胃と腸 31巻12号 (1996年11月)

今月の主題 未分化型小胃癌はなぜ少ないか

序説

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 小さい未分化癌がなぜ問題なのか

 消化器病の臨床で,癌の早期発見と治療は今日でも最も大きなテーマである.胃癌の治療において,切除不能症例は別として,なるべく早く手術をする時代から,低侵襲性の治療が推奨されるようになった.小さい癌は内視鏡的粘膜切除術(EMR)で治療することが一般的となり,この手技は胃のみでなく,食道,大腸などでも広く行われるようになった.胃においても,EMRの適応についてはほぼ確立されているが,他の臓器と異なり,未分化癌の占める比率が高いこと,胃酸の影響で潰瘍を合併しやすいことが問題を複雑にしている.したがって,分化型腺癌と未分化型腺癌に分けEMRの適応を考えるのが一般的であり,未分化癌をEMRの適応とするか否かは意見の分かれるところである.しかし,最近の学会の動向をみると,EMRの適応は拡大する傾向にあり,未分化型に対するEMRの報告も増加している.今回の主題の目標の1つは未分化癌の発育・進展形式から考えて,この動向が正しいか否かを検証することである.

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要旨 癌の進展に伴う組織型の変化の詳細を検討するために246例の粘膜下深達癌を検討したところ,以下の結果を得た.①粘膜内と粘膜下層で組織型の変化した症例および分化型と未分化型の混合型の群は,組織型の変化しない純粋の分化型と純粋の未分化型との中間的な臨床病理学的な特徴を有し,特殊な癌型であった.②ある種の分化型が混合型に変化し,更に未分化型に変化する.③分化型の形態変化は,粘膜内,あるいは粘膜内から粘膜下層に深達する際に起こり,更に粘膜下層では浅部から中層に至る段階で分化型から混合型に,中層から深層に至る段階で混合型から未分化型に変化する.以上から,進行するにつれて未分化型癌の割合が増加するのは,ある種の分化型癌が未分化型に変化するために起こると結論した.

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要旨 未分化型小胃癌はなぜ少ないのか,この点を明らかにするため,早期胃癌1,997個(微小癌188個,小胃癌267個,その他1,542個)と進行癌1,279個を対象として,m癌の大きさ別と癌の深達度別に分化型癌,未分化型癌の比率を検討した.m癌では,5mm以下の大きさで純粋分化型癌が90%,純粋未分化型癌が10%であった.m癌の大きさの増大とともに,未分化型癌の頻度に変動はなかったが,分化型癌の減少とその未分化型化が生じた.未分化型化の率は5<x≦10mmで3.4%,10mm台で7.4%,20mm台で11.4%,30mm台で35.8%となった.sm以深浸潤癌でも,深部浸潤するにつれ純粋分化型癌の割合は減少し,分化型癌の未分化型化の割合は増加した.この未分化型化は,同じ大きさのm癌に比べ,sm癌で有意に高かった.sm癌での未分化型化は粘膜内部分で発生していたものが94.5%,粘膜下部分で発生したものが5.5%であった.分化型癌の未分化型化は胃型形質癌で76.5%(13/17)と高く,腸型形質癌では22.7%(17/75)であった(ρ<0.01).未分化型化に純粋分化型癌の発生部位や細胞異型度は無関係であった.p53蛋白発現,c-erbB-2発現,K-ras変異や両組織型癌の分布から,分化型癌内の未分化型癌出現は前者の未分化型化と考えられた.以上,進行癌で未分化型癌(未分化型優勢癌を含む)の比率が増加するのは,純粋未分化型癌そのものの頻度が増加するのではなく,純粋分化型癌が粘膜内で増大するのに比例して分化型癌の未分化型化が高率に生じ,この未分化型癌がsm以深浸潤部の主組織型を占めるために,未分化型癌の割合が増加するためと考えられた.

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要旨 小さな未分化型癌の少ない理由を臨床診断能と,未分化型癌の発生・発育進展の過程から検討した.30mm以下の病変を小さな未分化型癌として検討した.微小癌以外は比較的よく診断されていた.病理組織学的検索で発見された病変は形態的表現の乏しいⅡb,類似Ⅱbのm癌で胃体下~中部に多かった.未分化型癌の発育進展の過程から検討すると,大きな未分化型早期癌は1つの微小癌から発育進展すると考えるよりも,多くの微小癌がほぼ同時に多発し1つの病変を形成すると考えるほうが,自然である.これが小さな未分化型癌が少なく,大きな未分化型癌が多い原因と推測した.

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要旨 胃癌697例(749病変)のうち,1cm以下の小さな未分化型胃癌33病変を対象に,臨床診断の実態について検討した.①5mm以下の未分化型微小胃癌の頻度は全切除胃癌に対して1.3%であった.②癌組織型と大きさの関係では,大きさが10mmを超えると癌組織型差はほとんどなかった.③臨床発見成績は微小胃癌30%(3/10病変),小胃癌91%(21/23病変)であった.④微小胃癌の肉眼型はⅡbあるいはそれに近い形態が多かった.未分化型微小胃癌が極端に少ない理由は,平均年齢が50歳台にあり,加齢に伴う背景粘膜の質的変化と癌組織発生の関係から理解できた.未分化型微小胃癌を臨床的に発見するには,標的年齢を40歳台に置くべきであり,背景粘膜の質と癌組織型の関係を考慮に入れた検査が必要である.

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要旨 小さな未分化型早期胃癌は臨床発見がまれとされている.そこで,仙台市医療センターで外科的,内視鏡的に切除された早期胃癌1,912病巣を,EMRが確立される以前の前期(1980~1990年)と確立された後の後期(1991~1995年)に分け,未分化型微小・小胃癌の診断の実態を比較検討し,更に臨床病理学的特徴,内視鏡的特徴を抽出した.その結果,①未分化型微小胃癌は8病巣,同小胃癌は26病巣であった.②微小・小胃癌に占める未分化型の頻度は,微小胃癌では前期で5%,後期で7%,小胃癌では前期で12%,後期で9%と,前期,後期ともに低かった.また,未分化型早期胃癌の大きさ別分布をみると,前期,後期ともに10mmを超えて発見頻度が急増しており,未分化型微小・小胃癌が見逃されている可能性が示唆された.③臨床病理学的特徴をみると,未分化型微小胃癌・小胃癌ともに,M領域のⅡc型が多かった.また,未分化型癌は小胃癌になるとUlを伴いやすい傾向があった.④内視鏡的特徴をみると,未分化型微小胃癌・小胃癌ともに,発赤顆粒を伴う褪色陥凹が重要な指標であった.以上,小さな未分化型早期胃癌を見逃さないためには,M領域の発赤顆粒を伴う褪色小陥凹に注意することが重要であった.

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要旨 胃癌2,186例2,392病変を対象とし,未分化型癌の臨床病理学的特徴を明らかにし,未分化型小胃癌の臨床診断の実情を検討し以下のような結論を得た.①分化型癌と未分化型癌の比率は,全体では1.4:1であったが,隆起型を除くと1.1:1でほぼ同率となったが,1cm以下に限ると139病変:48病変(2.9:1)となり,未分化型癌の比率は激減した.②未分化型小胃癌は,体部大彎を中心とした粘膜ひだの著明な領域とそれに接する2cm以内の範囲に81%が,分化型小胃癌はそれより口側の領域に73%が存在した.③未分化型は,3mmまではほとんどが切除標本で肉眼での識別不能な病変(Ⅱb)であったが,5mmを超えると形態変化(陥凹周囲の隆起,粘膜集中像)が強くなり,臨床診断の容易な病変の頻度が増えた.

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 〔患者〕45歳,男性.1993年,心窩部痛があり,近医で胃潰瘍として加療を受けた.

 1995年10月に職場の健診で異常を指摘され同医受診.胃内視鏡検査で精査必要とされ,1996年2月当科紹介となった.

リフレッシュ講座 膵管像の読み方・3

膵癌の膵管像(1) 小越 和栄
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 膵癌のERCP

 ERCPは特に膵癌の診断に有用な検査法であり,他の画像診断と比較しても信頼度の高い方法である.ERCPが他の画像診断に比較して特に診断能が優れている点は,細かな主膵管および分枝管の異常所見としての情報が比較的豊富に捉えられ,更に癌診断の特異度が高いことである.

 しかし,ERCPの欠点は,超音波診断などに比較して患者の負担が多く,一次スクリーニングがかなり困難な点と,検査法およびその読影について専門的な技術修得の必要なことなどが普及度を低くしている点である.したがって,膵癌を疑ってからERCPを行うまでをいかにして行うかが問題であり,ERCPを行えば膵癌の見逃しは最小限におさえることが可能である.

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要旨 患者は69歳,男性.食思不振を主訴に当科受診.上部消化管X線および内視鏡検査で,その約7か月前には異常を指摘できなかった胃前庭部に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍様隆起を認め,胃生検で悪性リンパ腫と診断.骨髄穿刺で骨髄への浸潤を認めた.経過中に腫瘤は増大発育し,吐血を来したため主に止血を目的として胃部分切除術を施行.腫瘍は全層性,びまん性に増殖した中型から大型の異型リンパ球で,間に貧食細胞が散在するstarry sky像を呈し,免疫組織化学検査で腫瘍細胞はCD20,SmIgM陽性,またc-myc遺伝子に対する抗体が陽性で,Burkitt様リンパ腫と最終診断した.術後化学療法を施行したが,診断4か月後には中枢神経症状が出現し,6か月後に肝不全,呼吸不全のため死亡した.

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要旨 患者は49歳,女性.嘔気,背部痛を主訴に来院した.胃X線検査,胃内視鏡検査で胃体上部前壁・大彎・後壁および胃体下部前壁に粘膜ひだの途絶した陥凹病変が存在した.陥凹部とその周囲は褪色調であった.同部の生検で胃形質細胞腫と診断され,胃全摘術を施行した.組織学的には胃上部前壁の陥凹部粘膜内に形質細胞が多数増殖しているが,lymphoepithelial lesionやcentrocyte-like cellの増殖もみられた.胃上部大彎後壁および胃中部前壁の陥凹部は,形質細胞の増殖がないほかは同様の所見であり,形質細胞への高度な分化を示した胃MALT型リンパ腫と診断された.本例は胃形質細胞腫との鑑別に難渋した症例で,MALT型リンパ腫の概念が導入された現在では,胃形質細胞腫症例の再検討が必要になると考えられた.

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要旨 患者は64歳,女性.便潜血陽性のため施行した注腸・内視鏡検査で,横行結腸に台形状の壁変形を示し,口側に7mmの発赤調のポリープを伴った10mmの粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め,横行結腸切除術を行った.病理組織学的検索によると病変はserrated adenomaから発生した癌で,その深部浸潤により粘膜下腫瘍様隆起が形成されたと考えられた.癌の浸潤はssにまで及んでいた.serrated adenomaの癌化によると思われる進行癌の症例の報告は少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.

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要旨 患者は55歳の男性.腹痛,下痢を主訴に来院した.亜腸閉塞状態のため経管的小腸造影を施行し,回腸末端の狭窄と口側小腸の著明な拡張を認めた.大腸内視鏡は回盲弁を通過せず,盲腸に辺縁不整の小潰瘍を少数認め,同部の生検で異型上皮性細胞を検出した.大腸X線検査では盲腸の広範囲な伸展不良と潰瘍を認め,盲腸の悪性腫瘍を疑い回盲部切除術を施行した.病理組織学的検索の結果,虫垂口から発生したびまん浸潤性杯細胞カルチノイドであった.

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要旨 患者は42歳の女性.突然の悪心,嘔吐後の胸部不快感,呼吸困難,発熱を主訴に受診.胸部X線写真上,心膜気腫,縦隔気腫を認め,著明な炎症所見もあり,心膜炎,縦隔炎と診断した.胸部CT所見より,その原因として胃心膜瘻の存在が推定された.絶食,中心静脈栄養管理,抗生剤H2ブロッカー投与,心膜ドレナージを施行し,改善した.胃内視鏡検査を施行したところ,胃体上部前壁側に深い下掘れ型潰瘍を認め,ドレナージチューブから注入した色素液の潰瘍底からの流出を確認した.瘻孔閉鎖後,収縮性心膜炎による心不全が出現したが,保存的治療で改善した.胃潰瘍の合併症としての胃心膜瘻の報告はまれであり,若干の文献的考察を加え報告した.

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欧文目次

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 今日本では肝癌が,そして前癌状態とも言うべき種々の過形成病変も,急速に増加している.エコーなどの診断法によって肝病変がよくわかるようになり,殊にエコー誘導下生検の普及によって,肝病変の診断が日常業務となってきた.また,肝切除術も広く施行され病理に回ってくる.したがって,早期肝癌とその類似病変についての正確な知識が必須となっている.本書はその強い要望に応えるもので,待望久しかった出版である.

 著者の神代教授は肝病理の日本の第一人者で,早くから小型肝癌,早期肝癌の研究を精力的に行い,小型肝癌は極めて分化のよい肝細胞癌であることを明らかにされたことで有名である.本書は,久留米大学医学部の内科,外科,病理の緊密な協同体制による肝研究の病理学的成果を自験例を用いて書き下ろされたもので,迫力がみなぎっている.豊富な知識,統計がきっちり示されている簡潔な記述,鮮明で美しいカラー写真が一体となった見事なモノグラフである.

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 本書は,「Wheater's Functional Histology―A Text and Color Atlas」(3rd ed)の訳書である.私たちは日常,論文を読むときに要約と図表を中心に目を通すことでその内容を読み取ることができる.当然,重要ならば熟読することになるが,この読み方で困ることは少ない.本書の第1の特徴は,組織学の主たるところを適切な図とその説明で済ませている点である.学生が実習室で鏡検するかたわら,その理解を深めるのに最適である.私たちが,講義室や実習室で要点を説明する手法と全く同様に図説が進められている.第2の特徴は,簡潔なレジュメにある.図説に入る前に,要点が簡潔に記されている.本書の名称に“機能を中心とした”との形容詞が付けられている.各器官,組織の機能を簡潔に説明し,その機能がいかなる構造で裏づけられているかを述べている.そして詳細な説明は図説でなされている.また,訳者も述べているごとく,適切な人体構造学的な説明もなされてもいるので,各器官の位置づけを理解するのに役立つ.第3の特徴は,現在の細胞生物学的な理解をポイントを絞り簡潔にまとめ,適切な電顕写真を配置している点にある.各論に相当する各器官,組織の細胞機能を理解するに十分である.

 機能を無視した形態はないし,形態は必ず機能を反映しているとは,古くから言われている言である.おそらく,この種の成書は,それぞれある意味で独立して進歩してきた形態学と機能学という学問が,特に,近年の目覚ましい進歩のおかげで,切っても切れない関係にあることを暗黙のうちに了解している現況を反映した結果とも言えよう.なぜなら,本書の多くの図は,昔からの図と変わらないはずである.しかし,近年の生理学,生化学,分子生物学の進歩はこれらの図中にある構造を説明することができるまで進歩してきた.もちろん,形態学的にも物質のレベルまで構造を解析できるようになってきたこともその関係を融合させるのに役立ってはいる.それゆえ,本当の意味で時期に合った“形容詞”と言えよう.前述したごとく,近年の分子生物学の進歩は目覚ましいものがある.この進歩の結果,機能のわからない多くの蛋白質が同定されるようになった.遺伝子工学の進歩は,これらの遺伝子の過剰発現や発現抑制によって,その蛋白質の機能解析をできるようになった.この解析の主役は形態学にあることは周知の事実である.それゆえ,本書のような図を中心としたテキストはその図の提示が適切であればあるほどますます重要度を増す.実習室での学生の手助けのみならず,レジデント,病理医など,医学の実践に入られた初学者にも手助けになると思われる.

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 胆囊摘出術に始まった外科の鏡視下手術は,ごく短時間に目覚ましい発展を遂げた.今や外科手術の中で鏡視下に行うことのできない手術はないかの様相を呈している.腹腔鏡下胆囊摘出術は既に古典的な存在になりつつある.なぜ今更腹腔鏡下胆囊摘出術なのか,そんな疑問を持って本書を手にしたが,たちどころに自分の未熟さを痛感した.

 著者は滋賀医科大学第1外科で25に及ぶ関連施設を直接指導されてこられた.教えることが,筆者を常に“初心者”の問題意識に立ち戻す.“手術時に全く予想されないような質問”“一見簡単そうに見えるが,実際に自分自身で遭遇した場合には思案するような問題点”が次々と出され,1つ1つを詳細に検討し解答を出していく.その積み重ねが本書の元となっている.著者の非凡なセンスと卓抜した技術が本書の随所にかいま見られる.しかし,本書の主眼はそこにはない.自分のノウハウを披露するのではなく,誰がやっても同じように成功する手技の究明,すなわち“標準術式の確立と安全性の追求”が著者の狙いである.普遍性こそ科学技術なのだという科学者の思想をそこに感じるのである.

編集後記 細井 董三
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 内視鏡治療の普及に伴い,その適応拡大が検討されている中で,未分化型癌に関しては適応とされる微小病変の臨床診断例が依然として少ないためにEMR症例数はほとんど伸びていない.そうした現状が長南の論文に示されている.本誌ではこれまでに4回ほど微小・小胃癌の特集を組んでいるが,どの施設の成績をみても胃癌全体では分化型と未分化型の比率にほとんど差がないのに微小・小胃癌になるとなぜか未分化型の割合は20%以下と極端に低率になっている.そこで本号ではその理由をあらためて問うことにしたわけである.執筆者はそれぞれの視点から興味深い分析を加えている.臨床の側から,渕上,大山は未分化型の微小・小胃癌が少ない主な理由として,癌の組織発生の点からみても50歳以上の癌年齢の胃では胃固有腺粘膜の退縮により未分化型癌が発生しにくい条件に変化していることに加えて,5mm以下の病変では約50%が肉眼的に識別不能なⅡb型で,しかも発生部位がC領域からM領域の胃底腺粘膜に好発するため臨床的に発見が難しいことを挙げている.西俣は未分化型癌の発生様式の特徴から30mm以上の病変に比べて微小病変が少ない理由を論じている.一方,病理の石黒,松田は純粋な未分化型癌は元来,発生頻度が分化型に比べて低く,胃癌全体で分化型と未分化型がほぼ同率になるのは分化型のうちの胃型腺管形成性癌(石黒)あるいは胃型形質癌(松田)が発育進展の過程で未分化型化するためであろうと推論している.そして,松田によればこの未分化型化は,5~10mmの病変でも既に3.4%認められるという.以上のような様々な角度からの分析により,読者にも小さな未分化型癌が少ない理由を理解し,納得していただけたのではあるまいか.

基本情報

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胃と腸
31巻12号 (1996年11月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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