胃と腸 40巻3号 (2005年3月)

今月の主題 特殊組織型の食道癌

序説

特殊組織型食道癌 吉田 操
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はじめに

 特殊組織型食道癌という言葉は食道癌を専門領域としている人たちの会話中にしばしば聴く.扁平上皮癌が大部分を占める食道原発悪性腫瘍であるので,特殊組織型癌といえども頻度が格別高いわけではない.診断上の特徴,病態に特徴があるとされ,治療法の選択に考慮すべき事柄があるために常に興味を引く.

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要旨 食道の扁平上皮癌(SCC)以外の特殊組織型食道癌の発生頻度は1995~1999年食道癌全国登録切除例9,328例のうち540例(5.8%)で,腺癌1.8%,腺扁平上皮癌,類基底細胞癌,未分化癌などその他特殊型4.0%であった.また1965~2002年の38年間に東京女子医科大学で経験した食道癌切除例では2,498例中141例(5.6%)に特殊組織型癌がみられた.特殊組織型癌は通常のSCCと発生の場が異なり,組織型により隆起型腫瘤や浸潤性発育を示す特色ある肉眼像を呈するものが多い傾向がみられた.特に表在型で切除される症例の増加により,その発生母地が推測できる症例を多く経験した.

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要旨 特殊組織型の食道癌18例(小細胞癌5例,カルチノイド1例,類基底細胞-扁平上皮癌8例,腺扁平上皮癌4例)においてそれらの病理組織学的・免疫組織学的特徴を検討し,類基底細胞-扁平上皮癌と腺様嚢胞癌との鑑別困難1例と非小細胞型未分化癌10例について免疫組織学的所見を加味した再分類を試みた.免疫組織学的に,小細胞癌はケラチンでは高分子(-),低分子(+)であり,chromogranin Aは必ずしも陽性でなくCD56が最も有用であった.類基底細胞-扁平上皮癌ではケラチンでは高分子(+)に加えて,様々な割合でCEA,アクチン,vimentin(+)とbcl-2(+)が特徴的であり,多分化能を有する腫瘍であることが示された.腺扁平上皮癌は,腺癌と扁平上皮癌のそれぞれに対応した染色性であった.すべての症例において腺様嚢胞様構造部でさえもS-100は陰性であり,腺様嚢胞癌に合致する症例はみられなかった.鑑別診断には病理組織学的所見が最も重要であることは言うまでもないが,非小細胞型未分化癌や鑑別が困難であった例でも免疫組織学的所見を加味するとある組織型へ分類することができ,免疫組織学的所見の有用性が示された.

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要旨 扁平上皮癌以外の特殊組織型を示す食道癌は極めてまれな腫瘍である.これまでに51例の扁平上皮癌以外の組織型を示す食道腫瘍を経験し,その内訳は類基底細胞癌15例,小細胞型未分化癌14例,癌肉腫8例,腺扁平上皮癌7例,腺様嚢胞癌2例,悪性黒色腫2例,粘表皮癌1例,そのほかカルチノイド1例,GIST1例であった.いずれも隆起を主体とする腫瘍が多く,X線診断では,①隆起の形状と高さ,②隆起の立ち上がり所見,③表面の性状,④周囲への上皮内進展の有無などを描出しなければならない.上皮下への進展を有する食道癌は扁平上皮癌においても経験されるが,表面平滑で急峻な立ち上がりを示す腫瘍では扁平上皮癌以外の食道癌,特に小細胞型未分化癌や腺様嚢胞癌を考えなければならない.一方,類基底細胞癌ではなだらかな立ち上がりを示す.また丈が高く表面が結節状で不整な病変は,癌胞巣の増殖に伴う形態変化であり,類基底細胞癌および小細胞型未分化癌いずれでも認められるが,扁平上皮癌とは異なり各結節の表面は平滑で,隆起間の溝の線もやわらかさを持っている.腺様嚢胞癌は,表面平滑な広基性隆起として描出されるのに対して,悪性黒色腫の隆起基部は狭く亜有茎性隆起を示す傾向にある.また特殊組織型の食道癌は,進行すると転移の可能性は扁平上皮癌よりも高い傾向にあり,これらの腫瘍の早期発見と診断は,予後を決定する大変重要な役割を担っている.

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要旨 食道悪性腫瘍のほとんどは扁平上皮癌であり,その他の組織型は極めて少ない.われわれの施設における1,509例の経験では,扁平上皮癌1,382例(91.6%)と腺癌58例(3.8%)で95%以上を占め,その他の組織型(腺扁平上皮癌,類基底細胞癌,癌肉腫,未分化癌,悪性黒色腫)は69例(4.6%)と少なく特殊であり遭遇することは比較的まれと考えられる.しかし食道の未分化癌,悪性黒色腫は極めて悪性度が高いことはよく知られており,特殊組織型の中でも比較的頻度が高いことから,そのX線像の特徴を明らかにし,的確な治療方針の決定のため役立てていくことは重要である.

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要旨 扁平上皮癌,腺癌以外の特殊組織型の食道癌は3%程度を占めるにすぎない.小細胞型未分化癌,類基底細胞癌,腺様嚢胞癌,腺扁平上皮癌などは隆起を主体とした発育を示し,また,粘膜上皮に被覆されている部分が多いという特徴があるが,腫瘍の立ち上がり,表面の凹凸,びらん・潰瘍の有無,などにより鑑別される.扁平上皮癌も含めて鑑別が困難なものもあるが,一般的な鑑別の要点を示した.また,特殊組織型扁平上皮癌の発育形式とその過程を推定した.

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要旨 本邦では食道癌の組織型の93%以上が扁平上皮癌であり,今回の特集の主旨は扁平上皮癌およびBarrett食道癌を除いた特殊組織型の特徴像を浮き彫りにすることにある.筆者らは,①色調の特徴から,②形態の特徴から(粘膜下腫瘍様形態を示すもの,複雑な内視鏡形態の混在を呈するもの),③癌占居部位の特徴,の観点から検討した.色調の点からは悪性黒色腫を提示し,1例は重粒子線(Heavy-Ion radiotherapy)により黒色が消失していく経過を示した.粘膜下腫瘍様形態を示すものとして類基底細胞癌を深達度の深さごとに提示し,内視鏡画像の面から腫瘍表面の陥凹の増大していく形態を提示した.小細胞癌の1例は進行癌であったが,超音波内視鏡所見として低エコー病巣内に細かいスポットの密集が観察された.複雑な内視鏡形態の混在を呈した腺扁平上皮癌の症例では術前の放射線化学療法でその形態が変化していき,癌遺残の部分の所見を提示した.Barrett上皮を伴わない下部食道腺癌の症例は食道噴門腺から発生したまれな症例であり,超音波内視鏡検査の方法およびその画像を提示した.

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要旨 1988年から2003年までに診断・治療された食道悪性腫瘍2,370例の中で特殊組織型の治療法および治療成績について述べた.特殊組織型とはいえ,基本的には扁平上皮癌と同様に考えてTNM分類に基づき,治療方針が決定されていた.平滑筋肉腫の治療の第一選択は手術であるが,リンパ節郭清の意義は少なく,術後では遠隔転移再発に注意すべきであろう.小細胞癌では,多くの症例で治療開始時に頸部リンパ節転移または遠隔臓器転移を伴う進行した病期であり,化学療法あるいは化学放射線療法を選択するのが一般的であろう.また,切除例の中でも転移リンパ節個数の少ない症例では,長期生存例が存在していることから,症例によっては手術も選択肢の1つとなりうるものであろう.悪性黒色腫に関しては切除が第一と考えられていたが,理想的治療法は確立されていないと言える.しかし,これまでの経験より,臨床病期が比較的早期あるいは切除可能と診断されても,早期に遠隔臓器転移を来す傾向があり,現在では切除の対象ではないと考えられる.それ以外の特殊組織型食道癌の治療方針では,当面,通常の扁平上皮癌と同様に考えて対応すべきと思われる.

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要旨 食道悪性腫瘍2,521例のうち特殊組織型の治療法について述べた.扁平上皮癌2,448例(97.1%)を対象として特殊組織型の治療成績について比較検討した.特殊組織型の内訳は腺癌36例,腺扁平上皮癌2例,腺様嚢胞癌4例,類基底細胞癌4例,未分化癌17例,悪性黒色腫4例である.小細胞癌の予後は悪く,深達度smまででリンパ節転移のないものが切除の対象となりうるが,大部分の症例は予後が悪く化学療法中心の治療が行われている.悪性黒色腫は可能な限り切除を行っているが,症例数が少なく抗癌剤の効果については不明である.その他の癌は病期別の成績では扁平上皮癌とほぼ同等であり,扁平上皮癌と同様な治療をしている.

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要旨 極めてまれな食道悪性腫瘍として知られる食道類基底細胞癌(BSC)は近年報告例が散見されるようになった.以前は低分化型扁平上皮癌や未分化癌と診断されることも多かったが,BSCの概念が一般的になってきた昨今,報告が増加してきた.しかしながら,いまだにこのBSCは食道腺様嚢胞癌(ACC)との鑑別が困難で,組織像に共通点が多いために混同されているのが現状である.われわれは36例のBSCを経験し,その組織像について検討した.BSCの病理像は極めて多彩で,画一的な定義付けは困難である.このような多彩性は,本腫瘍が扁平上皮・基底細胞・食道腺の導管・食道腺への分化を示すためと考えられる.われわれはこの多彩な組織像を大きく5つのcomponentに分けて,本腫瘍がこれらの組み合わせから成っていると考えた.ACC類似の像を呈するcomponentは食道腺への分化を示すもので,このことからACCは食道腺へ分化した,BSCの部分像であると考えた.

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要旨 症例は46歳,女性.嚥下困難を主訴に近医を受診し,下部食道に粘膜下腫瘍(SMT)を認め,当科を紹介受診となった.食道X線検査では大きさ12cmの中央に陥凹を有するSMTとして描出された.上部消化管内視鏡検査では白色調,弾性硬のSMTであり中央に深い陥凹を有していた.食道原発の悪性リンパ腫と診断したが,生検では確定診断に至らなかった.診断的治療として胸部食道亜全摘術を施行した.切除後の病理組織検査にて小型の異型リンパ球が増殖し,centrocyte-like cellの増殖,lymphoepithelial lesionを認めた.免疫染色ではCD20,bcl-2陽性,CD5,CD10,cyclin-D1陰性で食道原発のMALTリンパ腫と最終診断した.術後15か月無再発にて経過観察中である.

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要旨 患者は53歳,男性.軽度の吐血を主訴に当科受診.食道内視鏡,食道造影検査にて胸部上部食道から中部食道にかけての2型の進行食道癌と診断された.生検の組織診断は扁平上皮癌であった.術前化学療法を1コース行ったが,明らかな効果は得られなかった.右開胸開腹胸部食道全摘術および3領域リンパ節郭清術を施行したが,術後早期に再発死亡した.切除標本の病理組織診断は粘表皮癌であった.画像上,典型的な特徴を示さなかったが,臨床経過は治療に抵抗性であり,食道粘表皮癌の予後不良の特徴を示した.最近経験した食道粘表皮癌の貴重な1症例として臨床経過と病理組織学的特徴について報告した.

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要旨 患者は55歳,男性.約4か月前から食物通過障害が出現し,食道腫瘍を指摘されて当院紹介となった.上部消化管造影および内視鏡検査所見では下部食道を中心とした長径約9cmの巨大な1型腫瘍を認めた.診断的EMRにて癌肉腫の診断となり,右開胸開腹胸部食道全摘,胸骨後経路頸部食道胃管吻合術を行った.病理組織検査にて,紡錘形細胞から成る肉腫様成分と扁平上皮癌が混在し,両者間に移行像を認めたことから“いわゆる癌肉腫”と診断された.術後3か月目に多発性肝転移,7か月目に肺転移が判明し,手術から約9か月後に癌死された.比較的まれな食道の“いわゆる癌肉腫”の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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要旨 患者は57歳,男性.嚥下困難を主訴に前医を受診し,頸部食道に腫瘍を認めたため当院へ紹介となった.精査の結果,頸部食道右壁,長径4cmの2型食道癌と診断した.生検結果は高分化型腺癌であった.手術は食道全摘(非開胸),後縦隔胃管再建を行った.切除標本では頸部食道に3.5cmの2型腫瘍を認め,T4(気管)N1 M0 IM0 Stage IVaであった.病理診断は中分化型腺癌であった.腫瘍周囲の扁平上皮の粘膜下に胃粘膜上皮が存在することから,腫瘍は異所性胃粘膜由来と考えられた.本邦における食道腺癌は食道癌全体の2%程度である.治療法や予後は扁平上皮癌と大差はないと言われているが,Barrett上皮以外の腺癌の報告は少ないため,今後症例の集積が必要である.

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要旨 症例は69歳の男性で,胸部食道にSMT様病変を認めた.頂部は陥凹を呈し,口側は発赤が強く拡大観察でループ状の不整血管を認めた(partA).前壁側は中等度に発赤し拡大にて複数の無血管領域と同部を取り囲む異常血管を認めた(partB).組織学的にpartAは深達度sm2のSCCで,表層にびらんを伴っていた.拡大観察でみられた血管は従来報告されていたsm癌の血管とは異なっており,びらんに伴う新生血管と思われた.partBでは,乏血性のBSC腫瘍塊,および腫瘍塊間の血管の露呈を認めた.拡大観察でみられた無血管領域とそれを取り囲む異常血管は,乏血性腫瘍塊と腫瘍塊間の血管と考えられ,BSCに特徴的な血管像と推察された.

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要旨 〔症例1〕59歳,男性.内視鏡検査で門歯より32cmに立ち上がりなだらかな丈の低い隆起性病変(0-IIa)を認めた.隆起の表面は平滑で大部分が正常上皮に覆われていたが,頂部に浅い陥凹が認められた.X線検査では表面はやや顆粒状であった.生検では扁平上皮癌を疑う異型上皮が認められ,内視鏡的に切除した.腫瘍径は8×8mm,深達度sm2(520μm)で,ly0,v0であった.なお,門歯より22cmにも半周性のm2癌が認められた.〔症例2〕76歳の男性で,内視鏡的に切除された同時多発性食道早期癌の追跡中,中部食道に粘膜下腫瘍様隆起(0-Isep)が認められた.表面は正常上皮に覆われ平滑であったが,丈が高く緊満感を伴っていた.X線検査では立ち上がりはやや不整で,表面には淡いバリウム斑が認められた.生検では扁平上皮癌が疑われ,内視鏡的に切除した.腫瘍径は9×7mm,深達度sm2(2,600μm)で,ly0,v0であった.いずれも放射線治療を追加し4年8か月,3年2か月間,無再発生存中である.

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要旨 患者は48歳,男性.前胸部痛のため近医を受診し,内視鏡検査で中部食道に粘膜下腫瘍様隆起を指摘され,生検で小細胞癌と診断されたため当科を紹介された.X線検査では頂部に淡い不整形のバリウム斑を有する表面平滑な隆起であった.内視鏡検査では表面平滑な0-Isep型の腫瘍で,隆起の大部分はヨードに染色される正常上皮に覆われていたが,立ち上がりは比較的はっきりし丈が高く,頂部には不整な陥凹を伴っていた.さらに隆起辺縁には上皮内伸展様の陥凹も認められた.EUSも含めた検査で深達度sm2,3と術前診断し外科的切除を行った.病理組織学的には細胞質に乏しい小型の異型細胞の上皮下を主座とした充実胞巣状からシート状の増殖から成りsm深層まで浸潤していた.隆起の立ち上がりから辺縁には0-IIbのm1扁平上皮癌も併存していた.以上から全腫瘍径20×18mm,0-Isep+IIb型,小細胞型未分化癌,深達度sm3,ly1,v1,infαと診断した.106recRにリンパ節転移も認められた.術後に化学療法(CDDP+CPT-11)を追加したがリンパ節再発を来し21か月後に癌死した.

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要旨 患者は54歳,男性.下血を主訴に当科受診.下部消化管内視鏡検査にて歯状線より10cmの部位に全周性の2型腫瘍を認め,生検にて高分化型腺癌と診断された.この際スクリーニング目的に施行した上部消化管内視鏡検査にて,胸部中部食道から食道胃接合部直上まで,まだら状に黒色色素沈着を認めた.さらに,胸部下部食道後右壁に径1cm大の広基性隆起を認め,隆起頂部は灰白色であったが,基部は黒色であった.生検にて,悪性黒色腫と診断された.大腸癌は膀胱,仙骨への浸潤を認め,根治切除不能であったため,食道悪性黒色腫に対しては,化学療法を施行した.治療開始後6か月経過し,病変の増大は認めるものの生存中である.

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早期胃癌の肉眼分類が1962年に作られたと,前回,簡単に書いたが,肉眼分類が作られた経緯は,白壁彦夫先生が「早期胃癌黎明期の回想」(胃と腸28(増刊):147-160)で詳しく話されている.

 1962年に,田坂定孝先生(東京大学内科)が代表して日本内視鏡学会で「早期胃癌の全国集計」を報告し,その中で早期胃癌の肉眼分類を提示したが,その背景には,放射線科医,内視鏡医,外科医,病理医が集合して,全国から集積された537症例を検討したことがある.胃癌の組織発生(潰瘍癌,ポリープ癌などの)を除いて,病変の凹凸を中心に検討し,X線,内視鏡,外科,病理の全部が利用できる基準として,分類されたものである.翻って,早期胃癌の黎明期に活躍した欧米の研究者のその後の研究が全く進展しなかった要因の1つには,アメリカでは病理医,ドイツでは外科医,フランスではX線医が別々に研究したままで,それらがまとまった研究に進まなかったことがあると思われる.

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欧文目次

編集後記 小山 恒男
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 わが国の食道癌は 90 % 以上が扁平上皮癌であり,特殊組織型の頻度は少ない.このため日常臨床で特殊組織型の食道癌に遭遇するチャンスは少なく,その特徴を十分に知らない消化器医も多い.そこで,本号では特殊型食道癌を取り上げ,X 線,内視鏡,病理,臨床の立場からその特徴を論じて頂いた.これだけ幅広い視点から特殊型食道癌を考えた企画は過去に例がなく,本号では特殊組織型食道癌の特徴を網羅することができた.

 特殊組織型食道癌は X 線,内視鏡で粘膜下腫瘍様の発育形態を呈すため,その特徴的な肉眼像を知ることで鑑別診断が可能である.また,病理組織学的には類基底細胞癌(basaloid squamous cell carcinoma ; BSC)と腺様囊胞癌(adenoid cystic carcinoma ; ACC)の鑑別が問題であったが,本号では組織分類の新たな方向性が見い出せた.主題症例では MALT リンパ腫,粘液表皮癌,BSC,癌肉腫,腺癌,小細胞,悪性黒色腫など多彩な症例が良好な画像資料とともに掲載され,特殊組織型アトラスとしても有用な号になった.本号を精読することにより,特殊組織型の食道癌の特徴,問題点をご理解頂くことができる.まれな疾患だが,特色のある疾患群であり,これらの症例に遭遇した際には本号を再読し,診療に役立てて頂きたい.

基本情報

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胃と腸
40巻3号 (2005年3月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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