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書評「パンエンドスコピー―上部消化管の検査・診断・治療」
酒井 義浩
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1東邦大学大橋病院・消化器診断部
pp.760
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105846
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上部消化管の内視鏡(endoscopy)のために,内視鏡医(endoscopist)の多くは細径前方視鏡を選択する.これはこの内視鏡(endoscope)が被検者の苦痛を最小限とするのに適しているからであり,広い観察域とほほ満足しうる記録性を持ち,必要なら内視鏡治療の大部分を実施しうるからである.かつて囁かれた,“細径=粗悪品”の域を完全に抜け出して,内視鏡の水準を維持しながら,なおかつ口腔から十二指腸主乳頭まで網羅しうるからである(panendo・scopy).術者にとって,内視鏡を進める方向が見えることほど安堵することはない.内視鏡医だけではなく,一般内科医,研修医にも親しまれているゆえんであり,いまや内視鏡の代名詞でさえある.
本書は,この内視鏡の生みの親である著者が開発の御苦労は微塵も示されることなく,10万回の経験をもとに語られた上部消化管内視鏡術のすべてである.苦しみのない内視鏡を目指して著者御自身が実践されてこられた22年間の結晶でもある.それだけに細径前方視鏡へのこだわりと情熱とが随所に感じられる.
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