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海外文献紹介「無酸症はNSAID服用中の良性胃十二指腸潰瘍の発生を防がない」
新田 康夫
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1愛知県がんセンター消化器内科
pp.836
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105869
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Achlorhydria does not protect against benign upper gastrointestinal ulcers during NSAID use: Janssen M, et al (Dig Dis Sci 39: 362-365, 1994)
酸のないところに良性の胃十二指腸潰瘍が存在しないことは,一般に認められている.今回,NSAID服用中の患者において,無酸の血清学的証拠の有無と良性胃十二指腸潰瘍の発生頻度について検討を行った.857症例について,年齢,性別,NSAIDの服用,胃十二指腸潰瘍の既往についてアンケート調査を行った.
無酸症の定義は,血清pepsinogen A<17μg/lとした.全患者中の36症,4.2%がこの基準に該当した.胃十二指腸潰瘍は,PgA<17μg/lでは8.3%,それ以上では69%に認められた.PgA<17μg/lで,胃十二指腸潰瘍を認めた3例は,いずれも悪性貧血患者で(潰瘍が以前に診断された2症例,同時診断された1症例)NSAIDを同時に服用していた.H. pyloriに対するIgG,IgA抗体は認められなかった.また,NSAIDの服用を中止することにより,病変の治癒が認められた.
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