担当した.画像診断レクチャーは浜田勉(東京都東部地域病院内科)が「スキルスの診断─粘膜ひだの形態に注目を」と題して行った.

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要旨 患者は80歳代,男性.主訴は便潜血陽性.大腸内視鏡検査で直腸Raに10mm大のIs+IIc病変を認めた.クリスタルバイオレット染色による拡大観察では,隆起の立ち上がりはIIIL~IV型pit pattern,陥凹局面はVI型pit pattern(高度不整)で,NBI拡大観察では陥凹局面は不整な微小血管を認め,血管分布は不均一で無血管野も出現しており,SM深部浸潤を示唆する所見であったが,そのほか明らかなSM深部浸潤の所見は認めなかったため,total biopsy目的でEMRを施行した.病理組織結果は,中分化型管状腺癌,SM実測値1,180μm(粘膜筋板は消失し病巣表層から測定),脈管侵襲ly0,v0,水平断端,深部断端陰性であった.

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要旨 患者は40歳代,女性.便潜血検査陽性にて注腸X線検査と下部消化管内視鏡検査を施行された.回腸末端の拡張不良と盲腸部の潰瘍瘢痕,上行結腸の輪状傾向を有する不整潰瘍を認めた.内視鏡的には腸結核が疑われたが生検培養,腸液の吸引培養にてMycobacterium avium(M. avium)が検出された.病理組織像は,明らかな乾酪壊死巣のない肉芽腫が認められ,多核巨細胞も伴っていた.また結核菌では通常みられない非壊死性組織球反応や好中球性反応がみられ,培養の結果と合わせて非定型抗酸菌症に矛盾しないと考えられた.非定型抗酸菌腸炎についての報告は少なく,貴重な症例と考えられた.

学会印象記

第95回日本消化器病学会総会 岩男 泰
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 第95回日本消化器病学会総会は浅香正博会長(北海道大学大学院消化器内科学)のもとに,ゴールデンウイーク明けの2009年5月7日から9日まで3日間にわたって,札幌市の北海道厚生年金会館,ロイトン札幌,京王プラザホテル札幌を会場に開催された.

 5月という北海道でも最高とも言える季節で天候にも恵まれ,会場の熱気もあってのことだが,日中は暑いくらいで上着を脱いで過ごすことも多かった(もっとも2~3日前に雪が降ったと聞き,さすがは北海道と驚きもした).

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 第77回日本消化器内視鏡学会総会は,芳野純治会長(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院内科)のもと「消化器内視鏡─さらなる飛躍」をメインテーマに,2009年5月21~23日の3日間,名古屋国際会議場において開催された.本総会は新型インフルエンザが日本にも上陸し全国に拡がりをみせる中で開催された.総会ホームページには“学会参加者は,各自必ずマスクを持参ください”と掲示され,過去にない物々しい雰囲気の中で初日を迎えた.参加者全員がマスクをした会場はどのような雰囲気かと不安と興味を交錯させながら会場へと向かった.しかし,いざ会場へ到着するとマスクをした参加者はそれほど多くなく,いつもの総会とあまり違いはなかった.あえて言えば会場各所に消毒液と,記名所にマスクが置いてあったことくらいであろうか.天気は2日目には小雨が降ったが,最終日は快晴で会場は3日間を通じ大盛況であった.

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欧文目次

編集後記 松井 敏幸
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 本号は,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)の初期病変の解明という視点で編集された.すなわち,現時点でCrohn病の初期病変は全消化管のアフタで発生し,その後比較的緩やかに典型的な病変へと進展する.その経過は十分に解明されていると思われる.この状況に比べ,UCの初期病変の理解は極めて不十分である.わずかにアフタ様潰瘍や濾胞性炎症などが,それに相当すると推定されているが広く認知されてはいない.その理由は,おそらくUCの初期病変が急速に発生し進展するためであろう.また,これに加えてUCでは,大腸以外の上部消化管にも軽微な病変が生じることがわかりつつある.その一部はびまん性病変であるが進展は着実ではない.病変の消長があるため,臨床で連続的にとらえることには成功していない.小腸内視鏡などが非侵襲的に施行できるなら,小腸病変は今後解明されることであろう.さらに,今後大きな問題になる回腸嚢炎も含めた続発性小腸病変の実態についても,その進展は十分には解明されていない.本号では,これらの興味深い問題に対する解答が得られるであろうか.組織学的にも十分に議論して,UCが全消化管の病変なのか否か考えなければならない.そのために今回,UCの初期病変の研究発展に向けて問題点を絞る論文が寄せられたと考える.読者がこの趣旨にかなう論文が寄せられていることに同意するなら,編者としてこれ以上の喜びはない.今後,本号の論文が基礎的な研究の進展につながればとも考える.

基本情報

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胃と腸
44巻10号 (2009年9月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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