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書評「早期肝癌と類似病変の病理」
菅野 晴夫
1
1癌研究会
pp.1444
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104446
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今日本では肝癌が,そして前癌状態とも言うべき種々の過形成病変も,急速に増加している.エコーなどの診断法によって肝病変がよくわかるようになり,殊にエコー誘導下生検の普及によって,肝病変の診断が日常業務となってきた.また,肝切除術も広く施行され病理に回ってくる.したがって,早期肝癌とその類似病変についての正確な知識が必須となっている.本書はその強い要望に応えるもので,待望久しかった出版である.
著者の神代教授は肝病理の日本の第一人者で,早くから小型肝癌,早期肝癌の研究を精力的に行い,小型肝癌は極めて分化のよい肝細胞癌であることを明らかにされたことで有名である.本書は,久留米大学医学部の内科,外科,病理の緊密な協同体制による肝研究の病理学的成果を自験例を用いて書き下ろされたもので,迫力がみなぎっている.豊富な知識,統計がきっちり示されている簡潔な記述,鮮明で美しいカラー写真が一体となった見事なモノグラフである.
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